旅館やホテルのカーテンには、小さな下げ札や縫い付けのラベルが付いています。
これが防炎表示で、その品物が防炎性能を持っていることを示すものです。
ところがこのラベル、よく見ると建物によって書かれている中身が違います。
違いを決めているのはその品物がどこまでの洗い方に耐えられるかです。
客室のカーテンをまとめてクリーニングに出そうと思っています。
洗ってしまって大丈夫でしょうか。
出す前に防炎表示を見てください。
ラベルの様式そのものが、どの洗い方まで基準に適合しているかで分かれています。
ラベルに何種類もあるとは思っていませんでした。
様式は消防法施行規則の別表第一の二の二が定めています。
どこがどう分かれるのかを順に見ていきましょう。
- 防炎表示を付けられるのは消防庁長官の登録を受けた者だけです
- 様式は消防法施行規則別表第一の二の二が防炎物品の種類ごとに定めています
- 洗濯によって様式が分かれるのはブラインドや合板やじゆうたん等を除いた防炎物品です
- 耐洗濯性能の基準に適合するものは水洗い洗濯とドライクリーニングの組み合わせで3通りに分かれます
- 表示や紛らわしい表示を建物側で付けることは禁じられています
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目次
カーテンに付いている防炎ラベルはなにを示しているのか

付ける相手も、様式も、付け方も、条文が細かく決めています。
第1号は、防炎表示を付ける者を消防庁長官の登録を受けた者に限っています。
第2号は、その様式を別表第一の二の二に定めたものによると決めています。
つまり現場で見えているラベルは、登録を受けた業者が、決められた様式で付けたものだということになります。
第3号が求めている付け方は縫付・ちよう付・下げ札等で、防炎物品ごとに見やすい箇所に行うこととされています。
自分の建物のカーテンをめくって、裾や上端にラベルが残っているかをまず確かめてください。
下げ札だと洗っているうちに外れてしまいそうですね。
だからこそ出す前に見ておく価値があります。
外れてから探しても、もう書いてある中身は分かりません。
洗濯で様式が分かれるのはどの防炎物品か

そのうち様式が枝分かれするのは、最後の1つだけです。
一の欄と二の欄は、それぞれ様式が1つずつしか用意されていません。
枝分かれするのは、一にも二にも入らなかった三の欄の防炎物品だけです。
では三に残るのは何かというと、消防法施行令第4条の3第3項が挙げる物品から一と二を差し引いたものになります。
同項が挙げているのはカーテン・布製のブラインド・暗幕・じゆうたん等・展示用の合板・どん帳その他舞台において使用する幕・舞台において使用する大道具用の合板・工事用シートです。
このうち一と二に名前が出ているものを消していくと、残るのはカーテンと暗幕になります。
じゆうたんは洗い方で分かれないということですか。
別表の様式の上ではそうなります。
洗い方で見比べる必要があるのはカーテンと暗幕だと覚えておいてください。
耐洗濯性能の基準に適合するものは何通りに分かれるのか

分かれ目になっているのは、水洗い洗濯とドライクリーニングのどちらまで基準に適合しているかです。
イは耐洗濯性能の基準に適合するもので、その中が水洗い洗濯とドライクリーニングの組み合わせで3つに分かれます。
両方に適合するもの、水洗い洗濯だけに適合するもの、ドライクリーニングだけに適合するものの3つです。
ロはイに入らなかったもの、つまり耐洗濯性能の基準に適合していないもので、これにも別の様式が用意されています。
基準そのものは消防庁長官が定めることとされているので、どの試験に通れば適合になるのかは別表ではなく告示の側で決まります。
実務でまず必要なのは、目の前のカーテンがこの4通りのどれなのかを控えておくことです。
つまり同じ防炎カーテンでも洗える範囲が違うのですね。
そうです。
仕入れるときにどの様式のものかを納品書に残しておくと後が楽になります。
洗ったあとにラベルを自分で付け直してよいのか

しかしこれは条文がはっきり禁じている行為です。
主語が何人もになっているとおり、この禁止は建物の関係者にも及びます。
外れたラベルを縫い直す、似せたラベルを自作する、といった行為は紛らわしい表示に当たるおそれがあります。
同じ条の第4項も、表示または指定表示が付されているものでなければ防炎物品として販売し、または販売のために陳列してはならないと定めています。
使用中の品物からラベルが外れた場合の扱いまでは条文に書かれていないので、勝手に補うのではなく、仕入れ先や所轄消防署に確認するのが確実です。
洗濯に出す前にラベルの写真を撮っておけば、外れたあとでも何が書かれていたかを説明できます。
予備のラベルをもらっておいて付けるのも駄目なんですね。
条文が何人もと書いている以上、建物側で付ける想定にはなっていません。
付け直しが要る状況になったら仕入れ先に相談してください。
洗濯に出す前になにを確かめておけばよいのか

外れる前に、ラベルに書かれていることを控えておくだけです。
1つ目は、そのラベルが別表第一の二の二の4通りのうちどれかということです。
2つ目は、ラベルに書かれている登録確認機関の名称、またはそれが無い場合の登録表示者自身の名称です。
第4条の5はこのどちらかが必ず記載されるように書かれているので、ラベルには相手を特定できる名前が必ず載っています。
洗濯に出す部屋と枚数、そして撮ったラベルの写真を1枚の表にまとめておけば、防火対象物点検のときにそのまま使えます。
明日やることは、客室を1つ選んでカーテンの裾をめくり、ラベルを写真に撮ることです。
写真を撮っておくだけなら今日からでもできそうです。
それで十分です。
枚数の多い建物ほど、外れてからでは追いかけられなくなります。
よくある質問
まとめ
洗う前にラベルを見るという一手間で済むと分かりました。
さっそく客室を回ってみます。
様式と名称の2つを控えれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条の3第1項から第4項まで(防炎性能と防炎表示)
- 消防法施行令第4条の3第3項(防炎対象物品の指定)
- 消防法施行規則第4条の4第1項(防炎表示の付け方)
- 消防法施行規則第4条の5(防炎性能の確認と記載する名称)
- 消防法施行規則別表第一の二の二(防炎表示の様式)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





