BLOG

BCPで復旧作業中にマグネシウム切粉が燃えたら水をかけてよいのか|初期消火と消防への情報提供を解説

マグネシウム切粉の保管容器を確認する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

地震後の復旧作業で加工機の周囲を片付けているとき、マグネシウムの切粉から火が出たらどうしますか。
近くに水道や普通の粉末消火器があれば、反射的に使いたくなるかもしれません。
しかし燃焼中や高温のマグネシウムへ水をかけると、激しい燃焼や飛散につながる危険があります。
マグネシウム切粉の火災には自己判断で水をかけません
ABC粉末消火器も原則使わず、作業を止めて避難・通報・情報提供へつなぎます。

金属の火なら、水で冷やしたらあかんのですか?

マグネシウムの燃焼中は水消火を避けます

ほな、普通の粉末消火器なら大丈夫ですか?

ABC粉末消火器も原則使いません。
材料情報を伝える通報が重要です。

この記事の結論
  • 燃焼中のマグネシウム切粉へ水をかけません
  • 普通のABC粉末消火器も原則使いません
  • 安全に使える専用消火剤を事前に確認します
  • 119番で材料・量・場所・保管状況を伝えます
  • 拡大の危険があれば初期消火を中断して避難します

マグネシウム切粉火災で水とABC消火器を使わず避難通報する一場面のアイソメ図

マグネシウム切粉が燃えたら水をかけてよいのか

加工機付近のマグネシウム切粉火災から離れる施設担当者のアイソメ図
結論からいうと、燃えているマグネシウム切粉へ施設の担当者が水をかけません。
高温のマグネシウムと水の接触は、燃焼を激しくし、燃えている物を周囲へ飛散させる危険があります。
消防庁の「マグネシウム等の安全対策マニュアル」は、マグネシウム等が着火・燃焼している場合や高温の水蒸気が生じ得る条件では、水消火により急激に激しい燃焼へ発展する可能性があると説明しています。初期消火では原則として水を使わず、火災拡大の危険があれば中断して速やかに避難するよう示しています。
まず作業を止めて人を火元から離します
地震や浸水の後は、切粉の容器が倒れ、集塵設備へ水分が入り、通常と違う場所へ材料が散っている場合があります。
発見者だけで材質や温度を判断せず、周囲へ知らせて立入を止めます
火炎、白い強い光、激しい火花、容器の膨らみを見たら、安全な場所へ移動して119番通報します。
通報時は「金属火災」だけでなく、マグネシウム、合金、切粉、粉じんなど分かる範囲で具体的に伝えます。
消火剤を使うのは、対象材料に適合する物を備え、教育を受けた人が、退路を確保して安全に対応できる場合に限ります。
少しでも拡大のおそれがあれば、初期消火を続けず避難します。

最初に水道へ走るのは危ないんですね。

先に退避と通報へ動きます。

どの材料と加工場所を対象に確認するのか

マグネシウム材料と切粉と安全データシートを照合する施設担当者のアイソメ図
対象は、マグネシウムの塊だけではありません。
切削、研磨、集塵、回収、保管の各工程で生じる切粉や粉じんを、設備と保管場所ごとに確認します。
消防法別表第一は、マグネシウムを第二類の可燃性固体として掲げています。一方、消防庁の安全対策マニュアルは、切粉や粉じんの粒径などにより消防法上の危険物に該当する物としない物があることを踏まえ、法令上の区分だけでなく加工現場での火災予防と消防活動上の情報共有を求めています。
危険物に該当するかだけで現場対応を切り分けません
  • マグネシウムとマグネシウム合金の材料置場
  • 切削機、研磨機、集塵機と周囲のピット
  • 乾式加工で出た切粉や粉じんの回収容器
  • 水溶性切削油を使った切粉の保管容器
  • 清掃で集めた粉じんとフィルター
  • スクラップ、返却品、種類不明の金属くず
  • 乾燥砂、専用消火剤、保護具の保管場所
製品名がマグネシウムでも、大きな完成品と細かな切粉では着火しやすさや水との反応条件が違います。
現物、納入仕様書、安全データシート、加工条件を照合し、材質と形状を確認します。
水溶性切削油を使った切粉は、保管中に水分と反応して水素ガスを生じる危険があるため、容器と換気条件も確認します。
密閉すれば安全と一律に決めず、メーカーや専門部署の手順に従います。
委託先が清掃や回収を担う場合も、対象物と禁止事項を同じ資料で共有します。
地震後に表示が読めない容器や散乱した粉じんを見つけたら、種類不明のまま掃除機で吸わず、作業範囲を区画します。

完成品だけ見たら足りますか?

切粉、粉じん、集塵機まで一続きで確認します。

発見から避難と情報提供まで何を決めるのか

マグネシウム火災で非常通報し乾燥砂を準備する施設担当者のアイソメ図
BCPには、復旧作業中の発見者が迷わず作業を止め、誰へ何を伝えるかを書きます。
消防計画の通報・初期消火・避難と、BCPの復旧中止・材料確認・再開判断をつなぎます。
消防庁の安全対策マニュアルは、火災時に消防機関へ速やかに通報し、マグネシウム等の保管量や保管方法を情報提供するよう示しています。また火災拡大の危険がある場合は初期消火を中断し、速やかに避難するとしています。
通報と同時に材料情報を渡せる流れをつくります
  1. 加工機と復旧作業を止めて周囲へ火災を知らせる
  2. 火元へ近づかない経路で人を退避させる
  3. 安全な場所から119番通報する
  4. マグネシウム、切粉、粉じんなど材料名を伝える
  5. 量、容器、集塵設備、水分の有無、火の状態を伝える
  6. 消防隊へ安全データシートと配置図を渡す
  7. 専門者と消防の確認後に復旧と再開を判断する
通報者が現場へ戻って量を測り直す必要はありません。
平常時に在庫量、回収容器の容量、保管場所を記録し、非常時は分かる範囲で伝えます
消防隊の進入経路、集塵機、切粉容器、消火剤の場所を一枚の配置図にまとめます。
未燃の材料を動かす判断は、燃焼物の飛散や退路の喪失につながるため、未訓練の人へ任せません。
初期消火を実施する場合も、対象に適合する乾燥砂、パーライト、マグネシウム用フラックス、金属火災用消火剤等を事前に選定します。
消火剤の準備が無い、炎が広がる、煙で退路が見えにくい場合は直ちに中断します。
鎮火後も自己判断で清掃を再開せず、残留熱や発生ガスの確認を含めて消防の指示に従います

119番で材料名まで伝えるんですね。

保管量と場所も事前資料に入れましょう。

普通の粉末消火器で消せると思うと何を見落とすのか

水とABC消火器を避け乾燥砂と金属火災用消火剤を確認するアイソメ図
マグネシウム火災では、水だけでなくABC粉末消火器も原則として使いません。
「粉末なら金属にも使える」という思い込みが、初動を危険にする場合があります。
消防庁の安全対策マニュアルは、ABC粉末消火器の消火剤が高温で水を発生するため使用しないよう示しています。適した消火剤として、乾燥砂、パーライト、マグネシウム用フラックス、金属火災用消火剤等を挙げています。
消火器の外観ではなく適応する火災を確認します
  • 水道ホースやバケツを初期消火手段に決める
  • ABC粉末消火器なら万能だと思い込む
  • 湿った砂を乾燥砂と同じつもりで備える
  • 専用消火剤の使用方法を訓練していない
  • 火元へ近づいてから材料名を調べる
  • 消防へ保管量と集塵設備の場所を伝えない
  • 鎮火直後に切粉や残渣をかき混ぜる
乾燥砂は、燃焼物が拡散しないよう静かにかけ、完全に覆い、冷えるまで継続して観察する使い方が示されています。
ただし消火剤が置いてあるだけでは、安全な初期消火ができるとは限りません。
火元へ近づく必要がある、量が多い、容器外へ広がった、退路が狭い場合は初期消火を見送ります
また、消防庁資料には燃焼が終息し周囲への延焼危険が無いなど一定の安全性を確認した場合の大量注水による冷却への言及があります。
これは施設担当者が例外を自己判断して放水してよいという意味ではありません。
現場では「もう終息した」と決めつけず、消防へ判断を引き継ぎます
屋内消火栓やスプリンクラーなど既設設備の扱いは、自社判断で停止せず、対象材料と設備条件を所轄消防署や専門業者へ事前相談します。

粉末消火器なら何でも同じやと思ってました。

金属火災に適合する物を確認します。

明日からマグネシウム火災の備えをどう確認するのか

マグネシウム切粉の保管容器と消火剤と連絡票を使って訓練するアイソメ図
最初に、施設内のマグネシウムと合金を使う工程、切粉がたまる設備、回収容器を一覧にします。
材料情報、消火剤、通報内容、避難経路を一枚の現場票でつなぎます。
消防法第8条に基づく消防計画には、火災予防、通報、初期消火、避難など防火管理上必要な事項を定めます。BCPでは、被災後の加工停止、危険区域の管理、委託先との連絡、設備確認、復旧と重要業務の再開を具体化し、消防計画の初動と整合させます。
材料の在庫確認から避難まで一つの訓練で通します
  1. 材料名、合金名、安全データシートを工程別に整理する
  2. 切粉、粉じん、集塵機、回収容器の場所を図にする
  3. 水分、火花、静電気、清掃方法の禁止事項を確認する
  4. 対象に適合する乾燥砂や専用消火剤を選定する
  5. 通報で伝える材料、量、場所、保管方法を現場票にする
  6. 初期消火の中断条件と避難経路を決める
  7. 委託先を含めて発見から通報と引継ぎまで訓練する
消防庁資料は、切粉を多量・長時間保管せず、乾式や切削油の種類に応じて適切に保管するよう示しています。
水溶性切削油を使った切粉は、密閉ではなくガス抜きなど通気性を考慮した容器が示されているため、自社材料の手順を専門者と確認します。
乾燥砂や専用消火剤は、湿気、使用期限、数量、置き場所、使い方を定期確認します。
訓練では、水道やABC消火器へ向かわず、安全な出口と通報場所へ移れるかを見ます。
通報者は現場票を見ながら、材料名、量、場所、容器、水分の有無を消防へ伝えます
設備変更、材料変更、委託先変更があれば、消防計画とBCPの担当者・連絡先を同時に更新します。
訓練後は迷った判断と所要時間を記録し、所轄消防署や専門業者への相談事項を是正表へ残します

材料名と保管量を一枚にまとめます。

ええですね。
避難と情報提供まで訓練しましょう。

よくある質問

Qマグネシウム切粉の火災へ水をかけてもよいですか?
A原則として水をかけません。作業を止めて人を離し、安全な場所から119番通報してください。
QABC粉末消火器なら使えますか?
A原則として使いません。消防庁資料は乾燥砂、パーライト、マグネシウム用フラックス、金属火災用消火剤等を挙げており、対象材料に適合する物を事前選定します。
Q危険物に該当しない切粉なら水を使えますか?
A危険物への該当だけで消火方法を決めません。材質、粒径、温度、水分、量を確認し、燃焼中は消防へ判断を引き継ぎます
Q消防計画とBCPにはどう分けて書きますか?
A消防計画には通報、初期消火、避難を、BCPには被災後の加工停止、危険区域管理、復旧と再開判断を整理します。材料情報と担当者を相互に整合させます。

まとめ

燃焼中のマグネシウム切粉へ水をかけません。
普通のABC粉末消火器も原則使いません
材料と形状と保管量を事前に把握します。
対象に適合する乾燥砂や専用消火剤を確認します。
通報時に材料・量・場所・保管状況を伝えます。
拡大の危険があれば初期消火を中断して避難します。
消防計画とBCPを一つの訓練でつなぎます。

まずは材料と消火剤の一覧を作ります!

水を使わない初動を訓練しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および行政機関等の資料に基づく一般的な解説です。マグネシウム等の火災対応は材質、粒径、温度、量、加工方法、切削油、集塵設備、既設消防用設備等によって異なります。水やABC粉末消火器を原則使用しないという消防庁資料の注意を踏まえ、実際の消火剤、保管容器、設備、訓練、復旧判断は、材料メーカー、設備メーカー、専門業者、建物管理者、所轄消防署へ事前にご相談ください。火災や激しい発光、飛散のおそれがある場合は人命を優先し、安全な場所から119番通報してください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
マグネシウム切粉の保管容器を確認する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ
地震後の復旧作業で加工機の周囲を片付けているとき、マグネシウムの切粉から火が出たらどうしますか。 近くに水道や普通の粉末消火器があれば、反射的に使いたくなるかもしれません。 しかし燃焼中や高温のマグネシウムへ水をかけると...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →