地震や大雪で従業員が社内待機するとき、備蓄食を温めるために卓上IH調理器を使ってもよいのでしょうか。
火が見えないため安心しがちですが、鍋の選び方や少量の油、調理中の離席によっては発煙や発火につながるおそれがあります。
臨時の調理場所では、紙皿や段ボールなどの可燃物も集まりやすいものです。
卓上IHは機器と鍋と使用場所を一組で管理しましょう。
開始から停止まで見守る担当者をBCPへ落とし込みます。
火が見えへんIHなら、臨時に使っても大丈夫ですか?
使えますが、鍋と場所と見守りを先に決めましょう。
安全装置があれば、席を外してもええんですか?
安全装置へ頼り切らず、調理中は離れない運用にします。
- 卓上IHと適合する鍋を一組で確認します
- 紙類や段ボールを調理場所から離します
- 調理中は担当者がその場を離れません
- 取扱説明書どおりの加熱モードと油量を守ります
- 終了時は電源を切り冷えてから点検と記録を行います
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目次
社内待機中に卓上IH調理器を使ってよいのか

ただし「裸火がないから自由に使える」と判断し、備蓄品を臨時の机へ置くだけでは安全な運用になりません。
機器の型式、鍋の材質と底面、加熱する内容、周囲の可燃物、電源、見守る人を一組で確認します。
卓上IHの近くへ紙皿、包装材、布巾、段ボールを置くと、鍋の熱や誤操作による加熱の影響を受けるおそれがあります。
調理中はその場を離れない担当者を置き、異臭、煙、異常音があれば直ちに停止してください。
誰でも使える備品にせず、使用開始の判断者をBCPの炊き出し手順へ記載します。
機器が使えても、周りの紙類まで見なあかんのですね。
機器と周囲を一緒に確認してください。
どのIH調理器と鍋と使用場所を対象に確認するのか

鍋、電源コード、取扱説明書、使用する机、周囲の物品、消火器までを実際の配置で確認します。
底が反った鍋や機器に適さない鍋では、温度検知や加熱が想定どおりに働かないおそれがあります。
取扱説明書で使える材質、底径、底の形状を確認し、長期保管後は腐食や変形も見てください。
机は安定した不燃性の天板を選び、壁、カーテン、掲示物、備蓄箱から必要な離隔を確保します。
通路、防火戸、消火器の前を避け、コードを人が踏まない経路でコンセントへ通します。
- 卓上IH調理器の型式と取扱説明書
- 鍋の材質と底径と底面の状態
- 使用する机と周囲の可燃物
- コンセントと電源コードの経路
- 避難通路と防火戸の位置
- 消火器の位置と使用可否
- 調理担当者と停止判断者
備蓄箱から出して、鍋の底まで見てみます。
説明書と実物の組合せを確認しましょう。
使用開始から片付けまで何を決めるのか

設置、鍋の確認、加熱、配膳、停止、冷却、清掃、収納までを一つの手順にします。
食材や食器は開始前にそろえ、電話対応や物品の受取りで離席しない交代体制を決めます。
油を使う場合は、取扱説明書に記載された鍋、油量、揚げ物モードを守り、自己流で少量の油を加熱しません。
配膳時も熱い鍋を通路へ出さず、やけどを防ぐ区画と人の流れを分けます。
終了後は電源を切り、鍋と機器が冷えたことを確認してから清掃し、使用時間と異常の有無を点検記録へ残します。
途中で呼ばれても、鍋を置いたまま離れたらあかんのですね。
交代してから離れる手順にしてください。
安全装置があれば離れてもよいと思い込めないのはなぜか

しかし鍋の状態や使い方が想定から外れると、安全装置だけで危険を防げるとは限りません。
鍋底の反り、汚れ、少ない内容量、誤った加熱モードなどが重なると、想定した温度検知にならない可能性があります。
また、鍋を外した後の天板にも熱が残り、紙や樹脂製品を置けば変形や加熱につながるおそれがあります。
操作部へ物を載せず、使用中の卓上IHを物置台にしないでください。
安全装置の有無にかかわらず、担当者が目視できる範囲で加熱を続けます。
自動で止まると思い込んだら危ないんですね。
安全装置があっても見守りは必要です。
明日から卓上IH調理器の運用をどう確認するのか

次に実際の社内待機場所へ設置し、周囲の可燃物、電源、通路、消火器の位置を確認してください。
空の鍋で通電試験をするのではなく、取扱説明書に沿った安全な確認方法を選びます。
訓練では、設置、担当者交代、停止、配膳、冷却、片付けまで通し、混雑や物品不足を記録してください。
煙や異臭などの異常があれば、安全にできる範囲で電源を切り、周囲を離して使用を中止します。
訓練結果は、消防計画の火災予防上の役割とBCPの待機継続手順をつなぐ担当者と代行者へ共有します。
- 機器と鍋と取扱説明書を照合する
- 実際の使用場所へ一組を設置する
- 可燃物との離隔と電源経路を確認する
- 担当者が離れない交代方法を決める
- 異常時の停止と通報手順を決める
- 冷却と清掃と収納の方法を決める
- 訓練結果を消防計画とBCPへ反映する
まず一組を出して、置き場所から確認します。
その結果を施設の手順へ反映しましょう。
よくある質問
Q 卓上IHなら窓のない部屋でも使えますか?
A 燃焼ガスは生じませんが、調理の蒸気や煙、においへの対応は必要です。建物の運用と取扱説明書を確認し、火災感知器や避難設備へ影響しない場所を施設管理者と決めます。
Q IH対応の鍋なら何でも使えますか?
A 機器ごとに使える材質、底径、底の形状が異なります。表示だけで判断せず、取扱説明書と照合し、反りや変形のない鍋を使います。
Q 少ない油なら早く温まって便利ですか?
A 少量の油は急激に温度が上がるおそれがあります。取扱説明書で指定された油量、鍋、揚げ物モードを守り、自己流の少量加熱をしないでください。
Q 使用後すぐ収納箱へ戻してもよいですか?
A 電源を切り、鍋と天板が十分に冷えたことを確認してから清掃と収納を行います。熱いままコードや包装材を重ねず、異常の有無を記録してください。
まとめ
一組を実際に置いて、運用を確かめます!
炊き出しと火災予防を一緒にBCPへ落とし込みましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 製品評価技術基盤機構 IHこんろによる事故
- 製品評価技術基盤機構 IH調理器等による事故
- 東京消防庁 キッチン火災を防ぐポイント
- 東京消防庁 調理中のこんろから離れて発生した火災
- 消防庁 対象火気設備等技術基準検討部会報告書
- 消費者庁 消費生活用製品の重大製品事故 卓上型IH調理器を含む公表
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
- e-Gov法令検索 消防法第8条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
※本記事は公表されている法令および製品安全に関する公的資料に基づく一般的な解説です。使用できる鍋、油量、加熱モード、離隔距離、手入れと保管方法は製品や地域の条例によって異なります。実際の運用は取扱説明書と地域の火災予防条例を確認し、必要に応じてメーカー、電気設備の専門者、建物管理者、防火管理者、所轄消防署へご相談ください。





