排煙設備の点検がひととおり終わっても、点検票への書き方で迷う場面があります。
排煙機が複数ある建物では、点検票を何枚に分けて作ればよいのか分かりにくいものです。
型式欄や電動機の記入欄も、現場で何を測って書けばよいか戸惑いがちです。
この記事では、点検要領が定める排煙設備の点検票の書き方を、現場の手順に沿って解説します。
排煙機が3台ある建物なんですが。
点検票は3枚に分けて作るものなんでしょうか。
点検票は系統ごとに作るのが原則です。
ただし不備が少なければ備考欄か別紙にまとめることもできますよ。
電動機の欄は何を測って書けばいいんですか。
回転計で回転数を測って記入しますよ。
順番に見ていきましょう。
- 排煙機が複数でも、不備が少なければ防火対象物単位の点検票にまとめられます
- 排煙機の型式欄には、銘板に記載された呼称型式・番号・風量・風圧・翼型式を書き写します
- 可動壁の数量は、列数ではなく可動枚数で数えます
- 電動機は回転計で定格運転時の回転数を測り、動力伝達の方式も記入します
- 総合点検の備考欄には、作動させた排煙口や煙感知器の設置場所を記入します
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目次
排煙設備の点検票はなぜ系統別に作成するのか

点検票をどう分けて作るかにも、点検要領が定める考え方があります。
- 機械排煙による排煙設備のある防火対象物は、原則として系統ごとに点検票を作成します
- 排煙機が複数でも不備内容が少なければ、点検票を防火対象物単位にまとめ、各項目の内容を備考欄か別紙に記入してよいとされています
これは、排煙機や防煙区画壁の不備が、どの系統の設備で見つかったのかを追いやすくするためです。
ただし排煙機が複数あっても、不備の内容が少ない現場では、まとめて1枚の点検票にしてしまってかまいません。
その場合は、系統ごとの違いを備考欄や別紙に書き込んで区別します。
点検票を何枚に分けるかで迷ったら、まず不備の多さを基準に考えるとよいでしょう。
うちは排煙機が2台あるので。
点検票も2枚に分けないといけないんですね。
不備が少なければ1枚にまとめても大丈夫ですよ。
次は型式欄の書き方を見てみましょう。
排煙機の型式欄には何を記入するのか

現場で測る数値ではなく、銘板に書かれた情報を記録する欄です。
- 点検設備名の排煙機型式等欄には、銘板の記載どおりに製造者の呼称型式・番号・風量・風圧・翼型式を記入します
- 電動機の制御盤が複数あるときは、壁掛形・自立形・埋込形の別と数量もあわせて記入します
排煙機の性能そのものを点検者が測り直すわけではなく、製造時の仕様を記録として残す欄だからです。
電動機の制御盤が複数あるときは、壁掛形・自立形・埋込形のどの形が何台あるかも書き添えます。
銘板の文字がかすれて読めないときは、取扱説明書や設計図書で裏付けを取りましょう。
次は、よく見落とされがちな可動壁の数え方を確認します。
銘板の字が小さくて。
全部書き写すのが大変そうです。
呼称型式・番号・風量・風圧・翼型式の5つだけで足ります。
読み取れない欄だけ図面で確認しましょう。
可動壁と起動装置はどう記入するのか

起動装置の欄も、排煙専用かどうかで書く内容が変わります。
- 可動壁の数量欄は、列数ではなく可動枚数で記入します
- 自動式起動装置は、排煙専用か自動火災報知設備などとの複合連動操作かによって、排煙専用か兼用かの別を記入します
シャッターのように複数の板がレール上を連動して動く場合でも、列単位ではなく実際に可動する枚数を数えます。
起動装置の欄では、排煙だけのために動くのか、自動火災報知設備や他の消火設備と連動して動くのかを区別して書きます。
手動操作箱は、露出か埋込かの別と設置個数もあわせて記入します。
次は、排煙機の電動機で何を測るのかを見ていきましょう。
シャッターは1列しかないのに。
枚数で数えるとなぜか数字が変わる気がします。
列ではなく実際に動く板の枚数で数えるからですよ。
排煙機の電動機はどこを測って記入するのか

測れるものと、銘板どおりに書き写すものが混在しています。
- 電動機の回転軸は、回転計で定格運転時の回転数を測定し、その値を記入します
- 動力伝達装置は直結かVベルト何本掛けかの別を、機能欄には電源種別・電圧・電流値・始動方式・容量を銘板記載のとおり記入します
回転計を用いて容易に測定できるものに限り、定格運転時の回転数をその場で測って書き込みます。
軸受部はグリス潤滑か油潤滑かの種別を、動力伝達装置は直結かVベルト何本掛けかの別を確認します。
機能欄の電源種別・電圧・電流値・始動方式・容量は、電動機の銘板に記載されたとおりに書き写します。
測った数値と銘板の記載が大きくずれているときは、電動機そのものの不具合も疑いましょう。
回転数って、毎回測り直す必要があるんですか。
回転計で容易に測れるものに限りますが。
測れるなら定格運転時の値を記入しますよ。
総合点検の備考欄には何を書くのか

備考欄には、どこを起動させたのかを書き残します。
- 総合点検で排煙機・給気機を起動させたとき、手動起動なら作動させた排煙口の設置場所を備考欄に記入します
- 自動起動なら作動させた煙感知器の設置場所を備考欄に記入します
手動起動で確認した場合は、どこに設置されている排煙口を作動させて排煙機を起動したかを書きます。
自動起動で確認した場合は、どこに設置されている煙感知器を作動させて起動したかを書きます。
同じ排煙機でも起動のきっかけが違えば、次の点検で確かめるべき場所も変わってきます。
点検票は、今回どこを動かして確かめたかを、次の点検者へ引き継ぐための記録でもあります。
備考欄は空欄のままでもいいのかと思っていました。
どこを起動させたかを書いておくと。
次の点検がぐっと楽になりますよ。
よくある質問
まとめ
点検票の書き方、系統ごとの考え方から全部つながって見えました!
記入に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第18 排煙設備
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第18 排煙設備
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検票の記載要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





