大きな地震で交通が止まり、従業員へ温かい飲み物や非常食を配るため、会議室に電気ケトルを何台も並べることがあります。
しかし、空いているコンセントへ順番に差せば安全とは限りません。複数の器具が同じ回路やテーブルタップへ集中すると、配線が発熱し、転倒したケトルの熱湯でやけどを負うおそれもあります。
結論は、電気ケトルの定格消費電力と接続先の容量を確認し、一か所へ集中させず、管理者が一台ずつ運転することです。
消防計画の火災予防と避難経路を、BCPの非常用湯沸かしへつなぎます。
ケトルを三台同時に使ったら、早く配れますよね?
接続先の容量を確認するまでは同時に使わないでください。
壁の差込口が空いていても、あかん場合があるんですか?
同じ回路の別の器具まで見て判断しましょう。
- 非常用の湯沸かし場所と責任者を先に決めます。
- 器具の定格消費電力と接続先の容量表示を確認します。
- 確認できない回路では一台ずつ運転します。
- ケトルを安定した乾いた台へ置き、コードを通路へ出しません。
- 使用後の抜栓、冷却、清掃、記録を一つの手順にします。
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目次
災害時に電気ケトルを同時使用してよいのか

判断に必要なのは、各ケトルの定格消費電力、テーブルタップや延長コードの定格、壁側の回路がすでに負担している電気機器です。
総務省消防庁は、コンセントや延長コードの安全容量を超える使用により発熱し、発火するおそれがあると注意を呼びかけています。
災害時は照明、通信機器、暖房器具なども臨時に使われやすく、平常時より接続状況が変わります。
空いている差込口の数ではなく、同じ接続先と回路に加わる負荷の合計で判断します。
容量が確認できないときは、一台ずつ運転し、使用中の器具を管理者が把握する運用が安全です。
差込口が四つなら、四台まで使えるんですか?
差込口の数ではなく容量表示と負荷の合計で見ます。
どの器具と電源を対象に確認するのか

持ち込まれた電気ポット、コーヒーメーカー、電子レンジ、暖房器具、炊飯器など、湯沸かし場所と同じ電源系統を使う機器も確認します。
電源側は壁コンセント、延長コード、テーブルタップ、ポータブル電源、発電機からの仮設電源まで含めます。
各器具の銘板や取扱説明書にある定格消費電力と、接続器具に表示された定格容量を読み、分電盤の回路表示や設備図と照合します。
器具だけでなく、その先のコード、差込口、回路、非常用電源まで一続きで確認します。
表示が読めない物、被覆が傷んだコード、差し込みが緩いプラグは使用対象から外し、判断した人と確認日を台帳へ残します。
- 電気ケトル、電気ポット、コーヒーメーカー
- 電子レンジ、炊飯器、暖房器具など同じ場所の高消費電力機器
- 壁コンセント、延長コード、テーブルタップ
- ポータブル電源、発電機からの仮設電源
- 分電盤の回路表示と設備図
- 器具と接続器具の定格表示
- プラグの緩み、コードの傷、焦げ、変形
ケトルの表示だけ見れば足りますか?
接続先から分電盤までつないで確認しましょう。
湯沸かし場所と運転手順をどう決めるのか

避難口、防火戸、消火器、発信機の前は空け、人がぶつかる給水動線と受取待ちの列を分けます。
管理者は使用前に本体、プラグ、コード、接続先を確認し、容量が明確でない場合は一台だけを接続します。
沸騰中はその場を離れず、給湯後に抜栓してから次の器具へ交代します。
消費電力の異なる器具を混ぜる場合も、差込口の見た目で判断せず、接続先ごとの合計を確認します。
給水、接続、運転、抜栓、受渡しを一方向にし、一台ずつ交代する手順を掲示します。
やけど防止のため、熱湯を運ぶ人と列を整理する人を分け、子どもや要配慮者の動線から離し、転倒防止も確認します。
交代で使うなら、誰でも操作してええですか?
操作担当を固定して使用中の一台を把握しましょう。
空きコンセントがあれば使えるとは限らないのはなぜか

さらに、隣室の暖房器具や事務機器が同じ回路を使っていれば、目の前の差込口だけでは負荷を把握できません。
テーブルタップに未使用の口があっても、接続できる容量が増えるわけではありません。
コードを束ねたまま使う、家具で挟む、濡れた床へ置く、プラグの根元を曲げるといった使い方も、発熱や損傷の危険を高めます。
空きコンセントは余裕容量を示すものではなく、回路図と現在の使用機器を確認して初めて使えるか判断できます。
回路が特定できないときは設備担当者へ確認し、できなければ同時使用を避け、発熱、焦げ臭、変色、異音があれば直ちに停止します。
別の壁に差せば、同じ回路でも大丈夫ですか?
同じ回路なら負荷は合算して考えてください。
明日から非常用湯沸かしの運用をどう確認するのか

次に、分電盤の回路表示と現場のコンセントを照合し、平常時に同じ回路を使う機器も洗い出します。
消防法第8条に基づく防火管理の対象となる事業所では、消防計画の火災予防、避難誘導、消防用設備の管理と矛盾しないよう運用を整えます。
消防法施行規則第3条は消防計画に定める事項を示しており、非常用湯沸かしを行うなら、火気・電気設備の管理や避難施設の維持に関する社内ルールと接続させることが重要です。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す教育、訓練、点検、是正の考え方に沿い、停電、復電、器具の持込み、担当者交代を想定して訓練します。
平常時に回路と器具を確認し、発災時は一台ずつ運転し、終了後まで記録する流れを試します。
訓練ではブレーカー作動時の中止と焦げ臭や発熱の報告まで確認します。
- 使用する電気ケトルと周辺機器を一覧にする
- 器具と接続器具の定格表示を記録する
- 分電盤の回路と現場のコンセントを照合する
- 湯沸かし場所と操作担当者、代行者を決める
- 一台ずつ運転する交代手順を掲示する
- 発熱、焦げ臭、変色、異音があれば停止する
- 抜栓、冷却、清掃、保管、記録まで訓練する
ケトルを備蓄しただけでは足りないんですね?
電源確認から使用後まで一続きで試しましょう。
よくある質問
まとめ
ケトルと回路の一覧から作ります!
一台ずつ管理して使う手順にしましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 総務省消防庁 電気器具の安全な使用とたこ足配線への注意
- 総務省消防庁 住宅防火対策推進協議会資料 延長コード等の注意点
- 総務省消防庁 防災・危機管理eカレッジ 電気設備
- 東京消防庁 電源コードの損傷による火災事例
- 消費者庁 電気ケトルを含む重大製品事故情報
- 製品評価技術基盤機構 電気ケトルの事故防止
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および内閣府、総務省消防庁、東京消防庁、消費者庁、製品評価技術基盤機構の資料に基づく一般的な解説です。使用できる器具、台数、接続方法は、器具の定格、接続器具の容量、建物の電気設備、非常用電源の仕様によって異なります。実際の運用前に取扱説明書、分電盤の回路、設備図、消防計画を確認し、必要に応じて施設管理者、防火管理者、電気設備の有資格者、管理会社、所轄消防署へ相談してください。





