屋外タンク貯蔵所の泡消火設備には、通常の定期点検とは別に、実際に泡を出して性能を確かめる「一体点検」が義務づけられています。
この点検は屋外タンクごとに行うのが原則ですが、複数のタンクが同じポンプや薬剤混合装置を使っている現場では、毎回すべてのタンクで泡を出すのは大きな負担になります。
そこで消防庁は、設備を共有する屋外タンク貯蔵所に限り、代表となる1施設だけの点検で足りる仕組みを用意しました。
ただし、まとめられるのは本当に設備を共有している場合だけで、誰でも自由に選べるわけではありません。
うちは屋外タンクが2つあるんですが、泡消火設備の点検は毎回両方でやらないと駄目ですか。
いいえ、同じ設備を共有していれば代表の1施設だけで済む場合があります。
それなら、うちのタンクもまとめて点検できるということですか。
設備の共有の仕方次第です。
順番に見ていきましょう。
- 屋外タンク貯蔵所の泡消火設備には、通常の定期点検とは別に泡の適正な放出を確認する一体点検が課される
- 根拠は「固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所の泡の適正な放出を確認する一体的な点検に係る運用について」(平成17年3月30日 消防危第63号)
- 複数の屋外タンク貯蔵所が同一の加圧送水装置・泡消火薬剤混合装置等を用いている場合は、いずれか1の屋外タンク貯蔵所についてのみ点検を行うことができる
- まとめられるのは設備を共有している場合だけで、どのタンクで点検したかは記録に残す
- 混合率を点検した場合は別の指導指針が求める薬剤混合装置等の機能確認を省略できる
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目次
屋外タンクの泡消火設備の点検はなぜ1施設分にまとめられるようになったのか

複数のタンクが同じ設備を使っている現場では、この試験をタンクごとに繰り返す負担が課題になっていました。
消防用設備等の点検とは別に、危険物の規制に関する規則第62条の5の5が、泡を実際に放出して性能を確かめる点検を義務づけています。
通常の定期点検(規則第62条の4)だけでは、泡放出口や送水経路まで含めた実際の放出性能は確認できないためです。
この一体点検には、複数のタンクが設備を共有している現場向けの合理化規定もあわせて置かれています。
次の見出しで、その合理化規定の対象と内容を見ていきます。
泡を実際に出す点検なんて、うちみたいに複数タンクがあると大変そうです。
設備を共有していれば、まとめて点検できる場合があります。
どんな屋外タンク貯蔵所の組み合わせが対象になるのか

まとめられるかどうかは、その先の設備の使い方で決まります。
第三種の固定式泡消火設備そのものがどんな屋外タンク貯蔵所に必要かという基準(規則第33条第1項第3号)は、既存記事で解説しているのでそちらを参照してください。
告示第72条は、この一体点検を「いずれか一の屋外タンク貯蔵所」について行えば足りるとしています。
ポイントは、タンクごとの泡放出口や配管そのものではなく、加圧送水装置と薬剤混合装置という共有される機器の性能を確認する点検だという位置づけです。
自分の施設のタンクが本当に同一設備を共有しているかは、配管図面で確認する必要があります。
うちの2つのタンク、送水のポンプは同じものを使っています。
それならまとめて点検できる候補になります。
代表タンクを選ぶ一体点検はどうやって行うのか

確認する項目は、大きく2つに分かれます。
発泡倍率は原則6倍以上(水成膜泡消火薬剤は5倍以上)、還元時間は1分以上という具体的な数値が定められています。
これらは代表に選んだその1施設で確認すれば、同じ設備を共有する他のタンクについても点検を行ったものとみなされます。
選ぶ代表タンクは固定ではなく、点検のたびに変えることもできますが、どのタンクで点検したかは記録に残す必要があります。
確認した泡消火薬剤は共有設備を通じて他のタンクにも供給されるものなので、代表タンクでの確認が全体の性能を裏付ける形になります。
代表のタンクはいつも同じにしないといけないんですか。
決まりはありませんが、点検記録にどちらで行ったかを残しておきましょう。
まとめて点検するときに見落としやすいのはどこか

落とし穴になりやすい点を整理します。
タンクごとに独立した送水ラインを持っている場合は、この合理化規定は使えず、それぞれのタンクで一体点検を行う必要があります。
また、一体点検で混合率を確認した場合は、別の指導指針(平成3年消防危第48号)が求める薬剤混合装置等の機能確認(糖度計による確認)を重ねて行わなくてよいとされています。
逆に混合率を点検しなかった場合は、この省略は使えないので、どちらの点検表を使うかを事前に決めておく必要があります。
代表タンクを選んだからといって、各タンク固有の泡放出口や配管の維持管理義務そのものが消えるわけではない点も見落としやすいところです。
うちのタンク、送水ポンプはそれぞれ別々についているかもしれません。
それならそれぞれのタンクで一体点検が必要になります。
明日からなにを確認すればよいのか

確認する順番を整理します。
共有していることが確認できたら、どのタンクを代表にするかを決め、点検計画に明記します。
点検実施後は、代表タンクで確認した結果を、共有する他のタンクの点検記録にも反映させておくと、あとから確認する側も分かりやすくなります。
混合率を点検したかどうかも記録し、薬剤混合装置等の機能確認をどちらの点検表で行ったかをはっきりさせておきましょう。
設備の共有関係が変わった場合(増設・改修等)は、その都度この確認をやり直す必要があります。
今度の点検の前に、配管図面を確認してみます。
それがいちばん確実な第一歩です。
順番に進めましょう。
よくある質問
まとめ
うちのタンク、配管図面から共有関係を確認してみます!
それがいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「固定式の泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵所の泡の適正な放出を確認する一体的な点検に係る運用について」(平成17年3月30日 消防危第63号 消防庁危険物保安室長)
- 根拠条文 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の5の5、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第72条
- 「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」(平成3年消防危第48号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





