平成22年の省令改正により、腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクには内面コーティングや電気防食、あるいは微少な漏れを検知するための設備が求められることになりました。
ただし現場には、すでに使っていないタンクもあれば、耐食性の高い材料で造られたタンクもあります。
そうした場合まで一律に設備を付けるのか。
この点について令第23条が5つの場面で使われました。
何年も使っていないタンクにも、漏れ検知の設備が必要でしょうか。
貯蔵及び取扱いを休止しているものについては、休止の間、措置を講じないことが認められています。
休止という状態が要件です。
設備の代わりに、在庫の記録で管理する方法は認められるでしょうか。
認められています。
ただし記録の頻度と、検知できる開口部の大きさまで具体的に示されているので、そこを満たす必要があります。
- 危険物の微少な漏れを検知するための設備に代えて、液量の記録を統計的手法で分析する方法が認められています
- 危険物の貯蔵及び取扱いを休止しているタンクは、休止の間、措置を講じないことが認められます
- SF二重殻タンクの鋼板をステンレス鋼板に代えることは、密着層の接着強度を剥離試験で確認することにより認められます
- 原子力発電所の事故により接近できない場合は、接近可能になるまでの間、措置を講じないことが認められます
- ステンレス鋼板その他の耐食性の高い材料で造られ、十分な耐食性が確認された場合も措置を要しないとされています
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目次
液量の記録と統計的手法で漏れを確認する方法

腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクに該当するものへの措置として、次の方法を実施する場合に政令第23条を適用してよいかという照会です。
答 お見込みのとおり
直径0.3ミリまで確認できることが要件です。
記録するのは受入量、払出量、タンク内の危険物の量の3つで、これを継続的に取ります。
分析者には法人も含まれるとされており、外部に委託する形も想定されています。
記録で確かめる方法も、条件付きで認められるのですね。
頻度と開口部の大きさが要件です。
記録の様式を、条件に合わせて整えてください。
貯蔵及び取扱いを休止しているタンク

腐食のおそれが特に高い、または高い地下貯蔵タンクには、内面コーティング、電気防食、微少な漏れを検知するための設備のいずれかが必要になります。
答 お見込みのとおり
読みどころは「休止の間」という限定です。
使用を再開すれば措置が必要になるという構造で、恒久的な免除ではありません。
また休止しているという状態そのものが要件になるため、実際に貯蔵も取扱いも行っていないことを示せることが前提になります。
休止しているタンクは、その間は措置が要らないのですね。
再開すれば必要になります。
休止の状態を、台帳で管理してください。
SF二重殻タンクの鋼板をステンレス鋼板に代える

SF二重殻タンクとは、気密に造られた厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板に、強化プラスチックを間ぎきを有するように被覆した地下貯蔵タンクをいいます。
答 お見込みのとおり
基材が壊れる強度以上が判定基準です。
接着面が先に剥がれるのではなく、強化プラスチックそのものが壊れる強度まで接着していることを求めています。
なお剥離試験は、設置予定のSF二重殻タンクと同一の施工方法によりステンレス鋼板に強化プラスチックを積層成形した試験片を用いて実施するものとされています。
材料を替える場合にも、判定の基準があるのですね。
強度で判断されます。
採用する材料の試験結果を、確かめてください。
原子力発電所の事故により接近できない場合

腐食のおそれが特に高い地下タンクについては、内面コーティング等の措置を平成25年1月31日までに講じなければならないこととされていました。
答 お見込みのとおり。
期限が定められた義務であっても、物理的に現場へ行けない事情があれば猶予されるという整理です。
ここでも「接近可能になるまでの間」と期間が区切られており、事情が解消すれば措置が必要になります。
特別な事情による猶予も、期間が区切られているのですね。
接近できるまでの間の措置です。
状況が変わったら、速やかに対応してください。
耐食性の高い材料で造られている場合

答 お見込みのとおり。
材料が耐食性に優れているというだけでは足りず、貯蔵する危険物と埋設されている土壌環境に照らして十分な耐食性を有することの確認が求められます。
また、腐食のおそれが特に高いものは規則のただし書、高いものは政令第23条と、根拠が使い分けられている点も押さえておきたいところです。
材料が優れているだけでは足りないのですね。
土壌の環境まで見ます。
埋設の場所の条件を、資料に残しておきましょう。
よくある質問
まとめ
- 危険物の微少な漏れを検知するための設備に代えて、1日に1回以上の割合で受入量、払出量、タンク内の危険物の量を記録し、分析者が統計的手法で分析する方法が認められています
- その方法は、直径0.3ミリメートル以下の開口部からの危険物の流出の有無を確認できるものである必要があります
- 危険物の貯蔵及び取扱いを休止しているタンクは、休止の間、措置を講じないことが認められます
- SF二重殻タンクの鋼板に代えて厚さ3.2ミリメートル以上のステンレス鋼板を用いることは、密着層の接着強度を剥離試験で確認することにより認められます
- 判定の基準は、強化プラスチックの基材破壊が生じる強度以上の接着強度を有していることです
- 東日本大震災に係る原子力発電所の事故により接近できない場合は、接近可能になるまでの間、措置を講じないことが認められます
- ステンレス鋼板その他の耐食性の高い材料で造られ、危険物と土壌環境に鑑み十分な耐食性が確認された場合も措置を要しないとされています
- いずれも「休止の間」「接近可能になるまでの間」のように期間や条件が区切られており、恒久的な免除ではありません
どれも期間が区切られているのですね。
すっきりしました。
再開や解消のタイミングで措置が必要になります。
そこを台帳で管理しておくと安全です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 危険物規制事務に関する執務資料の送付について〔抄〕(平成22年7月23日 消防危第158号 危険物保安室長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)問1・問2
- 同前〔抄〕(平成22年12月28日 消防危第297号)地下タンク貯蔵所関係 問1
- 同前〔抄〕(平成23年12月1日 消防危第273号)地下貯蔵タンク等関係 問3
- 同前〔抄〕(平成24年3月30日 消防危第92号)地下タンク貯蔵所等関係 問3
- 同前〔抄〕(平成6年7月29日 消防危第66号)地下タンク貯蔵所関係 問1
- 危険物の規制に関する政令第23条/危険物の規制に関する規則第23条の2第1項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




