危険物の規制に関する政令が定める貯蔵・取扱いの基準は、量にかかわらず全類に共通するものだけではありません。
第一類から第六類まで、性質によって避けるべき相手も対応もまったく違います。
同じ「注意」でも、酸化性の危険物と禁水性の危険物では真逆の対応が必要になることもあります。
危険物の規制に関する政令第二十五条が定める、類ごとに共通する基準の考え方をわかりやすく解説します
うちの倉庫、いろんな類の危険物を置いてるんですが、注意することは全部同じですよね。
いえ、危険物の類によって避けるべき相手が大きく変わります。
具体的にはどう違うんですか。
酸化性か禁水性かなど、政令第二十五条が定める性質ごとの基準を見ていきましょう。
- 政令第二十五条の基準は、危険物の類ごとに内容が変わる技術上の基準です。
- 第一類・第六類の酸化性の危険物は、可燃物との接触や分解を促す物品との接近を避けます。
- 第二類・第四類・第五類は、火花や高温体との接近、過熱を避けることが共通します。
- 第三類は自然発火性物品と禁水性物品で、避けるべき相手が空気か水かで正反対になります。
- 通常と異なる貯蔵・取扱いをするときも、十分な安全措置を講じる義務は残ります。
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目次
政令第二十五条とは何を定めた基準なのか

まずはこの基準がどんな位置づけのものかを確認します。
前条(第二十四条)の通則基準がすべての類に共通してかかるのに対し、第二十五条は第一類から第六類まで類ごとに個別の号を定めています。
同じ施設で複数の類を扱うほど、確認すべき組み合わせの数は増えます。
次の項目から、性質のグループごとに避けるべき相手を見ていきます。
自分の施設が扱う類がどこに当てはまるか確認しながら読み進めてください。
うちは複数の類の危険物を扱ってるんですが、基準も別々に確認しないといけないんですか。
はい。
類ごとに避けるべき相手が違うので、扱う類の数だけ確認が必要です。
酸化性の危険物(第一類・第六類)は何を避けるのか

号一と号六が定める内容を確認します。
第一類(酸化性固体)と第六類(酸化性液体)はどちらも強い酸化力を持ち、可燃物と組み合わさると火災の起点になります。
分解を促す物品との接近や、過熱・衝撃・摩擦も避ける必要があります。
第一類のうちアルカリ金属の過酸化物を含むものは、さらに水との接触も避けなければなりません。
まずは同じ棚や近い場所に可燃物を置いていないか、そこから点検します。
酸化性の危険物と可燃物、うっかり同じ棚に置いてしまいそうです。
可燃物との接触は号一・号六どちらも明確に避けるよう求めています。
棚を分けましょう。
可燃性の危険物(第二類・第四類・第五類)は何を避けるのか

号二・号四・号五が定める内容を確認します。
第二類(可燃性固体)・第四類(引火性液体)・第五類(自己反応性物質)は、いずれも火花や高温体との接近、過熱を避けます。
第二類のうち鉄粉・金属粉・マグネシウムは水や酸と反応するため、その接触も避けなければなりません。
第四類と第二類の引火性固体は、みだりに蒸気を発生させないことも求められます。
第五類はさらに衝撃や摩擦でも分解しやすいため、単独での注意が必要です。
金属粉が燃えても、水をかければ消火になりますよね。
いいえ、鉄粉や金属粉は水や酸と反応するため、逆に危険が増します。
自然発火性・禁水性の危険物(第三類)はなぜ両方の対応が必要なのか

号三が定める内容を確認します。
第三類は、性質によって自然発火性物品と禁水性物品の二種類に分かれます。
自然発火性物品は空気に触れると自然に発火するため、密閉容器での保管が基本です。
禁水性物品は水と反応するため、物品ごとに指定された条件で扱う必要があります。
片方の対応だけを覚えて全部に当てはめると、正反対の事故を招く落とし穴になります。
黄りんって自然発火性物品なのに、水の中で保管するって聞いたことがあります。
はい。
黄りんは自然発火性物品ですが、水中保管で空気との接触を断つ運用がされます。
通常と異なる貯蔵・取扱いをするときは何を確認すればよいか

明日からできる点検の順番を整理します。
実務では、性質上どうしても第一項の基準どおりにできない貯蔵・取扱いが生じることがあります。
その場合でも災害防止のための十分な措置を講じる義務は残ります。
扱う危険物の類ごとに避けるべき相手をチェックリスト化し、通常と異なる扱いをする箇所を洗い出すことが実務の出発点です。
迷った場合は自己判断で済ませず、所轄消防署に運用を確認することが確実です。
類ごとに避ける相手が違うって、覚えるのが大変そうです。
チェックリストにしておけば、覚えていなくても確認できます。
よくある質問
まとめ
類ごとの避ける相手を一覧にして、倉庫の掲示に貼っておきます。
それが実務的です。
危険物の保管管理など、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第二十五条
- 消防法第十条第三項・第十一条の五・第十二条の二
- 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物に関する基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





