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建物の煙突はなぜ屋根からの高さまで決められているのか|建築基準法施行令第百十五条が定める構造基準を解説

建物の煙突の構造基準を解説する記事のアイキャッチ画像

テナントの厨房やボイラー室を見て回っていると、屋根から突き出た煙突の高さや取り付け位置が気になることがあります。
実はその煙突、建築基準法施行令が屋根からの突き出し方や周囲の建材との距離まで細かく定めた設備です。
火を使う設備の熱と廃ガスが煙突を伝って建物を燃やさないよう、構造そのものに基準が置かれています。
今回はその高さの基準と、可燃材料からの離隔、暖炉やボイラーに上乗せされる基準までまとめて確認します

うちの工場のボイラー室にある煙突って、屋根からどれくらい高くしないといけないんでしょうか。

屋根面から垂直に測って六十センチメートル以上突き出させる必要があります。
まずは屋根の突出部分の高さを測ってみましょう。

近くに背の高い建物があるときは、また別の基準があるんでしょうか。

先端から水平距離一メートル以内に軒のある建物があれば、その軒より六十センチメートル以上高くする必要があります。

この記事の結論
  • 煙突の屋上突出部は屋根面から垂直距離六十センチメートル以上とする
  • 先端から水平距離一メートル以内に軒のある建築物があるときは、その軒より六十センチメートル以上高くする
  • 煙突は建築物の部分である木材等の可燃材料から十五センチメートル以上離すか、不燃材料で覆う
  • 壁付暖炉のれんが造・石造・コンクリートブロック造の煙突は陶管の差込みかセメントモルタル塗りとする
  • ボイラーの煙突は燃料消費量に応じた高さの基準に別途適合しなければならない

建物の煙突に求められる屋根からの高さと可燃材料からの離隔と暖炉やボイラーの上乗せ基準をまとめた図解

建物の煙突はなぜ構造まで決められているのか

低い建物の屋根に立つ煙突ともう一つの建物が並んでいる様子
煙突は火を使う設備の廃ガスを外に逃がす一方で、内部の高温が周囲の建材に燃え移る入口にもなります。
建築基準法施行令はそこで、煙突そのものの構造を横断的に定めています。
建築基準法施行令第百十五条(建築物に設ける煙突) 建築物に設ける煙突は、次に定める構造としなければならない。
対象は建物に設ける煙突全般です
薪ストーブや暖炉、厨房のかまど、ボイラーなど、火を使う設備につながる煙突であれば用途を問わず適用されます。
条文は屋根からの突き出し方、周囲の可燃材料との距離、掃除口の位置、腐食対策までを一つの条文でまとめて定めています。
自分の建物に煙突があれば、まずどの設備につながっているかを確認してください。

うちの厨房のかまどにもこの基準がかかるということですね。

はい、火を使う設備につながる煙突であれば用途を問わず対象になります。
まずは屋根の突出部分から確認していきましょう。

煙突は屋根からどれだけ突き出させなければならないのか

巻き尺を煙突に当てる作業員と隣の建物の軒
高さの基準は、屋根そのものからの高さと、近くにある建物の軒からの高さという2つの物差しで決まります。
条文の第一号と第二号がそれぞれの数字を定めています。
建築基準法施行令第百十五条第一項第一号・第二号 煙突の屋上突出部は、屋根面からの垂直距離を六十センチメートル以上とすること。煙突の高さは、その先端からの水平距離一メートル以内に建築物がある場合で、その建築物に軒がある場合においては、その建築物の軒から六十センチメートル以上高くすること。
まず測るのは屋根面からの垂直距離です
屋上に突き出た部分の高さが六十センチメートルに足りていなければ、それだけで基準を満たしません。
さらに先端から水平距離一メートル以内に軒のある建物があれば、その軒よりも六十センチメートル以上高くする必要があります。
隣接する建物や増築した部分の屋根が近くにあるときほど、この第二号の確認を忘れやすくなります。

隣の建物の軒との関係まで見ないといけないんですね。

はい、屋根面からの高さ軒からの高さの両方を満たす必要があります。
増築した部分がある建物は特に注意してください。

煙突は可燃材料からどれだけ離さなければならないのか

天井裏で煙突と木材の梁の隙間を測る様子と断熱材で覆われた配管
屋根からの高さをクリアしても、天井裏や壁の中で木材に接していれば意味がありません。
条文の第三号は、可燃材料との距離について二つの選択肢を示しています。
建築基準法施行令第百十五条第一項第三号イ 煙突は、建築物の部分である木材その他の可燃材料から十五センチメートル以上離して設けること。ただし、厚さが十センチメートル以上の金属以外の不燃材料で造り、又は覆う部分(略)は、この限りでない。
離すか、覆うかのどちらかで対応します
原則は木材などの可燃材料から十五センチメートル以上の距離を確保することです。
その距離が取れない場合は、厚さ十センチメートル以上の不燃材料で覆うなど、国土交通大臣が定めた構造方法を用いれば例外として認められます。
小屋裏や天井裏を貫通する部分は特に距離が詰まりやすいので、リフォームのときに確認してください。

十五センチメートルも離せない場所はどうすればいいんでしょうか。

厚さ十センチメートル以上の不燃材料で覆う方法などが認められています。
天井裏の配管は専門業者に確認してもらいましょう。

壁付暖炉やボイラーの煙突には別の基準が上乗せされるのか

れんが造の壁付暖炉の煙突とボイラー室から伸びる金属製の煙突
一般の煙突の基準に加えて、暖炉とボイラーには専用の上乗せ基準があります。
どちらも構造や燃料消費量に応じた個別の対応が必要です。
建築基準法施行令第百十五条第一項第四号・第五号・第七号 壁付暖炉のれんが造、石造又はコンクリートブロック造の煙突(略)には、その内部に陶管の煙道を差し込み、又はセメントモルタルを塗ること。壁付暖炉の煙突における煙道の屈曲が百二十度以内の場合においては、その屈曲部に掃除口を設けること。ボイラーの煙突は(略)煙道接続口の中心から頂部までの高さがボイラーの燃料消費量に応じて国土交通大臣が定める基準に適合し、かつ、防火上必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。
暖炉とボイラーは別枠で基準が加わります
れんが造や石造の壁付暖炉の煙突は、内部に陶管を差し込むかセメントモルタルを塗って耐久性を確保しなければなりません。
煙道の曲がりが百二十度以内であれば、その屈曲部に掃除口を設ける必要もあります。
ボイラーの煙突は燃料消費量に応じて頂部までの高さの基準が別に定められているため、機器を更新するときは煙突側の基準も見直してください。

ボイラーを入れ替えるときは煙突も見直したほうがいいんですね。

はい、燃料消費量が変わると求められる高さの基準も変わります。
更新の際は必ず煙突側もあわせて確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

クリップボードを持った点検員が煙突を見上げて確認している様子
ここまでの内容を、実際に見て回る手順に落とし込みます。
建築基準法施行令第百十五条(要旨) 煙突の屋上突出部は屋根面から六十センチメートル以上、近接する建築物の軒からも六十センチメートル以上高くし、可燃材料から十五センチメートル以上離すか不燃材料で覆う。壁付暖炉やボイラーの煙突には別途上乗せの基準が適用される。
確認は三つの数字を測ることから始めます
まず屋根から突き出た部分の高さを測り、六十センチメートル以上あるか確認します。
次に近くの建物の軒との位置関係を見て、必要な高さが確保されているかを確かめます。
最後に天井裏や壁の中で木材と接していないか、十五センチメートルの距離が保たれているかを見てください。

今日さっそく屋根の煙突の高さを測ってみます。

屋根からの高さ、軒との位置関係、可燃材料との距離、この三つの数字を押さえれば見落としが減ります。
迷う数値が出たら遠慮なくご相談ください。

よくある質問

Q薪ストーブの煙突にもこの基準はかかりますか?
Aはい。薪ストーブや暖炉、ボイラーなど火を使う設備につながる煙突であれば用途を問わず対象になります。
Q可燃材料から十五センチメートル離せない場合はどうすればよいですか?
A厚さ十センチメートル以上の不燃材料で覆う方法や、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる方法が認められています。
Q隣の建物との位置関係はどう確認すればよいですか?
A煙突の先端から水平距離一メートル以内に軒のある建物があるかを確認し、あればその軒より六十センチメートル以上高くします。
Qボイラーを新しい機種に交換するときも煙突の確認は必要ですか?
A必要です。ボイラーの煙突は燃料消費量に応じた高さの基準が別に定められているため、機器の更新時にあわせて確認してください。

まとめ

煙突の屋上突出部は屋根面から垂直距離六十センチメートル以上とする
先端から水平距離一メートル以内に軒のある建築物があるときは、その軒より六十センチメートル以上高くする
煙突は可燃材料から十五センチメートル以上離すか、不燃材料で覆う
壁付暖炉のれんが造等の煙突は陶管の差込みかセメントモルタル塗りで仕上げる
煙道の屈曲が百二十度以内なら屈曲部に掃除口を設ける
ボイラーの煙突は燃料消費量に応じた高さの基準に別途適合させる
迷ったら屋根からの高さ・軒との位置関係・可燃材料との距離の三点を実測してください

煙突の基準が三つの数字で決まると分かりました。
さっそく測ってみます。

屋根からの高さ、軒との位置関係、可燃材料との距離、この三つを押さえれば見落としが減ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第百十五条(建築物に設ける煙突)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または特定行政庁にご確認ください。

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