給油取扱所で働いていると、繁忙期に「容器に自分で詰め替えたい」というお客様の声を耳にすることがあります。
実はこの作業、誰でも自由に行ってよいわけではありません。
令和6年2月29日に消防庁から出された通達では、危険物取扱者の関与や接地の徹底など、具体的な留意点が示されています。
この記事では、通達の内容を条文の裏付けとあわせて解説します。
うちの給油取扱所でも、繁忙期にお客様から容器への詰め替えを頼まれることがあるんです。
従業員が代わりにやるべきなのか、正直あいまいで。
実はそこ、令和6年に消防庁から通達が出て整理されているんですよ。
ガソリンの容器詰め替えは、お客様自身にはさせられないというルールです。
え、お客様本人にはやらせられないんですね。
じゃあ実際は誰が担当することになるんですか。
危険物取扱者本人か、その立会いを受けた従業員が行うことになっています。
詳しく見ていきましょう。
- 令和6年2月29日の消防危第40号は、危険物の規制に関する政令等の改正にあわせて給油取扱所の運用の留意点を整理した通知です。
- ガソリンを容器へ詰め替える作業は、顧客自身が行うことは認められていません。
- 作業できるのは危険物取扱者本人か、その立会いを受けた従業員に限られます。
- 容器へ詰め替えるときは容器を接地した状態で行うことが求められます。
- 軽油を車両のタンクへ注入するときは注入管の先端をタンクの底部に着けた状態で行います。
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目次
消防危第40号はなぜ出されたのか

危険物の規制に関する政令等の改正にあわせて、給油取扱所の運用上の留意点をまとめたものです。
セルフ型給油取扱所が広がるなかで、繁忙期などに顧客が自分で容器に詰め替えようとする場面が増え、静電気による火花や引火のリスクが懸念されていました。
政令第3条第1号イはもともと、容器への詰め替えや軽油の車両タンクへの注入を「給油取扱所で行ってよい作業」として定めていますが、誰が手を動かすのかまでは条文だけでは読み取りにくい面がありました。
そこで通達は、実際に作業できるのが誰かを明確にする形で留意点を示しています。
背景を押さえたうえで、対象となる範囲を見ていきます。
なるほど、政令の改正がきっかけであんな通知が出たんですね。
うちも詰め替えを頼まれることがあるので気になります。
はい、次はどんな給油取扱所が対象になるのか見てみましょう。
実は範囲が思ったより広いんです。
詰め替えと注入はどの給油取扱所が対象になるのか

特別な許可を受けた店舗に限らず、日常の詰め替え・注入そのものが対象です。
条文に出てくる給油取扱所は、フルサービス型かセルフ型かを問いません。
容量4,000リットル以下の車両固定タンクへ軽油を注入する場合も、同じ条文で扱いが定められています。
「うちはセルフだから関係ない」とは言えないということです。
次の章で、実際に何を守る必要があるのかを見ていきます。
うちはセルフのコーナーもあるんですが、それも対象になるんですね。
はい、フルサービスかセルフかは関係ありません。
軽油の車両タンクへの注入も同じ条文の対象です。
通達は何を求めているのか

一つずつ、条文と照らし合わせながら確認します。
一つ目は、作業をする人が危険物取扱者本人か、その立会いを受けた従業員に限られることです。
二つ目は、容器へ詰め替える作業を容器を接地した状態で行うことです。
三つ目は、軽油を車両のタンクへ注入するとき、注入管の先端をタンクの底部に着けた状態を保つことです。
いずれも静電気による火花の発生を防ぐための措置です。
危険物取扱者か立会いが必要なのは分かりましたが、接地まで毎回必要なんですか。
はい、容器も車両タンクも同じ考え方です。
静電気を逃がすための措置なので省略できません。
現場で見落としやすいのはどこか

実はそこに見落としやすい落とし穴があります。
規則第25条の2第2号ホは、注入管がタンクの底部に届く構造であることを求めているにすぎません。
通達が求めているのは、その注入管の先端を実際の作業中もタンクの底部に着けたままにするという運用面の徹底です。
先端を浮かせたまま注入を続けると、構造上は基準を満たした設備でも静電気が発生しやすくなります。
容器の接地についても同じで、接地器具があるだけでは足りず、毎回きちんと使うことが求められます。
注入管がタンクの底に届く設備なら、先端を浮かせても大丈夫だと思っていました。
そこが落とし穴なんです。
設備の構造と実際の作業のやり方は、別物として確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

現場でも、同じように周知と確認を徹底することが実務の出発点です。
まず、容器への詰め替えを顧客本人にさせていないか、従業員向けに周知を改めて行うことです。
次に、容器の接地器具(アースクリップなど)が使える状態にあるかを点検することです。
最後に、軽油を車両タンクへ注入する作業手順に「注入管の先端をタンク底部に着けたまま行う」旨を明記し、従業員に確認してもらうことです。
通知の内容を予防規程や作業マニュアルに落とし込むところまでが実務の対応になります。
分かりました、周知と点検から始めてみます。
予防規程や手順書に落とし込んでおくと、担当者が変わっても安心です。
まずはできるところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
接地と立会い、そして注入管の先端の扱いを、今日から現場で確認します!
接地と立会いを徹底すれば、静電気によるトラブルは大きく防げます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令等の一部改正に伴う給油取扱所の運用について(令和6年2月29日 消防危第40号 消防庁危険物保安室長)第1 ガソリンの詰替え等に関する事項
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号イ
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第25条の2第2号ホ
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





