建築設備定期検査の「飲料用の配管設備及び排水設備」では、給水管や排水配管そのものの状態を細かく確認します。
タンクやポンプ本体だけでなく、配管の取付けや腐食・漏水の有無、壁や床を貫通する部分の防火措置、継手や支持金物の耐震性能まで対象になります。
さらに保温措置や給湯管・膨張管の設置状況、そして飲料水を汚染や逆流から守る仕組みも検査事項に含まれています。
本記事では、この11のチェックポイントを配管設備定期検査基準書と建築基準法の条文に沿って整理して解説します。
受水槽の点検はしっかりしてもらっています。
でも配管そのものまで確認しているとは思っていませんでした。
はい、飲料用の配管設備及び排水設備の区分では配管そのものも検査対象です。
取付けの状態から汚染防止措置まで11の項目を確認します。
11項目もあるんですね。
一体どんなところを見られるのか教えてください。
配管の取付けから貫通部の防火措置、耐震支持、保温、飲料水の汚染防止まで順番に解説します。
- 配管の取付け状態や腐食・漏水の有無を目視で確認します。
- 壁や床を貫通する部分には損傷防止措置と防火区画等の貫通措置が必要です。
- 継手や配管の支持金物は地震などの震動に耐える構造でなければなりません。
- 保温措置や給湯管・膨張管の設置状況も検査事項に含まれます。
- 飲料水の汚染防止・止水弁・ウォーターハンマー対策まで幅広く確認します。
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目次
配管の取付けや腐食・漏水はどこを確認するのか

まず配管そのものが正しく固定され、傷んでいないかを見ます。
平成12年建設省告示第1388号第4第一号は、給水管や排水管について風圧・土圧・水圧・地震その他の震動及び衝撃に対して安全上支障のない構造とするよう定めています。
検査ではまず配管が架台や吊り金具にしっかり固定され、ぐらつきや脱落のおそれがないかを目視します。
続いて配管自体に著しい腐食や漏水がないか、継手部分(エルボ・フランジ等)を含めて確認します。
腐食や漏水を見つけたら、そこから設備全体の劣化が進むおそれがあるため早めの補修が欠かせません。
配管が固定されているかなんて、正直これまで気にしたことがありませんでした。
天井裏や機械室でむき出しになっている配管があれば
吊り金具のぐらつきやサビ・水シミがないかをまず見てみてください。
配管が壁や床を貫通する部分はどう確認するのか

そのため貫通部分には二重の基準が用意されています。
平成12年建設省告示第1388号第4第二号は、建築物の部分を貫通して配管する場合に配管スリーブを設けるなど有効な損傷防止のための措置を求めています。
さらに耐火構造の防火区画や防火壁、界壁などを貫通する場合は、施行令第129条の2の4第1項第七号に基づき、管の外径を告示で定める数値未満にするなどいずれかの基準に適合させなければなりません。
検査では貫通部のスリーブの有無に加え、スリーブと配管のすき間がモルタル等の不燃材料で埋められているか、脱落していないかを確認します。
すき間が空いたままだと、火災時に煙や炎が区画を越えて広がる原因になります。
配管が壁を貫通しているところなんて、意識したこともありませんでした。
天井点検口から見える配管まわりのすき間が埋まっているかだけでも
ぜひ一度確認してみてください。
継手や配管の支持金物はなぜ耐震性能が問われるのか

その動きを吸収する継手と、配管を固定する支持金物の両方が検査対象です。
平成12年建設省告示第1388号第4第三号・第四号に基づき、伸縮や変形で管に損傷が生ずるおそれがある箇所には伸縮継手や可撓継手を、管を支持・固定する箇所にはつり金物や防振ゴムを設けることが求められます。
基準書では横走配管について、管径に応じた標準支持間隔の3倍以内ごとに耐震支持を設ける目安も示されています。
検査では継手部分に破断やずれがないか、支持金物が緩んだり脱落したりしていないかを目視で確認します。
昭和56年6月1日より前に建てられた建築物では耐震規定が整備される前のものもあるため、特に注意して見る必要があります。
継手や金物がゆるんでいたら、地震のときに配管が外れてしまうということですか。
その通りです。
配管が外れると漏水だけでなく断水にもつながるので、早めの補修をおすすめします。
保温措置や給湯管・膨張管の設置はどこを見るのか

給湯管や膨張管も、地震対策と勾配の両方が問われる設備です。
施行令第129条の2の4第1項第五号及び第2項第四号は、配管を水質・温度その他の特性に応じて安全上支障のない構造とし、凍結による破壊のおそれのある部分には有効な防凍の措置を講ずるよう定めています。
検査では保温材の破れやめくれがないかに加え、給湯管については空気だまりが生じないよう十分な勾配が確保されているかも確認します。
膨張管は水の熱膨張による圧力を逃すための管なので、途中に弁が取り付けられていないことも併せて見ます。
弁があると圧力を逃せず、思わぬ事故につながるおそれがあります。
膨張管に弁がついていたらまずいんですね。
はい、圧力を逃す通り道をふさいでしまうことになるので
もし弁があれば設備業者にすぐ相談してください。
飲料水を汚染や事故から守る仕組みはどこを確認するのか

そこで配管の系統や水栓の構造にいくつもの安全装置が組み込まれています。
施行令第129条の2の4第2項第一号は飲料水の配管設備とその他の配管設備を直接連結(クロスコネクション)させないことを求め、第二号は水栓のあふれ面との吐水口空間を確保するなど逆流防止の措置を求めています。
吐水口空間が確保できない場合は、代わりにバキュームブレーカを設置します。
このほか昭和50年建設省告示第1597号は、給水立て主管からの主要な分岐管への止水弁の設置と、水栓を急に閉めた際の衝撃であるウォーターハンマーの防止措置を求めています。
洗面器やバケツにホースを差し込んだまま水を入れる行為は、逆流を招く典型例として注意が必要です。
ホースをバケツに突っ込んだままにするのも良くないんですか。
まさにそれが逆流の典型例です。
バケツの水がホースを伝って飲料水側に逆流することがあるので気をつけてください。
よくある質問
まとめ
配管そのものにこんなに多くの基準があるとは知りませんでした。
配管は普段目に触れない分だけ異常に気づきにくい設備です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第129条の2の4(e-Gov法令検索)
- 平成12年建設省告示第1388号 第4(建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件)
- 昭和50年建設省告示第1597号 第1(飲料水の配管設備の構造)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第四号(給水設備及び排水設備の検査結果表)
※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、飲料用の配管設備及び排水設備のうち配管そのものに関する定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。





