停電や断水が続き、従業員の食事を温めるために備蓄倉庫の七輪を事務所へ持ち込みたくなることがあります。
電気を使わず調理できる一方、炭は燃焼中に一酸化炭素を発生させ、火が見えにくくなった後も高温が残ります。
窓を少し開けただけで安全と決めると、体調不良の見逃しや可燃物への着火につながります。
七輪は室内のBCP調理器具にしません。BCPには屋外の使用場所、監視者、可燃物との距離、消火確認、体調異常時の対応を定め、消防計画の火気管理と避難経路にも反映します。
停電中なら、七輪を会議室で使ってもええんですか?
室内使用はBCPに組み込みません。
換気扇を回したら大丈夫やと思ってました。
屋外の安全な場所へ切り替えましょう。
- 七輪は室内のBCP調理器具にしません
- 炭の一酸化炭素は見えないため換気だけを安全根拠にしません
- 屋外の不燃性床面で可燃物と避難動線から離します
- 使用中は担当者を置き火気と体調変化を監視します
- 使用後は炭の消火と冷却を確認し記録を残します
▼

目次
災害時に七輪を室内で使ってよいのか

炭は炎が小さく見えても燃焼を続け、酸素が不足すると一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素は無色・無臭で、においや煙だけでは危険を判断できません。
頭痛、吐き気、めまい、意識がぼんやりする状態が出ても、疲労や寝不足と誤認しやすい点が災害時の怖さです。
異変を訴える人が出たら、使用を止め、無理に原因確認へ戻らず新鮮な空気のある場所へ避難させます。
反応が鈍い、歩けない、意識がないなどの症状があれば、直ちに一一九番通報します。
他の人が密閉空間へ救助に入ると二次被害になるおそれがあるため、消防へ状況を伝えます。
煙が見えへんから、気づきにくいんですね。
見えない危険を前提にします。
どの七輪と場所を対象に確認するのか

従業員が私物として持ち込む火鉢、練炭こんろ、炭焼き器など、炭を燃やす器具をまとめて確認します。
使用場所は執務室、会議室、倉庫、休憩室、車庫、テント、車内など、壁や屋根に囲まれた場所を候補から外します。
屋外でも出入口や給気口の直前は避けます。
煙や一酸化炭素が建物へ入り込む位置、避難者が通る位置、強風で火の粉が飛ぶ位置は適しません。
消防庁の震災後の火災予防に関する事務連絡は、避難施設で火気器具等と可燃物の間に必要な離隔を保ち、避難障害となる物品を整理するよう求めています。
- 施設が保有する七輪、火鉢、練炭こんろ
- 木炭、練炭、着火剤、マッチ、ライター
- 屋内と屋外の候補場所、出入口、給排気口
- 周囲の段ボール、カーテン、植栽、車両
- 消火器、水バケツ、金属製ふた付き容器
誰でも持ち込める状態にせず、保管庫と鍵を管理担当者へ一本化します。
屋外使用が禁止される区域や条例上の届出が必要な催しでは、施設ルールと所轄消防署の指導を優先します。
屋外なら、どこでもええわけやないんですね。
空気と動線の両方を見ます。
屋外の使用手順をどう決めるのか

途中で担当交代する場合は、火の状態と消火資器材を現場で引き継ぎます。
- 取扱説明書と施設ルールを確認し、屋外の指定場所へ運ぶ
- 不燃性の安定した床面に置き、可燃物と避難動線から離す
- 消火器と水バケツ等を準備し、監視担当者を表示する
- 着火から消火までその場を離れず、風向きと人の動きを見る
- 炭を所定の方法で消火し、十分に冷えたことを確認して記録する
炭の追加や着火剤の再投入は火勢が急に強くなるため、取扱説明書にない方法を行いません。
消毒用アルコール、ガソリン、灯油などを着火剤代わりに使わず、燃料容器を火気から離して保管します。
風が強くなった、余震が続く、周囲が混雑した、消火器を使えないなどの変化があれば直ちに使用を中止します。
業務再開を急ぐ場面ほど、電気調理器や調理済み食品など火を使わない代替手段を先に選びます。
担当を決めたら、片付けまで見るんですね。
消火確認までが使用です。
換気すれば安全と思いやすいのはなぜか

風向き、開口部の位置、室内の広さ、燃焼状態は変わるため、換気量を現場の感覚だけで判断できません。
一酸化炭素警報器があっても、屋内使用を正当化する道具にはしません。
警報器は補助的な監視手段であり、設置位置、電池、点検状態に左右されます。
また、七輪の外側や金網、炭は消火後もしばらく高温です。
通路へ仮置きすると、接触や転倒、床材への熱伝導、残り火による再燃の危険が残ります。
段ボール箱やごみ袋へ炭を移さず、不燃性の容器で冷却完了まで管理します。
消えたように見える炭も、まだ熱いんですね。
見た目だけで片付けません。
明日から七輪の運用をどう確認するのか

次に、屋内使用を禁止することと、使用できる屋外場所の条件を施設ルールへ書き込みます。
- 七輪、火鉢、練炭こんろ、木炭、着火剤の保管数を確認する
- 屋外候補地の床面、風向き、出入口、給排気口、避難動線を見る
- 消火器、水バケツ、金属製容器、耐熱手袋をそろえる
- 使用責任者、交代方法、中止条件、体調異常時の通報手順を決める
- 訓練では着火せず、搬出、配置、監視、消火確認、記録まで動線を確認する
器具の搬出経路、指定場所、消火資器材、担当交代、救急要請の連絡先を机上と現場で照合します。
消防計画には火気の使用や避難経路の管理を、BCPには調理を続ける条件と代替手段を記載し、同じ担当者名と連絡先にそろえます。
点検で屋外場所を確保できないと分かった場合は、七輪を使う計画を削除し、非常食や蓄電池式調理器など火を使わない代替へ切り替えます。
変更日、確認者、次回点検日を記録し、従業員へ周知します。
火を付けずに動線だけ訓練してみます。
搬出から記録まで確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず七輪の保管場所と屋外候補地を確認します!
室内で使わない運用を整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 総務省消防庁 地震発生後の火災防止に関する注意喚起について
- 東京消防庁 住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!
- 東京消防庁消防技術安全所 一酸化炭素中毒事故に関する検証
- 消防庁消防大学校 消防研究センター 火気器具等の取扱いについて
※本記事は消防庁、東京消防庁等の公表資料に基づく一般的な解説です。七輪等の使用可否、火気器具と可燃物の離隔、屋外使用場所、催しの届出、消火方法は、器具の取扱説明書、施設条件、市町村条例、所轄消防署の運用等によって異なります。具体的な判断は防火管理者、施設管理者、製造者、所轄消防署へご確認ください。





