銭湯やスーパー銭湯の出店を計画するとき、第一種低層住居専用地域に建てられるかどうかで早い段階につまずくことがあります。
この用途地域は建てられる建築物を一覧で定める方式を採っており、公衆浴場はその一覧に含まれています。
ただし同じ「公衆を入浴させる施設」でも、個室を設けて異性の客に接触する役務を提供する業態だけは対象から外れます。
公衆浴場が無条件で許容される理由と唯一の例外を解説します
計画している土地が第一種低層住居専用地域なんですが、公衆浴場は建てられますか。
それは別表第二(い)項第七号に関わる規定ですね。
まず条文を確認しましょう。
銭湯なら、普通に建てられるということですか。
はい、条件なしで一覧に含まれています。
ただし一つだけ例外があります。
- 第一種低層住居専用地域では、建築基準法第48条第1項により別表第二(い)項に掲げる建築物以外は建築できません。
- 別表第二(い)項第七号は公衆浴場を掲げており、面積や許可の条件を付けずに建築できる建築物として一覧に含まれています。
- 公衆浴場法第1条第1項により、「公衆浴場」は温湯・潮湯・温泉その他を使用して公衆を入浴させる施設と広く定義されています。
- 唯一の除外は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項第1号に規定する個室付浴場業に係るものです。
- 個室付浴場業とは、浴場業の施設に個室を設け、当該個室で異性の客に接触する役務を提供する営業を指します。
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目次
公衆浴場は第一種低層住居専用地域に建てられるのか

第一種低層住居専用地域は、建築できる建築物を限定列挙する方式を採っています。
建築基準法第48条第1項により、この用途地域では別表第二(い)項に掲げる建築物以外は建築できません。
一覧に載っていない用途は、特定行政庁の許可という例外の手続を経ない限り建築できないという厳格な仕組みです。
公衆浴場がこの一覧に含まれているかどうかが、出店の可否を左右する最初の分かれ目になります。
次は、(い)項の一覧に公衆浴場がどう書かれているかを確認しましょう。
一覧に載っていないと、原則建てられないということですね。
はい、別表第二(い)項に載っているかどうかがすべての出発点です。
次は公衆浴場の号を確認しましょう。
別表第二(い)項第七号はどう定めているのか

条文を見ると、括弧書きで一種類だけ除外が定められています。
括弧の中で名指しされているのは個室付浴場業という一つの営業類型だけで、この号は個室付浴場業以外の公衆浴場であれば無条件で建築を認めています。
規制の作りとしては、原則許容・例外一つという単純な構造です。
次は、この号が使っている「公衆浴場」という言葉自体がどこまで広いのかを確認しましょう。
括弧の中に書いてあるのは、個室付浴場業だけなんですね。
はい、この号が除外しているのはその一種類だけです。
次は「公衆浴場」という言葉自体の広さを確認しましょう。
「公衆浴場」という言葉はどこまで広いのか

この定義次第で、対象になる施設の広さが変わってきます。
条文が挙げているのは温湯・潮湯・温泉その他という熱源の種類だけで、規模や経営形態、料金設定を限定していません。
一般的な銭湯だけでなく、スーパー銭湯や温泉旅館の大浴場のように、公衆を入浴させる施設であれば同じ「公衆浴場」の範囲に含まれます。
つまり(い)項第七号は特定の業態を優遇しているのではなく、「入浴させる施設」という広い括りをそのまま許容しています。
次は、この広い括りから唯一外れる個室付浴場業について確認しましょう。
温泉旅館の大浴場も、条文上は同じ公衆浴場ということですか。
はい、温湯・潮湯・温泉その他を使う入浴施設という括りに入ります。
次は唯一の例外を確認しましょう。
規制の対象になるのは常に個室付浴場業だけなのか

あわせて、この規制が地域ごとにどう及ぶのかも整理します。
浴場業そのものではなく、個室を設けて役務を提供するという営業の態様だけが名指しされています。
一方で、近隣商業地域や準工業地域では個室付浴場業に係る公衆浴場が名指しで禁止される号が置かれていますが、それらの号も禁止しているのは個室付浴場業という同じ一類型だけで、公衆浴場そのものを禁止する号ではありません。
つまり第一種低層住居専用地域でも他の用途地域でも、規制の対象になるのは常にこの一つの営業類型であり、公衆浴場という業態そのものが問題視されることはありません。
次は、実務で明日から確認すべき手順を整理しましょう。
禁止されているのは公衆浴場全体ではなく、個室付浴場業という一つの類型だけなんですね。
はい、個室付浴場業だけがどの用途地域でも共通の焦点です。
次は確認の手順を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

着工前に確認しておくべき点を整理します。
- 計画地が第一種低層住居専用地域に該当するかを都市計画図で確認する
- 計画する施設が浴場業の許可を受けた公衆浴場に当たるかを確認する
- 個室を設けて異性の客に接触する役務を提供する個室付浴場業に該当しないかを営業形態で確認する
- 該当性の判断に迷う場合は、特定行政庁の建築指導窓口と所轄の公安委員会の双方へ確認する
公衆浴場という業態自体は、どの用途地域でも問題視されません。
判断に迷う営業形態は、特定行政庁と公安委員会の双方に個別に確認しておくと安全です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
まず用途地域と営業形態、この2点を確認します。
はい、その2点が出発点です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
まず用途地域と営業形態を確認して、計画を進めます!
営業形態の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第1項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(い)項第七号(e-Gov法令検索)
- 公衆浴場法第1条第1項(e-Gov法令検索)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項第1号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や規定の適用範囲は個別の計画の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁および公安委員会にご確認ください。





