地震で従業員を社内待機させるとき、会議室や執務室をパーティションで区切る予定はありますか。
目隠しを優先して並べると、通路が狭くなり、非常口や誘導灯が見えにくくなることがあります。
結論は、パーティションを置く前に防炎性能、避難通路、消防用設備等への影響を一つの配置図で確認することです。
待機場所を整えても、避難の機能と火災を知らせる機能は残さなければなりません。
目隠し用のパーティションなら、空いている所へ置いてええんですか?
避難通路と設備の見え方を先に確認しましょう。
背が低ければ消防設備には影響しませんか?
高さだけでは決まりません。
配置後の現場全体を見ます。
- パーティションは配置図を作ってから置きます。
- 避難所向け消防庁資料を参考に防炎性能を確認します。
- 通路と非常口を先に確保します。
- 感知器、スプリンクラー、誘導灯の働きを妨げません。
- 設置後は現場を歩き記録と訓練で見直します。
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目次
社内待機場所にパーティションを置いてよいのか

ただし、待機者の居住スペースを作るために、避難や初期消火の機能を弱めてはいけません。
消防庁の「避難所における防火対策の在り方」は、パーティション等に防炎性能を求め、避難通路と非常口を確保する配置を示しています。
この資料は避難所向けですが、事業所内で一時待機場所を設ける際にも重要な確認材料になります。
目隠しを作る前に、人が安全に外へ出られる経路を残します。
非常口、廊下、階段、防火戸の周辺を外し、消防用設備等を操作できる空間も確保します。
置いたらあかんのではなく、場所を選ぶんですね?
避難と消防活動を残す配置なら検討できます。
どのパーティションと待機場所を対象に確認するのか

あわせて、出入口、通路、感知器、スプリンクラーヘッド、誘導灯、消火器、防火戸の位置を確認します。
消防法第8条の3は、一定の防火対象物で使うカーテンなどの防炎対象物品に、防炎性能を求めています。
消防庁は、布製のアコーデオンドアをカーテンの一種として扱う見解も示しています。
一方、すべての床置きパネルが消防法上の防炎対象物品になるわけではなく、消防庁は対象外の寝具やテント類などを防炎製品として区別しています。
製品名だけで決めず、材質、使い方、防炎表示、設置する建物をセットで確認します。
- 布製カーテン型か硬質パネル型か
- 防炎物品または防炎製品の表示があるか
- 床から天井まで届く区画になるか
- 待機場所の出入口と避難通路はどこか
- 感知器とスプリンクラーヘッドの位置はどこか
- 誘導灯と消火器が見えて使えるか
防炎と書いてあれば全部同じですか?
表示と用途の区分まで見てください。
防炎性能と避難通路はどう確保するのか

配置後も、各区画から迷わず通路へ出られる形にします。
消防庁の避難所向け資料は、車いすの通行等を考慮して通路幅を原則1メートル以上とし、各区画の開口部の一辺を通路に面するよう示しています。
また、非常口を原則2か所以上設け、居住区画ごとに使う非常口を周知する考え方も示しています。
数字だけを写すのではなく、既存の消防計画と建物の条件を優先して有効な通路を確保します。
1メートルと2か所は避難所向け資料の目安であり、すべての事業所へそのまま適用される一律の法定値ではありません。
待機者数や車いす利用者を見込み、夜間も非常口と誘導方向が分かる配置にします。
通路幅を1メートルにすれば終わりですか?
いいえ。
出口まで通れることを現場で確認します。
高さだけ見れば安全と思い込みやすいのはなぜか

天井近くまで届く区画では、感知器の警戒やスプリンクラーの散水への影響も確認が必要です。
大阪市中央消防署は、間仕切り変更によって自動火災報知設備の未警戒部分が生じる場合があると案内しています。
東京消防庁も、間仕切り工事に伴って感知器や誘導灯などを増設または移設する場合は、消防用設備等設置届出書が必要になると示しています。
仮設だから設備への影響がないとは決めつけず、現況と消防設備図を重ねて確認します。
パーティションでスプリンクラーヘッドの散水を妨げず、感知器、誘導灯、非常ベル、消火器を隠さず操作できる状態にします。
仮設なら消防署への確認はいらんと思ってました。
設備へ影響する配置なら事前確認が必要です。
明日からパーティションの配置をどう確認するのか

次に、待機人数と区画数を仮置きし、設備の周囲と通路を外して配置します。
購入前に製品の材質と防炎表示を確認し、現物または同じ寸法のテープで床へ輪郭を示します。
現場を歩き、各区画から非常口まで通れるか、誘導灯が見えるか、消火器や屋内消火栓を使えるか確認します。
設置、撤去、巡回の担当者と代行者を決め、配置図を消防計画とBCPの両方から参照できるようにします。
訓練は設置で終えず、照明を落とした状態でも全員が出口へ動けるかまで確かめます。
訓練後は通路の狭まりや設備の見えにくさを写真と記録で是正します。
- 待機場所の平面図を準備する
- 非常口と避難通路を先に書き込む
- 防火戸と消防用設備等の周囲を空ける
- 製品の材質と防炎表示を確認する
- 床へ実寸の輪郭を示して歩く
- 設置と撤去の担当者を決める
- 夜間を想定した避難訓練で見直す
テープで実寸を出して歩けば分かりやすいですね?
設置前の実寸確認で手戻りを減らせます。
よくある質問
まとめ
避難できる配置図を作って訓練します!
防炎性能と避難動線を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条および第8条の3
- e-Gov法令検索 消防法施行令第4条の3
- 消防庁 避難所における防火対策について 令和5年3月28日
- 消防庁 防炎品
- 内閣府 事業所における帰宅困難者等対策ガイドライン 令和6年7月改定
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
- 東京消防庁 よくある質問 間仕切り工事と消防用設備等
- 大阪市中央消防署 立入検査結果通知書に関する質問
※本記事は公表されている法令および内閣府、消防庁、東京消防庁、大阪市消防局の資料に基づく一般的な解説です。避難所向け資料の数値がすべての事業所へ一律に適用されるわけではありません。製品、建物用途、待機者、消防用設備等に応じて、建物管理者、消防設備士、所轄消防署へ確認してください。





