停電すると、廊下や階段の非常用照明が点きます。明かりが残っているなら、そのまま仕事や復旧作業を続けてもよいのでしょうか。
非常用照明は暗闇をなくす万能な作業灯ではなく、停電時に安全な避難を支えるための設備です。
結論は、非常用照明だけを頼りに通常業務を続けず、点灯している間に暗い区域の作業を止めて退出させることです。
点灯開始時刻、避難経路、退出判断と代替照明の使用条件を消防計画とBCPでつなぎます。
非常用照明が点いていれば仕事を続けられますか?
避難のための明かりと考えます。
いつ退出するかも決めるんですか?
点灯中に安全に出る手順を決めます。
- 非常用照明は業務継続用ではなく避難を支える設備です。
- 停電を覚知したら点灯開始時刻と不点灯箇所を記録します。
- 暗い区域の作業を止め、点灯中に在館者を退出させます。
- 仮設照明は避難経路を塞がず安全確認後に使います。
- 復電後も設備と経路を確認し、責任者が再開を判断します。
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目次
長時間停電中も非常用照明だけで業務を続けてよいのか

照らされる範囲や明るさには限りがあり、机上作業、荷役、機械操作、階段での搬送に必要な照明とは目的が異なります。
そのうえで、点灯開始時刻を記録し、非常用照明が点いている間に暗い区域の人を安全な場所へ移します。
明るく見える場所でも、曲がり角、段差、階段、床の障害物は見落としやすくなります。
停電原因が分からないまま分電盤や照明器具へ触れず、感電や出火の危険があれば直ちに離れることが必要です。
廊下が見えれば残ってもええですか?
点灯中に退出する前提で動きましょう。
どの場所と照明設備を対象に確認するのか

窓のない居室、地下階、夜間利用がある施設、段差や曲がり角が多い通路は特に注意します。
建築基準法上の非常用照明と、消防法上の誘導灯は役割も基準も同じではありません。
設置図、点検記録、機器の表示を照合し、どの設備がどの範囲を支えるのかを区別します。
非常用照明が点いていても、誘導灯の消灯や避難経路の閉塞を見逃してはいけません。
設備の点灯時間や電源方式は機器と設計条件で異なるため、一律の時間を決めつけず、設計図書と点検結果を確認します。
- 停電時に人がいる居室と作業場所
- 居室から廊下、階段、出口までの経路
- 非常用照明と誘導灯の位置
- 窓のない場所と地下階
- 段差、曲がり角、床の障害物
- 点検記録と予備電源の種類
非常用照明と誘導灯は同じ設備ですか?
役割と基準を分けて確認します。
停電発生から退出までどう進めるのか

火災や煙がある場合は消防計画に従い、通報、初期消火、避難誘導を優先します。
危険が見当たらない場合も、暗い区域の業務を止め、機械や熱源を安全に停止できる範囲で停止します。
在館者へ停電の発生、使用する経路、エレベーターを使わないことを短く伝え、階段と出口へ誘導します。
最後の確認者を決め、トイレ、会議室、更衣室など取り残されやすい場所を確認してから退出します。
復旧担当だけを残す場合は、責任者、人数、活動区域、連絡手段、退出期限を決め、単独行動を避けます。
| 段階 | 施設側が行うこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 覚知時 | 時刻と範囲を記録 | 火災、煙、漏電の有無 |
| 停止時 | 業務と危険な機器を停止 | 非常用照明と誘導灯 |
| 退出時 | 階段と出口へ誘導 | 取り残しと経路の障害 |
| 復旧後 | 設備と経路を再確認 | 責任者の再開判断 |
復旧担当だけ残ってもええですか?
区域と退出期限を限定しましょう。
仮設照明があれば続けられると思いやすいのはなぜか

コードを廊下へ横切らせると転倒の原因になり、発電機を屋内で使うと一酸化炭素中毒や火災につながります。
消防庁は大規模地震後に消防用設備等が損傷した場合、在館者の縮小、巡回、火気管理など、設備の状況に応じた代替措置を示しています。
これは仮設照明を置けば元どおり使えるという意味ではありません。
建物の被害、避難経路、消防用設備、電気設備を確認し、使う区域と人数を絞る判断が必要です。
煙、焦げ臭いにおい、漏水、異音、破損した配線がある区域へは、明かりがあっても入りません。
復電と停電を繰り返す場合も、通電火災を疑って業務を止め、電気設備の専門者へ連絡します。
投光器を置けば通常どおり戻せますか?
建物と設備の安全確認が先です。
明日から点灯時間と退出手順をどう確認するのか

居室から出口までの経路に設備位置を書き込み、停電時に暗くなる場所を現地で確認します。
機器の型式、予備電源、点灯時間は設計図書や点検記録で確認し、不明なら建物所有者、管理会社、建築設備の専門者へ照会します。
訓練では停電の時刻を記録し、業務停止、館内周知、残留者確認、階段への誘導、退出完了までの時間を測ります。
非常用照明が消える直前まで待つ計画ではなく、余裕を持って退出を完了する基準を決めます。
訓練後は暗かった場所、声が届かなかった場所、移動に時間がかかった人を記録し、消防計画とBCPの両方を更新します。
- 非常用照明と誘導灯の設置図を重ねる
- 点検記録で予備電源と機器の状態を確認する
- 停電開始時刻を記録する担当を決める
- 業務停止と館内周知の文言を決める
- 暗い区域の残留者確認担当を決める
- 余裕を持った退出期限を決める
- 復旧後の再開判断者を決める
訓練では何分もつか測ればええですか?
退出完了までの時間を測りましょう。
よくある質問
まとめ
停電から退出まで訓練します!
非常用照明を使い切る前に出るのが要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令第126条の4・第126条の5
- e-Gov法令検索 消防法第8条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 消防庁 大規模地震に備えた消防用設備等の代替措置
- 東京消防庁 停電発生時の出火防止対策
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、東京消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。非常用照明と誘導灯の設置条件、予備電源、点灯時間、避難経路、停電時の使用継続可否は、建物の用途、規模、構造、設備、設計条件、被災状況によって異なります。個別の設備、退出基準、復旧、消防計画、BCPは、建物所有者、防火管理者、管理会社、建築設備の専門者、消防設備業者、所轄消防署へご相談ください。





