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BCPで災害復旧中に屋内消火栓を清掃へ使ってよいのか|消火用設備を確保する運用を解説

屋内消火栓を点検する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

地震や断水のあと、床の泥を流すために屋内消火栓のホースを使いたくなることがあります。
すぐ近くに水と長いホースがあるため、復旧作業に便利そうに見えるからです。
しかし、放水後のホースや弁、ポンプ、警報、水源を元へ戻せなければ、次の火災に対応できません。
屋内消火栓は清掃用の水道にしません。BCPには消火用の水量を確保すること、使用後の復旧確認と記録、清掃用水の代替手段を定めます。

泥を流すだけなら、消火栓を使ってもええんですか?

清掃用には使わない運用にします。

水が残っていれば大丈夫やと思ってました。

設備全体の復旧まで確認しましょう。

この記事の結論
  • 屋内消火栓は清掃用の水道にしません
  • 消防用設備等は消火に必要な性能を維持します
  • 水源・ポンプ・弁・ホースを一つの系統で確認します
  • 訓練や点検で放水した後は専門業者が復旧を確認します
  • BCPには清掃用水を別に用意し使用記録を残します

屋内消火栓を清掃に使わず水源とポンプとホースを復旧し記録する流れのアイソメ図

災害復旧中に屋内消火栓を清掃へ使ってよいのか

施設担当者が屋内消火栓を清掃に使おうとする作業員を止めるアイソメ図
結論からいうと、災害復旧の清掃を目的に屋内消火栓を無計画に使う運用にはしません。
消防法に「清掃への使用を一律に禁止する」と書いた条文があるわけではありません。
一方で、消防用設備等は火災時に働く状態で設置し、維持することが求められます。
消防法第十七条は、関係者に対し、政令で定める技術上の基準に従って、消火・避難その他の消防活動に必要な性能を有する消防用設備等を設置し、維持することを求めています。
水が出たことと、火災時に使えることは同じではありません
清掃で放水すると、水源の残量が減るだけでなく、ホースの水抜きや収納、弁の閉止、ポンプと制御盤の復旧が必要になります。
復旧途中に火災が発生した場合、ホースが使えない、扉が閉まらない、ポンプが停止したままという状態は避けなければなりません。
したがってBCPでは、屋内消火栓を消火目的に確保し、清掃には別の水源とホースを準備します。
やむを得ず試験や訓練で放水する場合は、設備の取扱いを理解した者が行い、復旧確認までを一つの作業として管理します。

水が出るだけでは判断できへんのですね。

消火できる状態で判断します。

どの消火栓と水源を対象に確認するのか

施設担当者が屋内消火栓箱とポンプ室と水槽を図面で確認するアイソメ図
対象は廊下の赤い消火栓箱だけではありません。
屋内消火栓設備は、水源、加圧送水装置、配管、起動装置、表示灯、消火栓弁、ホース、ノズルなどがつながって働く設備です。
一号消火栓、易操作性一号消火栓、二号消火栓では操作方法や必要な人数が異なります。
東京消防庁は、一号消火栓は二人以上で、易操作性一号消火栓と二号消火栓は一人でも操作できる設備として案内しています。
  • 消火栓箱の前に荷物がなく、扉を開けられるか
  • ホース、ノズル、結合部に損傷や変形がないか
  • 消火栓弁と起動装置を容易に操作できるか
  • 水源に所定の水量があり、漏水や濁りがないか
  • ポンプ、制御盤、非常電源、表示灯が正常か
箱・配管・ポンプ・水源を一つの系統で確認します
水槽が雑用水やスプリンクラー設備などと共用されている場合は、清掃で使える余剰水だと自己判断しません。
消防庁の点検要領でも、他の用途と水源を共用する場合を含め、必要な水量が確保されているかを確認します。
設備図面、竣工図、点検結果報告書を照合し、分からない配管や弁を現場判断で操作しないことが重要です。
設備の方式や復旧方法は施設ごとに違うため、取扱説明書と点検業者の手順を優先します。

赤い箱だけ見たらアカンのですね。

水源からノズルまで見ます。

消火用設備を使える状態にどう保つのか

施設担当者と点検員が屋内消火栓のホースとポンプの復旧を確認するアイソメ図
BCPでは、災害直後の使用停止と、点検後の使用再開を分けて決めます。
建物の傾き、配管からの漏水、受水槽の損傷、停電、制御盤の異常がある間は、むやみに起動しません。
まず人の安全を確保し、点検資格者や保守業者へ状況を伝えます。
  1. 消火栓箱、配管、水源、ポンプ室の外観を確認する
  2. 漏水、異音、焦げ臭、警報表示があれば立入範囲を制限する
  3. 点検業者が水量、弁、起動装置、ポンプ、ホースを確認する
  4. 放水した場合はホースを水抜きし、所定の形で収納する
  5. 弁、ポンプ、制御盤、表示灯を通常状態へ戻し記録する
消防庁の点検要領は、ポンプ周囲に操作上の障害がないこと、起動装置で確実に始動すること、ホースやノズルが正常に収納されていることなどを確認項目にしています。
放水が終わっても、設備の復旧は終わっていません
濡れたホースを乱雑に戻すと、折れ、劣化、接続不良を見逃しやすくなります。
ポンプを手動停止したままにしたり、制御盤の切替えを戻し忘れたりしないよう、二人で確認します。
復旧記録には、日時、使用目的、放水した場所、確認者、異常の有無、補修依頼を残し、防火管理者へ報告します。
使用可否を判断できない場合は、消防計画とBCPに代替措置と連絡先を記載します。

ホースを戻したら終わりやないんですね。

制御盤まで元へ戻します。

水が出ればすぐ復旧できると思い込みやすいのはなぜか

点検員が水の出る屋内消火栓と警報表示と水槽残量を別々に確認するアイソメ図
見落としやすいのは、ノズルから水が出た事実だけで設備全体を正常と判断することです。
屋内消火栓には、必要な放水量と圧力を保ち、火災時に速やかに操作できることが求められます。
少量の水が出ても、水源不足、ポンプ能力の低下、配管の漏れ、ホースの損傷が残っている可能性があります。
  • 共用水槽の水を使い、必要な消火水量を下回っている
  • ホース内部に水が残り、収納時に折れやねじれが生じている
  • 消火栓弁や結合部から少量の漏水が続いている
  • ポンプや制御盤が手動停止の状態になっている
  • 清掃道具や資材が消火栓箱の前をふさいでいる
「水が出た」は点検の一項目にすぎません
消防庁の点検要領では、水源の水量、弁の位置、ポンプ、起動装置、消火栓箱、ホース、ノズル、表示灯などを個別に確認します。
災害後は停電復旧や断水解消に伴って設備の状態が変わるため、一度の目視だけで判断しません。
設備が損傷している間は、使用不能の範囲を明示し、初期消火器具の配置や監視強化などの代替措置を保守業者と検討します。
点検で異常が見つかった場合は、従業員へ使用不能箇所と避難方法を周知します。

水量やポンプも別に見るんですね。

一つずつ復旧確認します。

明日から屋内消火栓の運用をどう確認するのか

施設担当者が屋内消火栓の点検表と清掃用水の代替手段を確認するアイソメ図
まず、消防計画、BCP、設備図面、最新の消防用設備等点検結果報告書を一か所にそろえます。
次に、屋内消火栓を清掃に使わないことと、災害後の使用停止条件を担当者間で確認します。
  1. 消火栓箱、水源、ポンプ室、制御盤、非常電源の位置を図面で確認する
  2. 最新の点検記録から不良箇所、改修期限、使用不能範囲を確認する
  3. 地震、漏水、停電、警報表示がある場合の停止基準を決める
  4. 放水後の水抜き、収納、弁、ポンプ、警報の復旧確認者を決める
  5. 清掃用の給水車、仮設水槽、散水ホース、雑用水の調達先を定める
清掃用水の代替先まで書いて初めて運用できます
「消火栓を使わない」とだけ書いても、復旧作業の水が必要になれば現場判断で開けられるおそれがあります。
給水車の連絡先、仮設水槽の設置場所、清掃範囲の優先順位、使用量の記録方法をBCPへ追加します。
訓練では実放水を前提にせず、箱の位置、操作員、通報、避難誘導、復旧確認票の流れを机上で確認します。
実放水を伴う訓練は、施設の方式と取扱説明書に沿って点検業者へ事前相談します。
確認日、確認者、次回見直し日を記録し、消防計画とBCPの担当者名を一致させます。

清掃用の水も別に決めておきます。

代替先を先に確保しましょう。

よくある質問

Q屋内消火栓を清掃に使うと消防法違反ですか?
A清掃使用を一律に禁止する条文があるわけではありません。ただし消防用設備等の性能維持が必要なため、BCPでは清掃用にせず、具体的な判断は点検業者や所轄消防署へ確認します。
Q消防訓練なら屋内消火栓を使えますか?
A設備の方式、取扱説明書、施設の消防計画に沿って計画的に行います。実放水する場合は復旧作業と確認者まで決めます。
Qホースを使った後は何を確認しますか?
Aホースの水抜きと収納、弁の閉止、ポンプと制御盤、表示灯、水源水量を確認します。施設の手順に従い点検資格者へ復旧確認を依頼します。
Q水槽を雑用水と共用している場合は使えますか?
A消火に必要な所定水量を下回らないことが前提です。配管方式と有効水量を図面・点検記録で確認し、余剰水だと自己判断しません

まとめ

屋内消火栓は清掃用の水道にしません。
消防用設備等は消火に必要な性能を維持します。
水源からノズルまで一つの系統で確認します。
災害後は漏水・停電・警報表示を確認します。
放水後はホース・弁・ポンプ・制御盤を復旧します。
使用日時と確認者を記録します。
清掃用水は別の調達先を決めます。

まず消火栓と清掃用水を分けて確認します!

消火用に確保する運用を整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は消防法、消防庁、東京消防庁、内閣府の公表資料に基づく一般的な解説です。屋内消火栓設備の使用可否、放水、復旧、点検、必要水量、代替措置は、設備の方式、建物条件、被害状況、取扱説明書、所轄消防署の運用等によって異なります。具体的な判断は防火管理者、施設管理者、消防設備士、点検業者、所轄消防署へご確認ください。

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