ガソリンスタンドや工場の地下に埋められた危険物のタンクは、実はすべて同じ構造で造られているわけではありません。
政令ではタンク室に入れる従来の方式のほかに、二重殻タンクや直接埋設という設置方式も認められています。
方式によって材料や検知設備の基準がまったく異なるため、選び方を誤ると設置や変更の許可審査でつまずきます。
この記事では危険物の規制に関する政令第十三条が定める3つの設置方式の技術基準を解説します
うちの地下タンクを二重殻にすれば、タンク室は省略できると聞きました。
条件を満たせばできますが、鋼板か強化プラスチックかで基準が変わりますよ。
まずは政令第十三条の全体像から見ていきましょう。
地下タンクの設置方式にそんなに種類があるとは知りませんでした。
はい、大きく分けて3つの方式があります。
順番に確認していきましょう。
- 地下タンク貯蔵所には政令第十三条にタンク室方式・二重殻タンク方式・直接埋設方式の3つが定められている
- 二重殻タンクは鋼板または強化プラスチックで間げきを設け、漏れを検知する設備を備える
- 第四類の危険物に限り、鉄筋コンクリート造のふた等の要件を満たせばタンク室を省略できる
- 直接埋設方式は総務省令で定める漏れ防止構造で地盤面下へ設置し、外面の保護など幅広い基準を準用する
- どの方式を選んでも危険物の漏れを検知する設備の設置は共通して義務付けられる
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目次
地下タンク貯蔵所にはなぜ3つの設置方式があるのか

政令第十三条は、タンク室方式・二重殻タンク方式・直接埋設方式の3つを定めています。
第一項は、地盤面下のタンク室にタンクを設置する原則的な方式です。
第二項は、タンク自体を二重殻構造にすることでタンク室を使わずに設置できる方式です。
第三項は、総務省令で定める漏れ防止構造により、タンクを地盤面下へ直接埋設する方式です。
自分の施設がどの方式に当てはまるかは、まず現在の設置状況を確認するところから始まります。
タンク室に入れる以外の方法があるなんて意外です。
はい、条件を満たせば選べる方式が増えます。
それぞれの位置づけを押さえておきましょう。
二重殻タンクはどんな構造にすればよいのか

どちらも危険物の漏れをすぐに把握できる検知設備とセットで基準が決まっています。
鋼板方式は、タンクの底部から危険物の最高液面を超える部分までの外側に、厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板を間げきを有するように取り付けます。
強化プラスチック方式は、規格に適合する樹脂とガラス繊維で造った強化プラスチックを、厚さ二ミリメートル以上間げきを有するように被覆します。
どちらの方式も、間げきに漏れた危険物を検知できる設備を備えなければなりません。
材料の選定は、貯蔵する危険物の種類によって耐薬品性の確認が必要になる場合があります。
二重殻タンクって、要は二重構造にすればいいだけですか。
材料ごとに厚さや被覆の仕方が細かく決まっています。
漏れを検知する設備とセットで考えてください。
二重殻タンクならタンク室を省略できることがあるのか

省略できるのは、第四類の危険物を貯蔵する場合に限られます。
まず、水平投影より縦横それぞれ〇・六メートル以上大きい、厚さ〇・三メートル以上の鉄筋コンクリート造のふたで覆うことが必要です。
次に、ふたにかかる重量が直接タンクへかからない構造でなければなりません。
最後に、タンク自体を堅固な基礎の上に固定します。
どれか一つでも欠けると特例は使えず、原則どおりタンク室への設置が必要になります。
うちは第四類の危険物なので、タンク室を省略できるか気になります。
ふたの構造など3つの要件をすべて満たす必要があります。
どれか一つでも欠けるとタンク室が必要です。
タンク室も二重殻構造も使わずに設置する方法もあるのか

ただし総務省令で定める漏れ防止構造にしなければなりません。
タンク頂部の深さや標識・掲示板、水圧試験など第一項の主要な号がそのまま適用されます。
タンク室を省略する二重殻タンクの要件(ふたの構造等)も、この方式にあわせて準用されます。
そのうえで、タンクの外面を総務省令の定めに従って保護することが追加で求められます。
タンク室方式と比べて工事の自由度は上がりますが、満たすべき基準の数は決して少なくありません。
タンク室も二重殻もなしで埋められる方法もあるんですね。
地盤面下に直接設置する方式です。
漏れ防止構造や検知設備の基準はしっかり準用されます。
設置方式を選ぶときはなにを確認すればよいのか

方式を決める前に、敷地条件と維持管理のしやすさを照らし合わせましょう。
タンク室方式・二重殻タンク方式・直接埋設方式のいずれを選んでも、この基準は必ず適用されます。
敷地に十分な広さがあればタンク室方式、工期を優先するなら二重殻タンクや直接埋設方式が候補になります。
どの方式が使えるかは危険物の類別や既存設備の状況によって変わるため、自己判断で決めないでください。
工事の計画段階で所轄消防署へ確認することが、後戻りのない一番の近道です。
つまり、うちの敷地条件に合わせて方式を選べばいいんですね。
そのとおりです。
工事の前に必ず所轄消防署へ確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
地下タンクの設置方式、うちの現場に合わせて相談してみます!
設置方式に迷ったら、プロへの相談も検討してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令 第十三条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則 第二十三条の三・第二十四条の二の二・第二十四条の二の三(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





