令和7年7月1日、地下街に設ける建築設備の検査基準を定める東京都告示第444号の別表が改正されました。
換気設備と非常用の照明設備には、それぞれ「物品の放置の状況」という新しい検査事項が加わっています。
この改正は、国の建築設備定期検査告示(平成20年国交告285号)が同じ日に改正されたのにあわせて、東京都が独自の地下街向け検査基準の足並みをそろえたものです。
この記事では、東京都告示第444号の改正内容を、地下街特有の事情とあわせて解説します。
地下街の中に入っているテナントを管理しています。
先日、検査業者さんから換気口の前に物を置かないでくださいと言われました。
それは今年7月に改正された東京都告示第444号の影響です。
地下街の換気設備と非常用照明設備に「物品の放置」を確認する検査事項が新設されました。
地下街は避難経路も長いので、物を置くと危ないという感覚はありました。
具体的にどこが変わったのか知りたいです。
承知しました。
改正の背景から実務への影響まで順番に見ていきましょう。
- 令和7年7月1日、地下街に設ける建築設備の検査基準を定める東京都告示第444号の別表が改正された
- 地下街の機械換気設備には各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況という検査事項が新設された
- 地下街の非常用の照明設備には照明の妨げとなる物品の放置の状況という検査事項が新設された
- 「目視により確認する」は「目視又はこれに類する方法(目視等)により確認する」という表現に統一された
- 換気・排煙・照明・排水の22のチェックポイントに、今回の改正で加わる新項目として今後の定期検査であわせて確認が必要になる
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目次
なぜ東京都告示第444号の地下街の検査基準が改正されたのか

今回の改正も、単独ではなく国の告示改正と歩調をあわせたものです。
地下街に設ける建築設備は、一般的な構造基準に加えて東京都建築基準法施行細則にもとづく都独自の検査基準が適用されます。
この地下街向けの検査基準を定めているのが東京都告示第444号の別表です。
今回の改正は、国の建築設備定期検査告示(平成20年国交告285号)が令和7年国交告第53号により同年7月1日に改正されたのにあわせて行われました。
片方の告示だけを見ていると、地下街特有の変更点を見落とすおそれがあります。
地下街には東京都独自の基準があるとは知りませんでした。
国の基準だけ見ていれば十分だと思っていました。
地下街は東京都の告示が別に働く場所です。
次の項目で実際に何が変わったのか見ていきましょう。
地下街の換気設備になぜ物品の放置という検査事項が加わったのか

東京都告示444号の別表でも、この弱点をふまえた検査事項が加わりました。
地下街は地上に面した窓がなく、機械換気設備が空気を入れ替える唯一の経路になっている場所がほとんどです。
段ボールや在庫、清掃用具などを給気口・排気口の前に積み上げてしまうと、設備自体が正常でも換気能力そのものが低下します。
改正前の検査結果表にはこの視点そのものがなく、設備の作動状況だけを見ていれば足りていました。
検査当日だけ片付けるのではなく、日頃から給気口・排気口の周囲を空けておく管理が実務上のポイントです。
テナントの在庫を換気口の前に積んでしまっていることがあります。
設備自体は動いているので大丈夫だと思っていました。
設備が動いていても、口をふさげば空気は入れ替わりません。
まずは給気口・排気口の周囲を確認してみましょう。
地下街の非常用照明でも同じ視点が加わったのはなぜか

換気設備と同じ「物品の放置」という視点が、照明設備にも加わりました。
地下街の避難経路は地上の建物より長くなりがちで、非常用照明が示す明るさと方向が避難行動を大きく左右します。
陳列什器や工事資材などを照明の真下や周囲に積み上げてしまうと、照度の状況が基準どおりでも実際の見え方は暗くなります。
この検査事項は、換気設備と同じ考え方を照明設備にもあてはめたものです。
テナントの模様替えや在庫の入れ替えのたびに、照明周囲の物の配置を見直す習慣をつけておくと安心です。
セール時期は什器を通路にはみ出させてしまうことがあります。
照明の下に置くのはまずいでしょうか。
照明をさえぎる高さまで積み上げると指摘の対象になります。
什器のレイアウトは照明の位置も見ながら決めてください。
検査方法が目視等という言葉に統一されたのはなぜか

「目視」という言葉の範囲が明確になりました。
改正前の別表は「目視により確認する。」という一文で統一されていましたが、改正後は「目視等」という言葉に置き換えられています。
この表現の見直しは地下街に限らず、国の建築設備定期検査告示(平成20年国交告285号)の令和7年7月1日改正でもあわせて行われています。
検査そのものが省略できるようになったわけではなく、確認の手段が広がったという位置づけで理解しておくとよいでしょう。
どんな方法で確認したかは、検査結果とあわせて記録に残しておくことをおすすめします。
目視等と言われても、具体的に何が変わったのか分かりにくいです。
写真で記録すればそれでよいのでしょうか。
目視と同じだけの情報が得られると判断できれば方法は問いません。
使った方法は検査結果とあわせて残しておきましょう。
22のチェックポイントに今回の改正はどう影響するのか

今回の改正で、この数はどう変わったのでしょうか。
換気・排煙・照明・排水の22のチェックポイントは、いずれも設備そのものの作動状況や劣化・損傷の有無を確認するものでした。
今回加わった2つの物品放置の項目は、設備そのものではなく設備の周囲の使い方を見る点で毛色が異なります。
排煙設備や非常用の排水設備には同種の項目は追加されておらず、対象は換気設備と非常用の照明設備の2つに限られています。
次回の定期検査を受ける前に、この2項目もあわせてチェックリストに加えておくと指摘を防げます。
これまでの22項目に2つ足せばよいということですね。
次の検査までにチェックリストを更新しておきます。
そのとおりです。
設備そのものだけでなく周囲の状況も見る検査だと意識しておきましょう。
よくある質問
まとめ
22のチェックポイントに新しい2項目を足せばよいと分かって安心しました!
次回の検査までにテナントへも周知しておきます!
物品の放置は日々の運用が肝心な項目です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項
- 東京都建築基準法施行細則第13条
- 東京都告示第444号(改正:令和7年6月30日、施行:同年7月1日)
- 平成20年国土交通省告示第285号(最終改正:令和7年国土交通省告示第53号、令和7年7月1日施行)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(追補)第1章及び第2章新旧対照表
※本記事は令和7年7月1日に施行された東京都告示第444号の改正内容を、建築基準法及び関係告示・東京都建築基準法施行細則の規定にもとづき㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。個別の地下街における具体的な検査項目・確認方法の適用については、検査を依頼する建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。





