地震後、非常用発電機の燃料配管を確認すると、継手の下へ油がにじんでいました。
停電は続いています。消防ポンプなどへ電源を送るため、そのまま始動してよいのでしょうか。
燃料漏れは、発電機の停止だけでなく、火気管理と消防用設備の代替措置まで同時に判断する異常です。
始動せず立入を管理し燃料系統を専門点検へつなぎます。
燃料配管から油が漏れています。
発電機を回してええですか。
始動せず離れてください。
火気と立入の管理が先です。
少量のにじみでも、
運転を止めるんですか。
漏れの原因と広がりを確認して、
代替電源と再開条件を決めます。
- 燃料漏れを見つけた発電機は始動しない
- 漏れた油と高温部から離して立入と火気を管理する
- 配管・継手・タンク・支持部を燃料系統で確認する
- 専門点検後に漏れの解消と運転確認を記録する
- 代替電源・消防用設備の扱い・再開承認者をBCPで決める
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目次
地震後に燃料配管から油が漏れていたら運転してよいのか

少量のにじみでも始動を保留します。
消防庁の非常電源用自家発電設備の点検基準は、原動機や発電機の付属機器に変形・損傷・脱落・漏れなどがないことを確認項目にしています。
自家発電設備の基準は、燃料配管とタンクの結合部分に、地震などで損傷を受けない措置を求めています。地震後の漏れは、燃料が減るだけでなく、継手や支持部へ損傷が生じた可能性を示します。
始動すると振動や燃料供給で漏れが増えるおそれがあります。発見者は操作を増やさず、安全な位置から状態を確認し、運転担当者と防火管理者へ連絡します。
数滴でも、
始動は保留なんですね。
はい。
漏れを増やさず専門点検へつなぎます。
どの発電機と燃料系統を確認対象にするのか

漏れた継手だけでなく燃料供給と非常電源のつながりで見ます。
確認対象は、床へ落ちた油の量だけではありません。
- 燃料タンクと液面計と通気部分
- 燃料配管の継手、可とう管、弁、支持金具
- 原動機周辺の潤滑油、冷却水、排気系統
- 漏れた油に近い電気機器や高温部
- 自家発電設備から電源を受ける消防用設備等
特に、地震で配管支持部が動いた場合は、見えている箇所以外にも荷重がかかっていることがあります。燃料タンクから原動機までをたどり、変形、ずれ、緩み、油だまりを確認します。
同時に、自家発電設備が使えない間に影響する消防ポンプや警報設備を設備台帳で特定します。停電中は、発電機の異常と消防用設備の使用条件を別々に扱わないことが重要です。
漏れた場所だけ見ても、
足りへんのですね。
燃料系統と、
電源を受ける設備まで確認します。
発見から専門点検と代替措置までどう進めるのか

発見者が配管を締め直したり試運転したりする必要はありません。まず人を近づけず、火気や不用意な電気操作を避け、連絡と引継ぎへ進みます。
- 油臭、油だまり、煙、火災の有無を安全な位置から確認する
- 発電機室への立入と火気を管理する
- 漏れの位置、広がり、発見時刻を記録する
- 防火管理者、設備責任者、専門業者へ連絡する
- 燃料を止める操作は設備の手順と権限を確認して行う
- 非常電源が使えない消防用設備の代替措置を決める
- 所轄消防署への連絡が必要か確認する
油が広がる、強い臭気がある、火災や煙が見えるなど危険がある場合は、建物の緊急手順に従って退避し、消防へ通報します。安全が確保できる範囲で、発電機の停止状態と立入制限を保ちます。
自家発電設備が使えない間は、巡回、火気制限、業務範囲の縮小、代替電源などを検討します。消防用設備の扱いは所轄消防署と専門業者へ相談し、自己判断だけで運用を続けません。
発見者は、
離れて連絡まででええんですね。
それで十分です。
安全な引継ぎを優先します。
油を拭き取れば再始動できると思いやすいのはなぜか

床が乾いても漏れの原因は消えていません。
拭き取りは状態確認の補助にはなっても、継手の緩み、可とう管の損傷、支持部のずれ、振動時の再漏れまでは判断できません。
点検基準は、冷却装置の配管、潤滑油類、付属機器などについて漏れや損傷がないことを求めています。さらに自家発電設備の基準は、燃料配管とタンクの結合部分へ地震等による損傷防止措置を求めています。
- 停止中だけ漏れが見えなくなっている
- 振動や燃料圧力で再び漏れる
- 別の継手や支持部にも損傷がある
- 漏れた油が高温部や電気機器へ近づいている
- 消防用設備へ必要な運転時間を確保できない
専門点検では、漏れの原因を特定し、修理後の気密や運転状態を確認します。見た目が乾いたことと非常電源として復旧したことを分けて記録してください。
油を拭いても、
復旧とは言えへんのですね。
はい。
原因除去と運転確認までが復旧です。
明日から停止と復旧の手順をどう確認するのか

停止判断と代替措置と再開判断を一枚へまとめます。
BCPでは「発電機を点検する」だけで終わらせず、燃料漏れを発見した後の役割分担まで決めます。
- 燃料タンクから原動機までの系統図を用意する
- 発見者が触れてはいけない弁と操作部を示す
- 立入管理と火気管理の範囲を決める
- 防火管理者、設備責任者、専門業者の連絡順を決める
- 非常電源停止中の代替措置を設備ごとに決める
- 修理、漏れ確認、試運転の結果を設備台帳へ残す
- 再使用を承認する責任者と判断条件を決める
消防法第17条の3の3に基づく定期点検に加え、災害直後の臨時確認を同じ設備台帳へ残すと、発見から復旧までの経過を追えます。
「誰が始動を止め、誰が代替措置を決め、誰が点検し、誰が再開を承認するか」まで決めておくと、停電中の焦りによる不用意な運転を防げます。
連絡先だけやなく、
再開条件まで決めるんですね。
そこまで決めると、
停電時にも迷わず動けます。
よくある質問
まとめ
非常用発電機の燃料漏れは、小さなにじみに見えても、火災危険と消防用設備の継続に関わります。
始動しない、近づけない、燃料系統で点検するという順序をBCPへ組み込み、停電中でも現場が迷わないようにしてください。
始動せず範囲を押さえて、
専門点検へつなぎます!
停止手順と復旧条件まで決めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源(自家発電設備)の点検基準
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。非常用発電機の燃料配管から油が漏れている場合は自己判断で始動や修理をせず専門業者へ相談してください。火災、強い臭気、油の拡大など危険がある場合は退避し、消防へ通報してください。個別の停止、代替措置、点検、復旧、業務再開は、設備方式と現場状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





