蓄電池設備は停電時に電気を送るだけでなく、平常時の性能そのものが告示で細かく決められています。
充電部の保護から停電直後の自動切離し、周囲温度の許容範囲まで、条文には具体的な数値が並びます。
なかでも容量の考え方は独特で、放電後24時間充電してから無充電のまま作動させて確かめます。
この記事では条文の委任構造から容量の試験的な考え方まで順番に解説します。
うちの蓄電池設備は、停電時にちゃんと動くかどうかしか気にしていませんでした。
平常時の性能にも基準があるんでしょうか。
はい充電部の保護から容量の考え方まで、告示で細かく決まっています。
今日は条文の入口から順番に見ていきましょう。
容量というと、単純にどれだけ長く使えるかだと思っていました。
実は24時間充電した後に無充電のまま動かして確かめる、独特な考え方なんです。
まずは基準の入口から見ていきます。
- 蓄電池設備の充電部及び高温部は、外部から容易に人が触れるおそれのないよう安全上支障のないように保護しなければなりません。
- 停電したときは直交変換装置の有無に応じて40秒以内または直後に電圧確立・投入を行い、負荷回路を自動的に切り離します。
- 充電は自動的に行い、定格電圧のプラスマイナス10パーセントの変動でも異常なく充電でき、過充電防止機能を備える必要があります。
- 配線には過電流遮断器のほか配線用遮断器等を設け、電圧計又は電流計で出力を監視できるようにします。
- 周囲温度0度から40度で異常なく機能し、容量は最低許容電圧まで放電後24時間充電してから無充電のまま規定時間以上作動できることが求められます。
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目次
蓄電池設備の基本性能はなぜ告示に委ねられているのか

条文は「消防庁長官が定める基準」に委ねる形をとっています。
告示第二・一では、キュービクル式かどうかを問わず、すべての蓄電池設備に共通する基本性能が定められています。
最初に定められているのが充電部及び高温部の保護です。
外部から容易に人が触れるおそれのある部分は、安全上支障のないように保護されていなければなりません。
つまり停電時の性能だけでなく、平常時に人が触れても安全であることが出発点になります。
施行規則そのものには数値が書かれていないんですね。
どこを見ればいいのか分かりにくいです。
蓄電池設備の基準という告示を見れば、数値まで確認できます。
次は停電した瞬間の動きを見てみましょう。
停電した瞬間に何が自動で行われるのか

告示はそのタイミングまで具体的に定めています。
直交変換装置を持つ蓄電池設備は40秒以内に、持たないものは停電した直後に電圧確立と投入を行います。
同時に、蓄電池設備につながる負荷回路と他の回路を自動的に切り離すことも求められます。
ただし書のとおり、切離しの機能を持つ常用の電源回路に接続されている場合はこの限りではありません。
点検では、この自動切離しが手動操作なしで働くかどうかを確認します。
40秒以内と直後の違いは、何で決まるんですか。
直交変換装置を持つかどうかで変わります。
次は充電のしかたそのものを見てみましょう。
充電はどこまで自動でなければならないのか

充電のしかたそのものにも、自動化と安全側の歯止めが求められています。
しかも電源電圧が定格電圧のプラスマイナス10パーセントの範囲内で変動しても、異常なく充電できることが条件です。
一般家庭の電圧変動よりも幅の広い変動まで想定されています。
そのうえで過充電防止機能を備えなければならず、充電し続けて劣化させることも許されません。
自動で充電しつつ、行き過ぎを止める仕組みまでがセットで求められているわけです。
電圧が多少ぶれても、勝手に対応してくれるんですね。
そのぶん過充電を防ぐ機能も欠かせません。
次は見落としやすい配線と計器の話です。
電圧計と周囲温度の基準を見落としていないか

点検のときに確認を忘れやすい部分です。
そのうえで電圧計又は電流計を設け、出力の状態を監視できるようにしなければなりません。
さらに周囲温度が0度から40度の範囲で機能に異常を生じないことも条件です。
設置場所が屋外や機械室の場合、この温度範囲を実際に満たせるかどうかが点検の着眼点になります。
計器の有無と温度環境は、書類だけでは分からず現地で確かめる必要があります。
電圧計や電流計は、正直あまり見たことがありませんでした。
盤面を見ればすぐ確認できます。
最後は容量の考え方を見ていきましょう。
蓄電池設備の容量はどうやって確かめればよいのか

放電と充電の手順そのものが、容量の定義に組み込まれています。
- 蓄電池を最低許容電圧になるまで一度放電させる
- そこから24時間充電する
- 充電を止めたまま、追加の充電を行わずに消防用設備等を作動させる
- その状態で定められた時間以上、監視・制御・作動を続けられるかを確かめる
- 点検ではメーカーの試験成績書や放電試験の記録で代替確認する
消防用設備等ごとに求められる作動時間が異なるため、対象設備の必要時間もあわせて確認しましょう。
フル充電した状態で測るわけじゃないんですね。
意外でした。
24時間充電後の無充電作動という条件までが容量の基準です。
最後によくある質問を見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
蓄電池設備の基本性能がここまでよく分かりました!
容量の考え方から見直してみましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ハ
- 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 一(一)(二)(三)(四)(五)(七)(八)(九)(十)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





