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BCPで災害復旧中に仮設電源を増やしたら漏電火災警報器は監視できるのか|変流器の未警戒を防ぐ確認手順を解説

災害復旧中の仮設電源と漏電火災警報器の監視範囲を確認する作業員

地震や浸水の復旧作業で、仮設分電盤や発電機から新しい電源を引いたとき、その回路は漏電火災警報器で監視できているでしょうか。
電気が使えるようになっても、仮設の幹線が変流器を通っていなければ、漏電を監視できない回路が残るおそれがあります。
とくに複数の電源から供給するときは、既設側だけを見ても施設全体の監視状態は判断できません。
BCPでは、通電前に電源系統、全低圧幹線、変流器を照合し、未警戒を残さない手順を決めます。

仮設分電盤に漏電遮断器があれば十分ですか。

それだけでは足りへんで。
警報器の監視範囲も確認します。

受信機が正常表示なら大丈夫ですか。

表示だけやなく、幹線が変流器を通るかを見ます。

この記事の結論
  • 仮設電源の通電前に既設と仮設の電源系統を一枚にします
  • 供給点から負荷までの全低圧幹線を洗い出します
  • 各幹線が変流器を通るかを図面と現場で照合します
  • 電源が二つ以上なら系統ごとに監視状態を確認します
  • 変更後は専門業者の試験と記録をそろえて通電を承認します

仮設電源を増やす前に電源系統と全低圧幹線と変流器を照合して未警戒を防ぐ流れを示す図解

災害復旧中に仮設電源を増やしたら監視できるのか

災害復旧中の建物と仮設分電盤と漏電火災警報器を一つの系統として確認する様子
結論からいえば、仮設電源をつないだだけでは漏電火災警報器で監視できているとは判断できません。
漏電火災警報器は、変流器が警戒電路の漏えい電流を検出し、受信機が警報を発する設備です。
消防法施行規則第24条の3は、変流器を屋外の電路の引込口に近接した屋内部分またはB種接地線へ設け、警戒電路に適合する感度とすることなどを定めています。
災害後に新しい仮設幹線を変流器より負荷側へ正しく接続できていれば、既設の監視範囲に入る場合があります。
一方、変流器より電源側から分岐したり、別の発電機から直接給電したりすると、その幹線は既設変流器を通らない場合があります。
受信機は自身の異常を表示していなくても、通っていない回路の漏電までは検出できません。
したがって、通電できたことと漏電火災警報器で監視できたことは分けて確認します
仮設電源の使用を急ぐ場面ほど、電気工事担当と消防設備担当が同じ単線結線図を見て判断してください。
施設担当者だけで配線や感度を変更せず、専門業者の点検を経て通電します。

電気が来たことと監視できることは別なんですね。

せやで。
変流器を通るかが要点です。

どの建物と電源系統を対象に確認するのか

二つの電源系統それぞれに変流器と受信機を設けて監視する様子
最初に、その建物へ漏電火災警報器の設置義務があるか、現にどの範囲を警戒しているかを確認します。
対象の判断は用途だけでなく、構造、契約電流容量などの条件を含むため、既存の届出図書と設備台帳を使います。
消防法施行令第22条は、壁、床、天井などの下地にラスモルタルなどを用いる一定の防火対象物について、契約電流容量などの条件に応じて漏電火災警報器の設置を定めています。
復旧時の確認対象は、損傷した分電盤だけではありません。
商用電源、非常用発電機、可搬形発電機、蓄電池、仮設分電盤、切替盤から負荷までを一つの電源網として整理します。
現場では次を洗い出してください。
  • 通常時と災害時のすべての電源供給点
  • 受電盤、切替盤、仮設分電盤の接続位置
  • 建物へ入る全低圧幹線とB種接地線
  • 変流器、受信機、音響装置の機器番号
  • 仮設電源で再開する重要業務と使用期間
消防庁の点検要領は、電源が二つ以上ある場合に、それぞれの電源ごとに漏電火災警報器を設ける考え方を示しています。
別棟やテナントが独立した電源を持つ場合も、供給系統ごとに確認します。
単線結線図が更新されていなければ、仮設配線へ識別札を付け、現場調査の結果を図面へ反映してください。
既設と仮設を色分けした一枚の図面が、関係者の見落としを減らします。

仮設分電盤だけ見ればよいと思っていました。

供給点から負荷まで追いましょう。

変流器と低圧幹線をどう照合するのか

すべての低圧幹線が漏電火災警報器の変流器を貫通している様子
照合の核心は、警戒する全低圧幹線が変流器を正しい形で通っているかを確かめることです。
図面上の記号だけで終わらせず、引込口、分岐点、変流器、仮設ケーブルの実物をたどります。
消防庁の漏電火災警報器点検要領は、変流器の外形、取付け状態、未警戒電路の有無を確認し、すべての低圧幹線が変流器を貫通していることなどを確認するよう示しています。
確認は次の順番で進めます。
  1. 通常電源と仮設電源の供給元を単線結線図へ記入する
  2. 建物へ入る低圧幹線を一本ずつ識別する
  3. 各幹線が通る変流器の機器番号を記録する
  4. 変流器から受信機までの配線と警戒表示を照合する
  5. 仮設分岐後の負荷と重要業務を対応させる
  6. 専門業者が作動試験を行い結果を記録する
変流器に通す導体の組合せや方向を誤ると、意図した検出ができないことがあります。
また、変流器の定格電流は警戒電路の電流以上でなければならず、仮設負荷を増やすときは定格との適合も確認が必要です。
B種接地線へ変流器を設ける方式では、災害復旧で接地線を追加した結果、新しい接地線が変流器を通らず未警戒になる場合があります。
幹線方式と接地線方式のどちらかを現場で確認し、思い込みで判断しないでください。
作業後の写真には、識別札、変流器、貫通する導体が同時に写るようにして、図面とひも付けます。

図面だけで判定してはいけないんですね。

現物と照合して、写真も残すんや。

仮設分電盤を置けば安全だと思うと何を見落とすのか

仮設電源の幹線が変流器を通らず未警戒になる状態を示す様子
仮設分電盤に漏電遮断器が付いていても、建物に設けられた漏電火災警報器の確認を省略できるとは限りません。
両者は目的、保護範囲、検出条件、警報の伝わり方が同じではないためです。
消防庁の点検要領は、警戒電路の定格電流、変流器の取付け、未警戒電路、受信機の音響装置、表示灯、感度などを一続きで確認する構成です。一部分の機器が正常でも設備全体の監視状態は確定しません。
見落としやすい点は次のとおりです。
  • 可搬形発電機から負荷へ直接つなぎ、既設変流器を通っていない
  • 新しい低圧幹線やB種接地線だけが未警戒になっている
  • 電源切替後の警戒電路と受信機表示が一致していない
  • 変流器の定格と増加後の負荷電流が適合していない
  • 受信機や音響装置の電源が復旧していない
  • 仮設ケーブルの移設後に図面と識別札が更新されていない
漏電火災警報器の感度を上げればよいと考え、施設担当者が設定を変えるのも危険です。
感度は警戒電路に適合し、誤報が生じないよう設定する必要があります。
誤報が続く場合も原因を調べずに受信機や音響を止めず、専門業者へ調査を依頼してください。
仮設だから短期間で終わるという理由で未警戒を容認しないことが重要です。
やむを得ず設備の正常状態を確保できない場合は、所轄消防署、建物管理者、専門業者と運用を協議し、対象範囲と期限を記録します。

漏電遮断器があっても確認は別に必要なんですね。

役割を混同せず、両方を確認します。

明日から増設前後の確認をどう進めるのか

作業員が仮設分電盤と変流器と電気図面を照合する様子
まず、仮設電源を接続する前の状態を写真と単線結線図で記録します。
次に、誰が配線を変更し、誰が漏電火災警報器の監視状態を確認し、誰が通電を承認するかを決めます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源を把握し、代替戦略、実施体制、教育訓練、見直しを継続する考え方を示しています。仮設電源も重要業務を支える資源として、導入から撤去まで管理します。
次の手順を電源増設票へまとめてください。
  1. 仮設電源で再開する重要業務と必要容量を決める
  2. 電源供給点、切替方法、接続先、使用期限を記入する
  3. 全低圧幹線とB種接地線を図面と現場で照合する
  4. 幹線ごとの変流器と受信機表示を記録する
  5. 電気工事担当と消防設備担当が相互確認する
  6. 変更後の作動試験、音響、表示、感度を確認する
  7. 通電時刻、承認者、点検結果、残課題を記録する
  8. 仮設撤去時にも同じ手順で既設状態へ戻ったことを確認する
消防用設備等の点検は、消防法第17条の3の3に基づく定期点検だけで終わるものではありません。
災害後の配線変更や仮設電源の増設によって監視範囲が変わるときは、その都度確認します。
漏電火災警報器の整備は資格区分にも関わるため、有資格者を含む専門業者へ依頼してください。
増設前と増設後の写真を同じ構図で残すと、変更点を引継ぎやすくなります。
訓練では仮設電源の接続そのものだけでなく、未警戒を見つけて通電を止める判断まで確認します。
BCPの電源復旧手順と消防用設備台帳をつなぎ、変更のたびに版番号と承認者を更新してください。

増設前後を同じ記録票で追います。

ええですね。
撤去時の復旧確認も忘れずに。

よくある質問

Q仮設分電盤に漏電遮断器があれば漏電火災警報器の確認は不要ですか?
A不要とは限りません。設備の目的と監視範囲を混同せず、仮設幹線が漏電火災警報器の変流器を通るかを確認します。
Q可搬形発電機を短期間だけ使う場合も確認しますか?
Aはい。期間の長短ではなく、接続した回路が監視範囲に入るかを確認します。接続方法は電気工事担当と消防設備担当で照合してください。
Q受信機が正常表示なら未警戒はありませんか?
A正常表示だけでは判断できません。変流器を通らない回路は受信機が検出できないため、幹線の現物確認が必要です。
Q記録には何を残せばよいですか?
A電源供給点、接続先、全低圧幹線、変流器番号、受信機表示、試験結果、写真、使用期限、通電の承認者を残します。

まとめ

通電前に既設と仮設の電源系統を一枚にします
すべての電源供給点と低圧幹線を洗い出します
各幹線が変流器を通るか現場で確認します
電源が二つ以上なら系統ごとに監視状態を確認します
漏電遮断器と警報器の役割を混同しません
専門業者の作動試験と記録をそろえます
撤去後も既設状態への復旧を確認します

全低圧幹線と変流器を一枚で照合します!

未警戒を残さず通電しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。仮設電源の接続や漏電火災警報器の配線、感度調整、作動試験は施設担当者だけで行わないでください。個別の設置義務、仮設配線、監視範囲、点検、通電、代替措置の判断は、建物と設備の状況に応じて所轄消防署、建物管理者、電気工事業者、消防設備士へご確認ください。

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