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BCPで災害復旧用の仮設間仕切りを作ったらスプリンクラーは散水できるのか|散水障害と未警戒を防ぐ確認手順を解説

災害復旧用の仮設間仕切りとスプリンクラーヘッドを確認する作業員

地震や浸水の復旧工事で、執務場所や資材置場を急いで分けるため、仮設間仕切りを設けることがあります。
しかし天井まで届く間仕切りを追加すると、既設のスプリンクラーヘッドが片側にしかなく、新しい未警戒部分が生じることがあります。
防炎シートを使っていても、ヘッドの散水を遮れば防護範囲は確保できません
BCPでは、設置前に間仕切り位置とヘッド配置を照合し、散水障害と未警戒を残さない手順を決めます。

仮設なら設備変更にはなりませんか。

期間より、散水への影響で見ます。

防炎シートなら大丈夫ですか。

防炎性能と散水障害は別の確認です。

この記事の結論
  • 間仕切りを注文する前に平面図へ位置と高さを記入します
  • 変更後の区画ごとにヘッドの有無を照合します
  • 散水を遮る壁やシートや棚を現場で確認します
  • 防炎性能だけで安全と判断しません
  • 専門業者と所轄消防署へ相談し、設置前後の承認と記録を残します

仮設間仕切りの位置とスプリンクラーヘッドの配置を照合して散水障害と未警戒を防ぐ流れを示す図解

災害復旧用の仮設間仕切りを作ったら散水できるのか

広い復旧事務室を仮設間仕切りで分けると片側が未警戒になる様子
結論からいえば、間仕切り後の各部分へ有効に散水できるかを改めて確認します
仮設という名称や設置期間の短さだけで、確認を省略することはできません。
消防庁のスプリンクラー設備点検要領は、間仕切り、たれ壁、ダクト、棚などの変更、増設、新設によって未警戒部分が生じていないことを確認するよう示しています。
一つの広い室を天井近くまでの壁で二つに分けると、片側のヘッドから放出した水が反対側へ届かないことがあります。
その結果、新しい区画にヘッドがなく、火災時に初期消火を期待できない部分が生じます。
また、ヘッドのすぐ近くへシートや資材を置けば、区画内にヘッドがあっても散水が遮られます。
確認するのはヘッドの個数だけではなく、間仕切り後の空間形状、梁、ダクト、棚、収納物を含めた実際の散水範囲です。
施設担当者だけで追加の要否を決めず、消防設備士などの専門業者へ図面を示して判断してください。
必要に応じて所轄消防署へ事前相談し、工事と運用の条件を確認します。

壁を立てるだけでも防護範囲が変わるんですね。

せやで。
区画ごとの散水を見ます。

どの間仕切りと防護範囲を対象に確認するのか

施工図と床の位置出しと梁とダクトとスプリンクラーヘッドを照合する様子
床から天井まで届く壁だけでなく、水の広がりを変える物を対象にします
パネル、ビニールシート、カーテン、たれ壁、背の高い棚、仮設天井も確認対象です。
消防法施行規則第13条の2第4項第1号は、標準型ヘッドについて、一定の梁で区画された部分ごとの設置、幅または奥行きが1.2メートルを超えるダクトや棚などの下部への設置、デフレクター周囲の物品との離隔などを定めています。
まず、復旧工事の前後を比較できる平面図と天井伏図を用意します。
次の変更を一枚の図面へ重ねてください。
  • 仮設間仕切りの位置、高さ、材質、設置期間
  • 既設スプリンクラーヘッドの位置と種類
  • 梁、ダクト、照明器具、仮設天井の位置
  • 棚、段ボール、復旧資材の高さと置場
  • 閉鎖する扉やシャッターと避難経路
低い間仕切りでも、ヘッドの近くへ寄せたり、その上へ荷物を積んだりすれば散水を妨げます。
反対に天井まで届かないから必ず問題がないともいえません。
ヘッドの形式や天井の高さによって必要な配置が異なるため、既存図面から設備の仕様も確認します。
用途変更や収容物の変更を伴う場合は、間仕切りだけでなく消防用設備全体への影響を見ます。
対象を絞るときも、少なくとも変更範囲の周囲まで連続して現地確認してください。

棚やダクトも同じ図面に入れるんですね。

水を遮る物はまとめて確認します。

ヘッド配置と散水障害をどう照合するのか

事務室と復旧資材置場の両側にスプリンクラーヘッドを設けた様子
図面上の距離だけでなく、完成後の見通しと遮り方を現場で照合します
間仕切りの片側からヘッドが見えるかではなく、火源が想定される床面や壁際へ有効に水が届くかを確認します。
消防庁の点検要領は、ヘッド周囲に散水を妨げる物がないことに加え、間仕切りなどの変更で未警戒部分が生じていないことを外観確認する構成です。
照合は次の順番で進めます。
  1. 仮設間仕切りの位置と高さを施工図へ記入する
  2. 区画後の各室にあるヘッドを一つずつ記号化する
  3. 梁、ダクト、棚、シートによる散水の遮りを確認する
  4. 未警戒部分と散水障害部分を図面へ赤色で示す
  5. 追加ヘッドや配置変更の方法を専門業者と検討する
  6. 所轄消防署への届出や相談の要否を確認する
  7. 施工後に図面と現場を再照合して記録する
規則では、標準型ヘッドのデフレクターから下方0.45メートル以内、水平0.3メートル以内には何も設けず、散水に支障がないことを求めています。
ただし、この離隔だけを守れば全ての間仕切りが適合するという意味ではありません。
梁による区画や広いダクトの下部など、別の配置条件も合わせて確認します。
現場写真は、ヘッド、間仕切り上端、周囲の障害物が一枚で分かる構図にし、図面番号と撮影方向を記録してください。
追加工事後は、閉止弁や配管の状態を含めて専門業者が確認し、防護範囲が連続していることを確かめます。

離隔だけ見ればよいわけではないんですね。

せや。
区画全体の防護まで見ます。

防炎シートなら安全だと思うと何を見落とすのか

防炎カーテンが散水を遮り棚と復旧資材が水の届かない範囲にある様子
防炎性能が確認できても、スプリンクラーの散水障害が解消されるわけではありません
防炎は着火や燃え広がりを抑える性能の確認であり、ヘッドから放出された水の届き方とは別の論点です。
消防庁の点検要領は、ヘッド周囲の散水障害と、間仕切りなどの変更による未警戒部分を別の確認項目として示しています。間仕切り材の表示だけで代替できる確認ではありません。
見落としやすい点は次のとおりです。
  • 防炎表示を確認したため散水範囲の照合を省略する
  • シート上端を天井まで閉じ、反対側が未警戒になる
  • 空調の風でシートが揺れ、ヘッドへ接近する
  • シートの裏側へ段ボールや復旧資材を積み上げる
  • 仮設天井と間仕切りで小さな空間を作る
  • 配置変更後も古い設備図面を使い続ける
短期間だから毎日動かすという運用も、責任者や確認時刻が決まっていなければ維持できません。
代替措置として巡回や消火器を増やす場合でも、それだけで設備上の適否が確定するわけではありません。
正常な防護状態を確保できないときは、建物管理者、専門業者、所轄消防署で対象範囲と期限を協議します。
協議結果には、禁止する作業、火気管理、巡回、連絡方法、復旧期限を記録してください。
シートの材質と設備への影響を分けて確認することが、思い込みを防ぎます。

防炎表示だけで決めてはいけないんですね。

散水できるかも別に確認します。

明日から設置前後の確認をどう進めるのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が図面と間仕切りとヘッドを最終確認する様子
注文前、施工前、施工後、撤去後の四つの時点で確認します
間仕切りの寸法を確定してから設備への影響に気付くと、納期と費用が増え、復旧計画も遅れます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源を把握し、事業継続戦略、実施体制、教育訓練、見直しを継続する考え方を示しています。仮設間仕切りも復旧環境を構成する変更として管理します。
次の手順を仮設間仕切り確認票へまとめてください。
  1. 使用目的、設置場所、寸法、材質、期間を決める
  2. 平面図と天井伏図へ間仕切り位置を記入する
  3. 既設ヘッド、梁、ダクト、棚との位置関係を確認する
  4. 専門業者が未警戒と散水障害を判定する
  5. 追加や移設、届出、所轄消防署への相談を進める
  6. 施工後に写真と図面を照合して承認する
  7. 使用中は資材の積上げとシートの移動を巡回確認する
  8. 撤去後に配管とヘッドが既設状態へ戻ったことを確認する
消防法第17条は、関係者に消防用設備等を技術上の基準に従って設置し、維持することを求めています。
また第17条の3の3に基づく定期点検があっても、復旧工事による変更を次回点検まで放置してよいことにはなりません。
工程表へ消防設備の確認日を入れ、間仕切り工事より前に専門業者が確認できるよう調整します。
完成写真にはヘッドと間仕切り上端を同時に写し、図面、判定者、確認日をひも付けます。
BCP訓練では間仕切り設置を想定し、設備担当へ連絡して承認を得る流れまで確認してください。
撤去後の復旧確認まで担当者を決めると、仮設状態の放置を防げます。

注文前から設備担当へ回します。

ええですね。
撤去後の確認も入れましょう。

よくある質問

Q天井まで届かない間仕切りなら確認は不要ですか?
A不要とは限りません。高さだけで決めず、ヘッドとの離隔、梁や棚、収納物を含めて散水への影響を確認します。
Q一週間だけ使う防炎シートでも確認しますか?
Aはい。期間や防炎性能だけではなく、シートが水を遮る位置にないか、反対側に未警戒部分が生じないかを確認します。
Qヘッドから0.45メートル空ければ十分ですか?
Aその離隔だけで一律に判断できません。間仕切り後の区画、梁、ダクト、棚、ヘッドの種類を含め、設備全体の配置条件を専門業者が確認します。
Q記録には何を残せばよいですか?
A設置前後の図面と写真、間仕切りの寸法と期間、ヘッド位置、判定結果、追加工事、相談記録、承認者と撤去日を残します。

まとめ

注文前に間仕切り位置と高さを図面へ記入します
区画後の各部分にヘッドがあるか照合します
壁、シート、梁、ダクト、棚による散水障害を確認します
防炎性能と散水への影響を分けて判断します
専門業者と追加や移設の要否を検討します
所轄消防署への相談と承認記録を残します
施工後と撤去後も現場と図面を照合します

間仕切りとヘッド配置を設置前に照合します!

未警戒を残さず復旧しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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