壁に非常ベルは付いている。
それなのに図面を見た消防から放送設備も要りますと言われることがあります。
どちらか一方でよいはずだと思いがちですが、建物によっては両方をそろえるのが原則です。
非常ベルに放送設備を重ねて設ける建物は消防法施行令第24条第3項で決まっています。
うちのビルには非常ベルがちゃんと付いているんです。
それなのに放送設備も要ると言われて戸惑っています。
非常警報設備は一つ選べば終わりという作りになっていません。
ある規模を超えた建物では重ねて設けることが決められています。
重ねると言われても、どの建物が当たるのか見当がつきません。
見るところは決まっていて、地下街かどうかと階数と収容人員の三つだけです。
順番に当てはめれば自分の建物でも判断できます。
- 非常警報設備は非常ベルと自動式サイレンと放送設備の三つで、消防法施行令第7条第3項第4号に並んでいます
- 令第24条第3項に当たる建物は非常ベルと放送設備を重ねて設けます
- 地下街と準地下街は規模を問わず対象で、地階を除く階数が11以上の建物と地階の階数が3以上の建物も対象です
- 収容人員の線は用途で変わり(16)項イは500人以上が対象になります
- 自動火災報知設備があっても省けるのは非常ベルの側だけで、放送設備は残ります
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目次
非常警報設備には何種類あるのか

消防法施行令は名前を挙げて三つに分けています。
イの非常ベルとロの自動式サイレンは音だけで危険を伝える機器で、ハの放送設備は音に加えて声で伝えられる機器です。
警鐘や携帯用拡声器は同じ号の前半にありますが、こちらは設備ではなく非常警報器具として区別されています。
そして令第24条は、この三つのうちどれを置けばよいかを建物の規模ごとに書き分けています。
まずは自分の建物の壁や防災センターに、ベルだけがあるのか、放送用のアンプやマイクまであるのかを見てください。
放送設備というのは、館内アナウンスに使っているあの機械のことですか。
火災の放送に使えるものであれば同じ設備です。
点検報告書の設備の欄に放送設備と書かれているかを見てください。
地下街や高い建物にはなぜ放送設備まで要るのか

人数を数えるまでもなく対象になる建物です。
一 別表第一(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物
二 別表第一に掲げる防火対象物(前号に掲げるものを除く。)で、地階を除く階数が11以上のもの又は地階の階数が3以上のもの
第1号の(16の2)項は地下街で、(16の3)項は建築物の地階が連続して地下道に面しているものと、その地下道を合わせた準地下街です。
どちらも避難の向きが上向きになり、外の様子が分からないという共通点があります。
第2号は地上と地下の高さで見ていて、地階を除く階数が11以上か、地階の階数が3以上なら用途を問わず当たります。
自分の建物の階数を数えるときは、地上と地下を分けて数え直してください。塔屋や中二階の扱いで結論が変わることがあるので、迷ったら図面を持って所轄消防署に確かめるのが早道です。
地上10階で地下が2階なら、どちらにも当たらないということですか。
第2号には当たりませんが、それで終わりではありません。
次の収容人員の号がまだ残っています。
収容人員が何人になると放送設備が要るのか

同じ人数でも用途によって当たる建物と当たらない建物に分かれます。
四 前二号に掲げるもののほか、別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項及び(9)項イに掲げる防火対象物で収容人員が300人以上のもの又は同表(5)項ロ、(7)項及び(8)項に掲げる防火対象物で収容人員が800人以上のもの
一つ目は500人で、(16)項イ、つまり特定用途を含む複合用途防火対象物の線です。
二つ目は300人で、劇場や公会堂の(1)項から物販店の(4)項まで、旅館やホテルの(5)項イ、病院や福祉施設の(6)項、蒸気浴場などの(9)項イが並びます。
三つ目は800人で、共同住宅や寄宿舎の(5)項ロ、学校の(7)項、図書館や博物館の(8)項です。
不特定の人が出入りする用途ほど早く線を越える作りになっているので、テナントの入れ替えで用途が変わったときは収容人員を数え直してください。
事務所ビルに飲食店が入ったら、線が800人から300人に動くこともあるんですね。
複合用途になると(16)項イとして500人で見ることになります。
用途が増える工事のときは設備の担当にも声をかけてください。
自動火災報知設備があれば放送設備は省けるのか

省けるものはありますが、省ける相手が決まっています。
条文が設置しないことができるとしているのは非常ベル又は自動式サイレンで、放送設備を省いてよいとは書かれていません。
第2項には自動火災報知設備があれば有効範囲内の部分について設備を要しないというただし書きがありますが、第3項にはそのただし書きがありません。
ここでいう総務省令で定める放送設備は、消防法施行規則第25条の2第1項で非常ベル又は自動式サイレンと同等以上の音響を発する装置を附加した放送設備とされています。
自動火災報知設備が入ったからベルを撤去してよいかと聞かれたら、まず自分の建物が令第24条第3項に当たるかを確かめてください。当たるなら放送設備は残したままになります。
つまり自動火災報知設備はベルの代わりにはなっても、放送設備の代わりにはならないんですね。
条文の並びどおりに読むとそうなります。
撤去を検討する前に設置届の書類でどの号で設けた設備かを確かめてください。
明日からなにを確かめればよいのか

置いてあるだけでは基準を満たしません。
二 非常警報器具又は非常警報設備の起動装置は、多数の者の目にふれやすく、かつ、火災に際しすみやかに操作することができる箇所に設けること。
三 非常警報設備には、非常電源を附置すること。
一つ目は届く範囲で、増築した棟や後から仕切った部屋が全区域から漏れていないかを見ます。
二つ目は起動装置の前で、押しボタンの前に棚やワゴンが寄せられていないか、表示灯が物陰に隠れていないかを見ます。
三つ目は非常電源で、これは日常の目視では分からないので点検報告書の該当欄を読んでください。
この三つを消防計画の自主検査の項目に書き足しておけば、次の立入検査の前に自分たちで気づけるようになります。
押しボタンの前に置いた観葉植物、あれも指摘されますか。
目にふれやすい箇所という条文に照らして見られます。
今日のうちに動かしておくのがいちばん確実です。
よくある質問
まとめ
階数と収容人員を並べて見れば自分で判断できそうです。
明日さっそく図面を出してみます。
その姿勢があれば立入検査でも慌てずに済みます。
判断に迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第7条第3項第4号 第24条第2項 第3項 第4項 第5項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第25条の2第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





