地震後の巡回で、屋内消火栓箱の赤い表示灯が消えていたらどうしますか。
「扉は開くし、ホースも入っているから使える」と見た目だけで判断するのは危険です。
消灯の原因は球切れだけとは限らず、電源や配線、地震による損傷が関係している可能性があります。
表示灯だけで使用可否を決めず、未確認の設備として共有し、代替消火と専門点検へつなぐことが重要です。
表示灯が消えています。
そのまま使えますか。
決めつけません。
未確認として共有しましょう。
ランプだけ替えれば復旧ですか。
いいえ。
設備全体の確認が必要です。
この記事の結論
- 消えた表示灯を見つけたら、その消火栓を未確認として扱います。
- 場所・時刻・停電状況・外観を安全な位置から記録します。
- 近くの消火器や確認済みの別の消火栓を共有します。
- 表示灯だけでなく電源・配線・起動装置・ポンプを系統で点検します。
- 専門点検の結果を記録し、責任者が復旧を判断します。
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目次
地震後に屋内消火栓の表示灯が消えていたら使ってよいのか

消防庁の点検基準では、屋内消火栓箱の表示灯について、変形、損傷、脱落、球切れなどがなく、正常に点灯していることを確認します。
消灯は、設備の状態を確認すべき異常のサインです。
消防法第17条は、対象となる防火対象物の関係者に、技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。
表示灯や箱を分解せず、防火管理者とBCP担当者へ未確認の設備として伝えます。
火災が発生している場合は119番通報と避難を優先し、消防隊へ消灯した消火栓の場所を伝えてください。
安全な範囲で、近くの消火器や確認済みの別の消火栓も案内します。
消灯は異常のサインですね。
そうです。
使用可否は点検後に決めます。
どの表示灯と設備を対象に確認するのか

屋内消火栓設備は、消火栓箱、ホース、ノズル、開閉弁、起動装置、配管、加圧送水装置、水源、電源などで構成されます。
消防法施行令第11条は、一定の防火対象物に屋内消火栓設備を設ける基準を定めています。対象は用途、階、床面積などで異なります。
消防法施行規則第12条は、屋内消火栓設備の構造や設置方法を定めています。
確認対象は次のように整理します。
- 消灯した表示灯と消火栓箱の外観
- 同じ階と同じ系統の消火栓表示灯
- 起動装置、始動表示灯、ホース、ノズル、開閉弁
- 配線、制御装置、ポンプ、水源、非常電源
- 近くの消火器と避難経路
ただし、施設担当者が盤を開けたり通電を試したりせず、外から確認できる範囲にとどめます。
同じ階の別設備を代替にする場合は、到達範囲と使用確認まで行います。
図面と箱番号が一致しない箇所も、点検依頼に含めてください。
1個のランプだけではないんですね。
はい。
系統で確認しましょう。
消灯の発見から代替消火と点検までどう進めるのか

消防計画には初動と消防活動の役割を、BCPには連絡、代替、復旧判断の流れを整理しておくと動きやすくなります。
「消灯を見つけた人が、誰へ何を伝えるか」を決めておくことが実務の核心です。
- 落下物、漏水、焦げ臭、箱の変形を見て周囲の安全を確保する
- 場所、時刻、停電状況、表示灯と箱の外観を記録する
- 設備を未確認として防火管理者、BCP担当者、在館者へ共有する
- 消火器や確認済みの別の消火栓など代替手段を案内する
- 専門業者へ点検を依頼し、結果に基づいて復旧する
設備の前に荷物を置かず、使用停止の表示は消防隊の操作を妨げない位置に出してください。
代替手段は名称だけでなく、場所と到達範囲、担当者を一緒に共有します。
点検依頼先と責任者の代行順位も、夜間や休日を含めて決めましょう。
消灯と停電状況を記録します。
ええですね。
代替案内まで続けます。
表示灯だけの不具合なら使えると判断できないのはなぜか

反対に、表示灯が消えていても、現場確認だけで「ランプだけの不具合」と断定することはできません。
表示灯の点灯状態と、設備全体の機能は分けて確認する必要があります。
消防庁の点検基準では、屋内消火栓箱の表示灯に加え、起動装置、ホース・ノズル、消火栓開閉弁、配管、加圧送水装置などを個別に確認し、総合点検では実際の起動や放水性能も確認します。
- 地震で表示灯の配線や取付部が損傷している
- 制御装置や非常電源にも異常が出ている
- 起動装置や始動表示灯が正常に作動しない
- ホース、弁、配管、ポンプにも別の損傷がある
- 消灯により利用者が消火栓の位置を見失う
専門業者が原因と関連機器を点検し、必要な機能を確認します。
施設側は点検結果、交換部品、復旧時刻、判断者を残し、未確認のまま運用へ戻さないようにします。
点灯だけを復旧条件にしないことが大切です。
点けば全部OKではないんですね。
そのとおり。
機能まで確認します。
明日から表示灯の消灯対応をどう確認するのか

巡回する時間帯を変え、照明が明るい場所でも表示灯の状態を見分けられるか確認してください。
「1台の表示灯が消えた」という想定で、連絡から代替案内まで訓練します。
- 設備図面と現場の消火栓箱番号を照合する
- 表示灯、始動表示灯、起動装置の違いを確認する
- 消灯時の記録票、共有文、点検依頼先を準備する
- 近くの消火器と確認済みの別消火栓への案内を決める
- 防火管理者とBCP担当者の責任者・代行者を決める
- 訓練後に伝達時間と判断漏れを記録して改善する
テナントビルでは、共用部の異常を誰が各テナントへ伝えるかも決めます。
訓練後は、代替設備を探すのに時間がかかった場所や、連絡が届かなかった部署を確認してください。
改善内容は消防計画とBCPへ反映し、更新日と責任者を残しましょう。
消灯を想定して訓練します。
ええですね。
代替案内も実地で確認します。
よくある質問
Q周辺が停電中なら消灯していて当然ではありませんか?
A停電中でも、非常電源を含む設備の状態確認が必要です。停電を理由に決めつけず、専門点検へ引き継ぎます。
Q施設担当者が表示灯の球を交換してもよいですか?
A感電や損傷拡大を避けるため、施設独自で分解せず、資格や点検範囲を確認した専門業者へ依頼してください。
Q表示灯が点いていれば消火栓は使えますか?
A点灯だけでは、ホース、弁、起動装置、ポンプ、放水性能まで確認できません。定期点検と災害後の総合的な確認が必要です。
Q復旧完了は誰が判断しますか?
A専門業者の点検結果を確認し、施設側で定めた責任者が判断します。復旧時刻と根拠を記録してください。
まとめ
✔消えた表示灯を見つけたら、使用可否を決めつけません。
✔場所、時刻、停電状況、外観を安全に記録します。
✔表示灯と設備全体の機能を分けて確認します。
✔近くの消火器や確認済みの別設備を案内します。
✔未確認範囲を防火管理者と在館者へ共有します。
✔専門点検の結果で復旧可否を判断します。
✔消灯の発見から復旧までを消防計画とBCPへ残します。
消灯を想定した訓練をやってみます!
未確認・代替・専門点検を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
この記事を書いた人
監修・編集者
青木 俊輔
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
主な活動
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第11条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第11条の2・第12条
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 消防庁 屋内消火栓設備の点検基準
- 消防庁 消防用設備等の試験基準及び点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令・点検基準等に基づく一般的な解説です。屋内消火栓設備の点検方法、地震後の安全措置、代替消火手段、復旧判断は建物の設備構成・被害状況や地域の運用で異なります。実際の対応は専門業者および所轄消防署へご確認ください。





