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屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一体点検は誰が行えるのか|危険物取扱者だけでは足りない理由を解説

屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一体点検は誰が行えるのかを示す記事のアイキャッチ画像

屋外タンク貯蔵所の大きなタンクには、火災のときに泡で消火する設備が付いています。
この泡消火設備には、消防法令が定期点検とは別に一体的な点検を義務づけていて、点検する人にも条件が付きます。
危険物取扱者危険物施設保安員であれば誰でもよいと思われがちですが、規則はさらに一段階、資格を上乗せしています。
資格だけでなく、専門の知識と技能を持つ人でなければ、この点検は行えません。

屋外タンクの点検って、資格があれば誰でもできるんじゃないんですか。

実は泡消火設備の一体点検だけは、資格に加えて専門の知識と技能が要ります。

うちの点検業者がその条件を満たしているか、どう確認すればいいんでしょう。

規則の条文から、点検者に求められる条件を順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 屋外タンク貯蔵所の固定式泡消火設備には、通常の定期点検とは別に一体的な点検が義務づけられています
  • 対象になるのは、令第20条第1項第1号が定める著しく消火が困難な屋外タンク貯蔵所のうち、第三種の固定式泡消火設備を設けるものです。
  • 点検を行う者は危険物取扱者または危険物施設保安員であることに加え、泡の発泡機構や薬剤の性状・性能を確認できる知識と技能を持つ人に限られます。
  • 危険物取扱者の立会いを受けても、この知識・技能の要件そのものは外れません
  • 点検記録には点検者の氏名を残し、3年間保存することが求められます。

泡消火設備の一体点検を誰が行えるかを示す図解

なぜ泡消火設備の点検には点検者の資格が問題になるのか

泡消火配管の付いた屋外タンクを見上げクリップボードを持つ点検者のイラスト
危険物施設の点検は、原則として危険物取扱者か危険物施設保安員が行います。
ところが、屋外タンクの泡消火設備だけは、この原則にもう一段の条件が上乗せされています。
第62条の4から前条までの規定による点検は、危険物取扱者又は危険物施設保安員(略)が行わなければならない。(危険物の規制に関する規則第62条の6第1項)
点検者の原則は資格者であることの一点に尽きます
規則第62条の4から第62条の5の5までに定める点検はすべて、危険物取扱者または危険物施設保安員が行うことになっています。
地下タンクの漏れ点検や移動タンクの点検も、この条文がまとめて根拠になっています。
条文にある「前条」とは、次に見る屋外タンクの泡消火設備の一体的な点検(第62条の5の5)を指します。
そしてこの条文の括弧書きに、一部の点検についてだけ追加の条件が書き込まれています。

危険物取扱者の資格があれば、それで十分だと思っていました。

泡の点検に限っては、資格だけでは条文上足りないんです。

どの点検にこの限定がかかるのか

泡消火設備付きの屋外タンクと泡消火設備のない小さなタンク3基を並べたイラスト
追加の条件が付くのは、すべての泡消火設備ではありません。
条文が名指ししている一体的な点検の範囲を確認します。
令第20条第1項第1号の規定により第三種の固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所に係る定期点検は、第62条の4の規定によるほか、告示で定めるところにより、当該泡消火設備の泡の適正な放出を確認する一体的な点検を行わなければならない。(危険物の規制に関する規則第62条の5の5)
対象は令第20条第1項第1号が指す著しく消火が困難な屋外タンク貯蔵所に限られます
そのうち第三種の固定式泡消火設備を設けているものだけが、この一体的な点検の対象になります。
規則第62条の6の括弧書きは、この一体的な点検に加えて、地下貯蔵タンクや移動タンクの漏れ点検にも同じ枠組みで知識・技能の条件を上乗せしています。
つまり泡消火設備は、追加の条件が付く点検類型のひとつという位置づけです。
自分の施設にこの設備があるかどうかは、設置時の許可申請書類や設備台帳で確認できます。

うちのタンクに泡消火設備が付いているか、まず確認しないといけませんね。

設置許可申請書か設備台帳を見れば、すぐに分かります。

危険物取扱者や危険物施設保安員であればそれで足りるのか

泡を放出する泡消火設備の吐出口と発泡状態を確認する計器と虫眼鏡のイラスト
資格を持つ人が点検すれば、それで規則の要求は満たされるのでしょうか。
条文の括弧書きを丁寧に読むと、答えは足りないということになります。
(前条の規定による点検については、)泡の発泡機構、泡消火薬剤の性状及び性能の確認等に関する知識及び技能を有する者に限る。(危険物の規制に関する規則第62条の6第1項かっこ書き)
資格に加えて、この知識と技能を備えていることが条文上の条件になります
泡がどのような仕組みで発生するのか、発泡の仕組みを理解していることが前提です。
泡消火薬剤そのものの性状や性能を確認できることも求められます。
危険物取扱者の資格試験は、この知識・技能を直接には問うていません。
そのため実務では、点検を専門に行う業者や、社内で経験を積んだ担当者が実施する例が多くなります。

資格試験に受かっただけでは、この点検はできないということですね。

そのとおりです。
別に知識と技能を確認する必要があります。

危険物取扱者が立ち会えば誰でも点検できるのか

泡消火設備の試験弁を扱う資格者2人と条件を満たさず禁止マークが付いた第三者のイラスト
通常の点検には、資格者の立会いがあれば代わりに行える制度があります。
泡消火設備の一体点検にも、この制度は使えるのでしょうか。
前項の規定にかかわらず、危険物取扱者の立会を受けた場合は、危険物取扱者以外の者(略、前条の規定による点検については、泡の発泡機構、泡消火薬剤の性状及び性能の確認等に関する知識及び技能を有する者に限る。)が点検を行うことができる。(危険物の規制に関する規則第62条の6第2項)
立会い制度を使っても、知識・技能の条件そのものは外れません
危険物取扱者が立ち会えば、資格を持たない人が点検を行うこと自体はできます。
ただし泡消火設備の一体点検については、その代わりの人にも同じ知識と技能が要求されます。
つまり立会いは資格の代わりにはなっても、知識・技能の代わりにはなりません。
外部委託する場合は、業者の担当者がこの条件を満たしているかを事前に確認しておく必要があります。

立会いさえすれば、うちの従業員でもできると思っていました。

残念ながら、泡の点検だけはその考え方が通用しません。

明日から何を確認すればよいか

点検記録用のクリップボードと書類を保管するファイリングキャビネットのイラスト
点検者の条件を確認したら、次は記録の残し方です。
規則が求める記載事項と保存期間を押さえておきます。
点検記録には、点検を行つた危険物取扱者若しくは危険物施設保安員又は点検に立会つた危険物取扱者の氏名を記載しなければならない。(危険物の規制に関する規則第62条の7第4号)
点検を委託する前に、実施者の知識・技能を確認しておくことが最初の一歩です
記録には点検者の氏名を明記し、3年間保存しなければなりません(規則第62条の8第5号)。
発注書や契約書に、点検者が満たすべき条件を明記しておくと、後から資格を確認しやすくなります。
社内で点検者を養成する場合も、知識・技能を確認できる記録を残しておくと安心です。
定期点検の担当者を決める際は、この一体点検だけ別枠で考える必要があります。

点検を頼むときは、業者にこの条件を確認すればいいんですね。

契約前に一言確認しておくだけで、あとのトラブルを防げます。

よくある質問

Q泡消火設備の一体点検は、どのくらいの頻度で行うのですか?
A通常の定期点検と同じく、規則第62条の4が定める周期(原則1年に1回以上)で行います。屋外タンクの内部点検のような長い周期とは別の枠組みです。
Q危険物取扱者の資格の種類(甲種・乙種・丙種)で扱える範囲は変わりますか?
A規則第62条の6は資格の種類を区別せず、知識・技能の有無を条件にしています。丙種であっても、条件を満たせば点検に関わることができます。
Q点検業者に委託する場合、何を確認すればよいですか?
A契約前に、担当者が泡の発泡機構や薬剤の性状・性能を確認できる知識・技能を持つかを確認します。見積書や契約書に明記しておくと後から確認しやすくなります。
Qこの条件を満たさない人が点検を行った場合、記録は有効ですか?
A規則が求める点検者の条件を満たしていない場合、その点検は法令上の点検を実施したことにはなりません。記録を作る前に、条件を満たす人が行ったかを確認してください。

まとめ

屋外タンク貯蔵所の固定式泡消火設備には、通常の定期点検とは別に一体的な点検が義務づけられています。
対象は令第20条第1項第1号が定める著しく消火が困難な屋外タンク貯蔵所のうち、第三種の固定式泡消火設備を設けるものです。
点検者は危険物取扱者または危険物施設保安員であることに加え、泡の知識・技能を持つ人に限られます。
危険物取扱者の立会いがあっても、この知識・技能の条件は外れません。
資格試験だけでは、この知識・技能を証明したことにはなりません。
点検記録には点検者の氏名を記載し、3年間保存します。
外部委託するときは契約前に担当者の条件を確認しておくことが大切です

点検者に条件まであるとは初めて知りました。

点検者の知識と技能の確認は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第62条の4〜第62条の8(昭和34年総理府令第55号)
  • 危険物の規制に関する政令第20条(昭和34年政令第306号)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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