「丙種危険物取扱者を取ったけれど、結局どこまでの危険物を扱えるのか分からない」という声は少なくありません。ガソリンスタンドや燃料販売の現場でよく出る「航空燃料は含まれるのか」「ナフサは扱えるのか」といった疑問について、この記事では丙種危険物取扱者が取り扱える危険物の範囲を整理して解説します。
この記事の結論
- 丙種危険物取扱者が扱えるのはガソリン・灯油・軽油・第三石油類(重油等)・第四石油類・動植物油類に限られる
- ガソリン・灯油には航空燃料(JP-4・JP-1等)も含まれる
- 第一石油類(ナフサ等)は丙種の取扱い範囲に含まれない
- 定期点検も、丙種が扱える危険物のみを取り扱う施設に限って対応できる
▼
目次
丙種危険物取扱者が取り扱える危険物の範囲
危険物の規制に関する規則第49条により、丙種危険物取扱者が取り扱うことができる危険物は次のとおり限定されています。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| ガソリン | 自動車用ガソリンのほか、航空燃料(JP-4、JP-1等)も含まれる |
| 灯油 | 一般的な灯油のほか、航空燃料(JP-4、JP-1等)も含まれる |
| 軽油 | ディーゼル燃料等 |
| 第三石油類 | 重油、潤滑油および引火点130度以上のものに限る |
| 第四石油類 | ギヤー油、シリンダー油等 |
| 動植物油類 | 食用油等 |
ガソリンスタンドで航空燃料を給油する業務であっても、その燃料がガソリンまたは灯油に該当するものであれば、丙種危険物取扱者の取扱い範囲に含まれます。
第一石油類(ナフサ等)は含まれない
一方で、第一石油類に分類されるナフサ等は、丙種危険物取扱者の取扱い範囲には含まれません。ガソリンと似た性質の燃料であっても、分類上ガソリンや灯油に該当しないものは、丙種では取り扱うことができない点に注意が必要です。取り扱う危険物の品名・分類を、規則49条の範囲と照らして事前に確認することが重要です。
丙種危険物取扱者と定期点検の関係
消防法第14条の3の2に基づく定期点検についても、丙種危険物取扱者や危険物施設保安員が行えるのは、自身が取り扱うことができる危険物のみを貯蔵・取扱う施設に限られます。また、丙種危険物取扱者が立会いをすることで、危険物取扱者以外の者が定期点検を行える施設も、丙種が取り扱える危険物のみを貯蔵・取扱う危険物施設に限って可能とされています。
- 丙種・乙種危険物取扱者が定期点検を行えるのは、自身が取り扱える危険物の施設に限られる
- 危険物施設保安員も同様に、保安員として定められている製造所等に限られる
- 丙種の立会いにより無資格者が点検を行える施設も、丙種の取扱い範囲内の危険物施設に限られる
甲種・乙種との違いをざっくり押さえる
丙種危険物取扱者は、取り扱える危険物の種類が限定される一方、甲種・乙種とは資格取得の難易度や業務範囲が大きく異なります。自社の業務内容に照らして、どの資格が必要かを見極める際の参考にしてください。
| 資格区分 | 取り扱える危険物・特徴 |
|---|---|
| 丙種 | ガソリン・灯油・軽油・第三石油類・第四石油類・動植物油類等、指定された危険物に限定。試験のみで受験資格の制限なし |
| 乙種 | 取得した類(第1類〜第6類)の危険物を取り扱える。試験のみで受験資格の制限なし |
| 甲種 | すべての類の危険物を取り扱える。受験には化学系の学歴・実務経験等の要件がある |
給油取扱所での日常的なガソリン・軽油・灯油の取り扱いだけであれば丙種で対応できる場合が多いですが、取り扱う危険物の種類が広がる場合や、危険物取扱者としての立会い業務(無資格者への給油作業の立会い等)を担う場合は、乙種以上の資格が必要になるケースもあります。自社の業務範囲を棚卸ししたうえで、必要な資格区分を確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. 航空燃料の給油業務は丙種危険物取扱者でも対応できますか?
航空燃料がガソリンまたは灯油に該当するものであれば、丙種危険物取扱者の取扱い範囲に含まれます。ただし燃料の分類によって扱えるかどうかが変わるため、事前に品名・分類を確認してください。
Q. ナフサを取り扱う施設で丙種危険物取扱者は勤務できますか?
ナフサは第一石油類に分類され、丙種危険物取扱者の取扱い範囲には含まれません。ナフサを取り扱う施設では、甲種または乙種(第一石油類を指定した免状)の危険物取扱者が必要です。
Q. 丙種危険物取扱者だけで施設の定期点検は完結できますか?
丙種が取り扱える危険物(ガソリン・灯油・軽油・第三石油類・第四石油類・動植物油類)のみを貯蔵・取扱う施設であれば、丙種危険物取扱者による定期点検が可能です。それ以外の危険物を扱う施設では、甲種または乙種の資格が必要になります。
Q. 丙種から乙種・甲種にステップアップすることはできますか?
できます。丙種・乙種・甲種はそれぞれ独立した試験であり、丙種を取得した後に乙種や甲種を受験することも可能です。取り扱う危険物の範囲を広げたい場合は、上位資格の取得を検討するとよいでしょう。
まとめ
- 丙種が扱えるのはガソリン・灯油・軽油・第三石油類(重油等)・第四石油類・動植物油類のみ
- ガソリン・灯油には航空燃料も含まれる
- ナフサ等の第一石油類は丙種の範囲外
- 定期点検も丙種の取扱い範囲内の施設に限って対応できる
あわせて読みたい
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第49条・消防法第14条の3の2 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)丙種危険物取扱者の取扱い範囲に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年7月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の資格範囲については所轄消防署にご確認ください。





