災害復旧で廊下へ資材を運び込むと、いつもの消火器が作業の邪魔になることがあります。少し横へ動かすだけなら問題ないのでしょうか。
消火器は置いてあればよいのではなく、必要な場所から容易に持ち出せる状態を保つ設備です。
結論は、担当者だけの判断で動かさず、守る区域と避難経路を確認して仮置き場所を決め、配置図と周知を同時に更新することです。
復旧作業の変更を消防計画とBCPの両方へ反映します。
消火器を少し動かしてもええですか?
守る区域と持ち出しやすさを先に確認します。
仮置きしたら何を残しますか?
場所と期間と確認者を記録します。
- 復旧作業でも消火器を無断で移動しません。
- 移動前に対象区域と避難経路を図面で確認します。
- 仮置き場所は見やすく容易に持ち出せる位置にします。
- 配置を変えたら配置図と作業員への周知を更新します。
- 作業終了後は元の位置と状態を確認し、消防計画とBCPへ記録します。
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目次
災害復旧で消火器を移動してよいのか

元の場所から見えなくなると、火災を見つけた人が探す時間を失い、配置図を見た応援者も迷います。
移動が必要になった時点で作業を止め、防火管理者や現場責任者へ連絡し、代わりの位置を決めてから動かします。
移動先は、元の場所に近いという理由だけでは決めません。対象区域、歩行経路、火気作業、資材の増減を確認し、所轄消防署や消防設備業者への相談が必要かを判断します。
数メートル横なら黙って動かせますか?
距離だけで決めたらあきません。
どの消火器と場所を対象に確認するのか

倉庫、機械室、厨房、電気設備の周囲などは、想定する火災に合う種類かも確認します。
点検記録と配置図を現地へ持ち、消火器の型式、設置場所、標識、封印、ホース、圧力計、本体の変形や腐食を照合します。
消防庁の点検要領は、設置場所について、通行や避難の支障がなく、容易に持ち出せることなどを確認項目にしています。
元の消火器を動かした結果、別の区域まで届きにくくならないかを平面図と現場の両方で確認します。
復旧資材、仮囲い、閉鎖中の扉、通行止めがあると歩行経路が変わるため、平常時の図面だけで判断しないことが大切です。
- 同じ階と区画にある消火器の位置
- 消火器の種類と対象となる火災
- 標識と見通しの状態
- 避難経路と通行止めの位置
- 火気作業と仮設電源の場所
- 復旧資材が増減する範囲
動かす1本だけ見れば足りますか?
同じ区域をまとめて見ましょう。
移動前から原状回復までどう進めるのか

次に、配置図へ仮置き位置を書き込み、作業員と警備員へ現物を見せて周知します。
仮置き場所では消火器を倒れにくくし、標識を見やすく保ちます。避難経路の幅を狭めたり、防火戸の閉鎖を妨げたりしてはいけません。
作業区域が変わるたびに消火器の場所も確認し、変更したなら配置図と周知をその都度更新します。
工事中の消防計画作成要領でも、消火器等の配置場所を作業員へ周知し、数や配置を変更する場合はその都度周知する考え方が示されています。
作業終了後は元へ戻すだけでなく、封印、ホース、圧力計、外観を確認し、最終確認者が原状回復を記録します。
| 段階 | 行うこと | 残す記録 |
|---|---|---|
| 移動前 | 区域と経路を確認 | 理由と承認者 |
| 仮置き時 | 持ち出しやすく設置 | 場所と開始時刻 |
| 作業中 | 巡回と再周知 | 確認者と異常 |
| 終了時 | 原位置と状態を確認 | 復旧時刻と確認者 |
配置図は最後に直せばええですか?
動かした時点で更新します。
短時間の仮置きでも見落としやすい点は何か

朝は空いていた通路でも、資材や台車が増えると午後には消火器が見えなくなることがあります。
移動先が安全でも、元の標識だけが残ると、火災時に空の場所へ人が向かいます。逆に消火器だけ置いて標識がなければ、応援者は見落とします。
屋外や水がかかる場所、熱源の近く、転倒しやすい場所へ仮置きすると、機器の状態を損なうおそれがあります。
仮置き期間が短くても、場所、標識、持ち出し経路、機器の状態を一組で確認します。
火気作業が追加された場合は、平常時の配置を戻すだけで足りるとは限りません。作業内容に応じた消火準備と監視を別に検討します。
予備を1本置けば足りますか?
区域と作業内容まで確認しましょう。
明日から消火器の仮置きをどう確認するのか

現場を歩き、図面どおりの場所にあり、資材を動かさず取り出せるかを確認します。
仮置きが必要な場所には、承認者、仮置き位置、開始時刻、終了予定、巡回担当を記入する簡単な変更票を用意します。
始業前と作業終了時に巡回し、資材の増加、扉の閉鎖、通行止め、火気作業の追加を確認します。
訓練では配置図を見た人が実物へ迷わず到達し、障害物なしで持ち出せるかを確かめます。
結果は防火管理者とBCP担当者で共有し、復旧工程の変更時に誰が再確認するかを手順書へ明記します。
- 配置図と点検記録を現場へ持ち出す
- 全ての消火器を現物で照合する
- 仮置きの承認者と期間を決める
- 標識と持ち出し経路を確認する
- 始業前と終了時の巡回者を決める
- 配置変更を作業員と警備員へ周知する
- 原状回復後の確認記録を残す
巡回は作業開始時だけで足りますか?
工程が変わるたびに再確認します。
よくある質問
まとめ
配置図と現物を毎日合わせます!
動かした瞬間から周知するのが要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条
- e-Gov法令検索 消防法施行令第10条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第9条
- 消防庁 消防用設備等の点検基準 点検要領 点検票
- 消防庁 新築の工事中の建築物等に係る消防計画の作成要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。消火器の必要本数、種類、配置、標識、移動の可否、届出や消防計画の変更要否は、建物の用途、規模、構造、区画、作業内容、既存設備の設計によって異なります。個別の仮置き、追加、撤去、原状回復、消防計画、BCPは、建物所有者、防火管理者、管理会社、消防設備業者、所轄消防署へご相談ください。





