ガソリンスタンドやタンク貯蔵所などで、危険物取扱者の資格を持たない作業員が給油・荷卸ろし作業を行う場合、資格者による「立会い」が必要になります。しかし「立会い」がどこまでの行為を指すのか、現場を離れてもよいのか、複数の現場をまとめて見てもよいのかは、条文だけでは分かりにくいポイントです。この記事では、危険物取扱者の立会い義務について、具体的な場面ごとに解説します。
- 危険物取扱者以外の者が危険物を取り扱う場合、甲種または乙種の危険物取扱者の立会いが必要(消防法第13条第3項)
- 「立会い」は作業中終始その場に所在している必要があり、一時的に顔を出すだけでは立会いとはいえない
- 受入れ配管・弁の操作場所など作業実態に応じて必要な立会い場所・人数は変わる
- 給油取扱所での移動タンク貯蔵所からの荷卸ろし時も、原則として危険物取扱者の立会いが必要
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目次
危険物取扱者の立会いとは
消防法第13条第3項では、危険物取扱者以外の者は、甲種または乙種の危険物取扱者の立会いがなければ、危険物を取り扱ってはならないと定められています(乙種の場合は、取扱免状に指定された類の危険物に限られます)。ここでいう「立会い」とは、単に近くにいることではなく、資格者が危険物取扱いの状況を把握し、必要に応じて指示・是正ができる状態を指します。
| ケース | 立会いに該当するか |
|---|---|
| 資格者が作業開始から終了まで現場に所在し、作業を監督 | 該当する |
| 資格者が一時的に現場を離れ、再び戻ってくる | 離れていた時間帯は該当しない |
| 資格者が現場に一度も現在せず、事後に報告のみ受ける | 該当しない |
給油取扱所での移動タンク貯蔵所からの荷卸ろし時の立会い
給油取扱所の地下タンクへ、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)から危険物を荷卸ろしする際も、危険物取扱者以外の者が取扱いを行う場合は立会いが必要です。この場合、次のような点が実務上の論点になります。
- 1人の危険物取扱者が同時に立ち会えるのは、その者が実際に危険物取扱いの状況を把握できる範囲に限られる
- 給油取扱所の危険物取扱者と移動タンク貯蔵所の危険物取扱者が異なる場合、それぞれの製造所等における取扱い作業は、その施設の危険物取扱者が行う(または立ち会う)必要がある
- 危険物取扱主任者制度の指示があることをもって、個々の作業における立会い義務が免除されるわけではない
立会いの場所・人数・連絡手段
タンカーから屋外タンク貯蔵所へ危険物を受け入れる場合など、受入れ配管や弁の操作場所が複数箇所に分かれるケースでは、次のいずれかの立会い体制が認められています。
| 立会い体制 | 内容 |
|---|---|
| 各所立会い | 受入れ配管・受入れ屋外タンク貯蔵所付近など、各場所にそれぞれ資格者が1名ずつ立ち会う |
| 総括立会い+連絡設備 | いずれかの場所で1名が総括的に立ち会い、トランシーバー等の連絡設備をもって各所と連絡が取れる体制とする |
立会いの時間は、受入れ・荷卸ろしなどの作業を開始してから終了するまでが基本です。作業を中断している時間帯は、必ずしも常時立ち会っている必要はないと解されていますが、作業を再開する際には資格者が現場に戻っている必要があります。
立会い義務を怠った場合のリスク
危険物取扱者以外の者(無資格者)が危険物を取り扱う際に、資格者の立会いを欠いた状態で作業を行わせることは、消防法第13条第3項に違反する行為です。立会い義務は「形だけ資格者が現場にいればよい」というものではなく、実際に無資格者の作業を監督できる体制が求められます。
- 立会いを欠いた状態での危険物の取扱いは、消防法違反として是正指導・命令の対象になり得る
- 実際に事故(漏えい、発火等)が発生した場合、立会い体制の不備が責任追及の重要な論点になる
- 従業員教育の一環として、立会いが必要な作業とその手順を明文化しておくことが望ましい
よくある質問
まとめ
- 無資格者が危険物を取り扱う場合は、甲種または乙種危険物取扱者の立会いが必要
- 立会いは資格者が作業中終始現場に所在することが前提
- 受入れ場所が複数ある場合は、各所立会いまたは総括立会い+連絡設備のいずれかで対応する
- 施設が異なれば立会い義務も施設ごとに独立して発生する
参考・出典
- 消防法第13条第3項 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)危険物取扱者の立会いに関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年7月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の現場対応については所轄消防署にご確認ください。





