第一種低層住居専用地域は、住宅以外の建物を原則として建てられない、最も規制が厳しい用途地域です。
では、神社や寺院、教会のような宗教施設も、この地域に建てることはできるのでしょうか。
建築基準法別表第二(い)項第五号は、神社・寺院・教会その他これらに類するものを、条件を付けずに許容しています。
なぜこの三つの施設だけが無条件で許容されているのか、その条文構造を正しく理解しておく必要があります
氏子総代の方から、この土地に神社の社殿を新築したいという相談を受けたのですが、この地域でも建てられますか。
実は別表第二(い)項第五号に、その規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
神社だけでなく、お寺や教会でも同じように建てられるんですか。
はい、三つとも同じ号で許容されています。
次は条文の中身を見てみましょう。
- 第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は原則建てられません。
- 別表第二(い)項第五号は、神社・寺院・教会その他これらに類するものを、面積や構造の制限を付けずに許容しています。
- 五号には他の号のような政令への委任規定がなく、上乗せの数値基準が一切ありません。
- 別表第二の他の10地域の禁止列挙のいずれにも、神社・寺院・教会は一度も登場しません。
- 用途地域を問わずほぼどこでも建築できる一方、該当性の判断は特定行政庁の個別判断に委ねられています。
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目次
神社や寺院教会は第一種低層住居専用地域に建てられるのか

まず五号の条文を確認します。
一号の住宅、二号の兼用住宅のような床面積の上限も、六号の老人ホームのような関係法令への言及もありません。
条文はこの三類型を横一列に並べ、宗派や規模を問わず受け入れる書きぶりになっています。
神社と寺院と教会という三つの言葉が対等に並んでいる点が、この号の出発点です。
次は、この三つがどこまでの施設を指すのかを確認します。
神社もお寺も教会も、同じ号に入っているんですね。
はい、五号がこの三つの規定です。
次はどこまでを指すのかを確認しましょう。
条文が定める神社寺院教会その他これらに類するものとはどこまでか

この受け皿がどこまで広がるのかを確認します。
「これらに類するもの」は、この三つと同じ性質を持つ他の宗教の礼拝施設も受け止める規定です。
六号の老人ホームが老人福祉法などの関係法令で種別を確認できるのに対し、五号には該当性を確認できる委任規定がありません。
つまり計画中の施設が「これらに類するもの」に当たるかどうかは、条文の外側にある法律ではなく、条文の言葉そのものから読み取るほかありません。
次は、この号が他の用途地域でも同じように扱われているのかを確認します。
宗派が違っても、同じ号で扱われるということですか。
はい、礼拝施設という性質で括られています。
次は他の用途地域での扱いを見てみましょう。
神社寺院教会は他の用途地域でも制限されるのか

神社・寺院・教会がこれらの地域でどう扱われているかを確認します。
工業地域(を項)ですら禁止されるのはホテルや旅館、劇場、病院、学校(幼保連携型認定こども園を除く)などで、宗教施設は含まれていません。
最も規制の厳しい工業専用地域(わ項)の禁止列挙にも同様に登場しません。
神社・寺院・教会は、用途地域の種類を問わずほぼどこでも建築できる数少ない建築物だということです。
次は、この「上乗せ規制が無い」という条文の作りが実務上何を意味するのかを確認します。
工業地域でも神社は建てられるということですか。
はい、禁止列挙のどこにも出てきません。
次はこの号の作りが持つ意味を確認しましょう。
政令による上乗せ規制が無いことは何を意味するのか

五号にはこうした上乗せがあるのかを確認します。
同令第百三十条の五(要旨) (い)項第十号の政令で定める附属建築物(一定規模を超える自動車車庫等)を規定
九号の巡査派出所等は施行令第百三十条の四が対象施設を具体的に列挙し、十号の附属建築物は施行令第百三十条の五が自動車車庫の面積や階数に上限を定めています。
五号は条文の三つの言葉と「これらに類するもの」という受け皿だけで完結しており、数値基準による外部からの歯止めがありません。
上乗せ規制が無いということは、該当性の判断がそのまま特定行政庁の個別判断に委ねられていることを意味します。
次は、この点を踏まえて実務で何を確認すべきかを整理します。
基準が無いなら、計画した建物が本当に五号に当たるか不安になります。
事前相談で確認するのが確実です。
次は実務での確認手順を整理しましょう。
防火管理者は建てられることを知った先に何をすべきか

確認すべき点を整理します。
- 計画中の施設が五号の神社・寺院・教会その他これらに類するものに当たるかを特定行政庁に事前相談する
- 礼拝施設に会館や社務所、直売所などを併設する場合は、それぞれの用途が別表第二の他の号に当たらないかを確認する
- 用途の区分を確認申請の設計図書に明確に記載し、行政庁と事前協議する
- 消防法施行令別表第一(11)項の防火管理義務は別途課されるため、所轄消防署にも確認する
神社・寺院・教会は消防法施行令別表第一上も相応の防火管理義務が課される用途区分に当たります。
用途地域上建てられることを確認した後こそ、防火管理者の選任や消防用設備の整備という本題が始まります。
該当性の判断に迷ったときほど、早い段階で特定行政庁や所轄消防署に確認しておくことが、計画を円滑に進める近道です。
建てられることが分かっても、それで終わりではないんですね。
はい、防火管理の確認もここからが本題です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
氏子総代の方には用途地域の確認から進めるよう伝えてみます!
用途地域の確認まで含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第1項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(い)項第五号・第九号・第十号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十条の四・第百三十条の五(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





