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BCPで災害時の来訪者と委託先作業員をどう確認するのか|受付記録と避難後点呼をつなぐ手順を解説

来訪者と委託先作業員の受付記録を確認する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

避難後の点呼で従業員は全員そろったのに、受付へ来ていた取引先や設備業者の所在が分からない。
そんな事態を防ぐには、従業員名簿だけでなく、受付記録と避難後の確認をつなぐ必要があります。
来訪者と委託先作業員も在館者として確認します
誰が建物内に残っているか分からない人を、確認済みにしない運用が重要です。

社員は全員そろったのに、点検業者さんが見当たりません。

受付記録から在館者を拾い直す必要があります。

入館証が残っていたら、中にいると決めてええんですか?

決めつけず、未確認として追跡します。

この記事の結論
  • 来訪者と委託先作業員も在館者として確認します
  • 受付記録と入退館状況を避難後の点呼へ渡します
  • 未確認者を無事や退館済みと決めつけません
  • 停電や通信障害に備えて紙の代替記録を用意します
  • 来訪者役を入れた訓練で受付から点呼までを確かめます

来訪者と委託先も在館者として受付記録から避難誘導と集合場所の点呼へつなぐ中央一場面のアイソメ図

BCPで災害時の来訪者と委託先作業員をどう確認するのか

受付の来訪者記録を屋外集合場所の点呼へつなぐ施設担当者のアイソメ図
結論からいうと、従業員の安否確認だけでは足りません。
災害時に建物内にいる可能性がある人を、受付記録、入館証、訪問先の担当者、現場責任者から確認します。
消防庁の防災危機管理eカレッジは、店舗などでの基本行動として、発生場所の確認と119番通報、お客様への周知、誘導、避難者の確認を示しています。安全な場所へ避難した後は、逃げ遅れやけが人の有無を確認し、消防隊へ報告するとしています。
確認する単位は社員ではなくその時点の在館者です
来訪者は避難経路や集合場所を知らないことがあり、委託先作業員は機械室や屋上など従業員が普段いない場所にいることがあります。
受付担当者だけが名簿を持っていても、避難時に持ち出せなければ点呼へ使えません。
誰が記録を持ち出すか、持ち出せないとき誰が電子データを確認するかを二重化します。
集合場所では、従業員、来訪者、委託先作業員を分けて数え、行方が分からない人は未確認として残します。
未確認者の最終確認場所や訪問先を整理し、消防隊へ正確に伝えます

社員の点呼だけで終わったらアカンのですね。

はい。
その時いた人全員を確認します。

どの来訪者と作業場所を対象に確認するのか

従業員と来訪者と保守作業員と配送員を受付で区別して把握するアイソメ図
対象は会議室へ来た取引先だけではありません。
受付を通らず搬入口や通用口から入る人も含め、建物内へ入る外部者を洗い出します。
内閣府の事業継続ガイドラインは、初動段階で顧客と従業員の安全確保、必要な場合の避難誘導、従業員等の安否確認、建物や設備の被害確認を行う考え方を示しています。
入口と訪問先と作業場所を一組で把握します
同じ会社の人でも、会議室にいる人と設備室で単独作業中の人では確認経路が異なります。
  • 取引先や面接者など受付を通る来訪者
  • 設備点検や清掃を行う委託先作業員
  • 搬入口から入る配送員や納品業者
  • イベントや研修に参加する外部参加者
  • 一時的に別拠点から来ている応援者
  • 屋上や機械室など別区画で作業する人
  • 障害などにより避難支援が必要な人
受付記録には、氏名または識別できる情報、所属、訪問先、入館時刻、退館状況を必要な範囲で残します。
委託作業では、現場責任者、作業人数、作業場所、予定終了時刻を作業許可や入館記録と結びます。
来訪者の個人情報は必要以上に集めず、緊急時に誰をどこで確認するかという利用目的を明確にします。
共用ビルでは、管理会社、テナント、警備、受付のどこが各入口の記録を持つかを事前に調整します。

搬入口から入る業者さんが抜けていました。

入口ごとの記録を一つに集めましょう。

受付記録から避難後点呼まで何を決めるのか

受付で来訪者へ入館証を渡し退館時に回収する流れを示すアイソメ図
BCPには、入館時、災害発生時、避難時、集合場所での確認を一続きの手順として書きます。
消防計画の避難誘導と、BCPの情報集約が途中で切れないようにします。
消防法施行規則第3条は、消防計画に火災、地震その他の災害が発生した場合の消火活動、通報連絡、避難誘導に関する事項を定める枠組みを置いています。
受付記録を集合場所の点呼担当へ渡す経路を決めます
記録を作るだけでなく、更新、持出し、照合、未確認者の追跡まで担当を置きます。
  1. 入館時に訪問先と作業場所を記録する
  2. 退館時に入館証を回収して記録を閉じる
  3. 災害時に受付記録を安全に持ち出す
  4. 訪問先担当者が同行者を確認する
  5. 集合場所で従業員名簿と別に照合する
  6. 未確認者の最終確認場所をまとめる
  7. 消防隊へ人数と場所を報告する
受付が無人になる時間帯は、警備員や当直者が記録を引き継ぐ方法を決めます。
電子入退館システムを使う場合も、停電や通信障害で画面を開けない想定を入れ、紙の控えまたは別端末を用意します。
来訪者には、入館時に非常口と集合場所を簡潔に案内し、災害時は訪問先担当者の指示に従うことを共有します。
点呼担当者は集計結果だけでなく、未確認者の所属、服装、訪問先、作業場所など消防活動に必要な情報を整理します。

受付簿を誰が持ち出すか決めてませんでした。

持出し担当と代行者まで決めましょう。

入館証が残っていても何を見落としやすいのか

設備室に残る作業員と屋外集合場所の未確認者を受付記録で照合するアイソメ図
入館証が受付に残っているからといって、その人が建物内にいるとは限りません。
返却を忘れて退館した場合も、別の出口から出た場合もあります。
消防庁の大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインは、避難誘導の活動要領に逃げ遅れの有無をどう確認するかを記載し、誘導員が退避するときも逃げ遅れ等を確認する考え方を示しています。
入館証は手掛かりであって在館を確定する答えではありません
受付記録、入退館ログ、訪問先担当者、現場責任者、集合場所の本人確認を組み合わせます。
  • 入館証の返却忘れを在館中と断定していないか
  • 通用口や搬入口からの退館を記録できるか
  • 複数棟を移動した人の現在地が分かるか
  • トイレや機械室の確認担当が決まっているか
  • 集合場所が複数ある場合に結果を統合できるか
  • 受付担当者自身が避難できる手順になっているか
  • 未確認者を探しに建物へ戻らない決まりがあるか
本人が見つからない場合でも、従業員が独断で建物へ戻ってはいけません。
未確認者の情報は消防隊へ引き継ぎ、捜索は安全管理の下で行います。
退館済みの連絡が取れた場合は、誰が、いつ、どの手段で確認したかを記録します。
集合場所を離れる人が出た場合も、再び未確認にならないよう退出管理を続けます。

名札だけ見て中にいると決めるのは危ないですね。

はい。
複数の記録で照合します。

明日から来訪者の確認手順をどう整えるのか

受付記録と避難経路と屋外集合場所を使って来訪者役の点呼訓練をするアイソメ図
最初に、受付、通用口、搬入口で使っている記録を一か所へ集めます。
次に、災害時に誰が持ち出し、どの集合場所へ渡すかを決めます。
内閣府の事業継続ガイドラインは、緊急時の手順を行動する人へ配布して活用できるよう管理し、教育・訓練を定期的に実施する考え方を示しています。消防庁も避難訓練でお客様役を設定し、一連の行動を行うよう案内しています。
来訪者役を一人入れるだけで点呼の抜けが見つかります
通常の従業員訓練へ、受付中、会議中、設備室作業中の想定を加えます。
  1. すべての入口と受付記録を洗い出す
  2. 来訪者と委託先作業員の記録項目をそろえる
  3. 持出し担当者と代行者を決める
  4. 集合場所ごとの点呼担当者を決める
  5. 停電時に使う紙の控えを準備する
  6. 未確認者の報告票を用意する
  7. 来訪者役を入れた避難訓練を行う
訓練では、入館証を返さず別出口から退館した想定や、設備室に作業員が残った想定も入れます。
点呼完了までの時間だけでなく、未確認者の最終場所を消防隊役へ伝えられたかを評価します。
受付記録の様式、集合場所、テナント構成、委託会社が変わったときは、消防計画とBCPの双方を更新します。
訓練で見つかった未達事項は担当者と期限を決め、次回までに是正します。

次の訓練は業者さん役も入れてみます。

ええですね。
受付から点呼まで通して試しましょう。

よくある質問

Q受付簿があれば来訪者の点呼はできますか?
A受付簿だけでは退館忘れや別出口の利用を判断できません。訪問先担当者、現場責任者、入退館ログ、本人確認を組み合わせ、分からない人は未確認として扱います。
Q配送員も入館記録の対象ですか?
A建物内へ入る場合は、搬入口を含めて在館状況を確認できる仕組みにします。短時間でも、災害時に所在を説明できる最小限の記録を残します。
Q未確認者を探しに建物へ戻ってよいですか?
A独断で戻りません。最終確認場所、服装、訪問先、作業内容などをまとめ、消防隊へ報告してください。
Q電子入退館システムだけで足りますか?
A停電や通信障害で使えない場合に備え、紙の控え、別端末、管理会社からの情報提供など代替手段を決めます。

まとめ

来訪者と委託先作業員も在館者として確認します。
入口、訪問先、作業場所を一組で記録します。
受付記録を避難後の点呼へ渡します。
未確認者を退館済みと決めつけません
未確認者を探しに戻らず消防隊へ報告します。
停電時の紙の代替記録を用意します。
来訪者役を入れた訓練で流れを確かめます。

受付記録から点呼まで見直します!

未確認を残さない仕組みを作りましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。建物の用途、規模、入口の数、入退館システム、テナント構成によって必要な手順は異なります。個別の消防計画は所轄消防署へ、BCPと来訪者情報の管理は自社の業務、契約、個人情報の取扱いに応じてご確認ください。

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