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避難器具を設置しなくてよい階はあるのか|消防法施行規則第26条第5項が定める三つの免除条件を解説

避難器具を設置しなくてよい階はあるのか|消防法施行規則第26条第5項が定める三つの免除条件を解説

避難器具は二階以上の階や地階に置くものですが全ての階に要るわけではありません。
消防法施行令が階ごとの個数の基準を決めたうえで最後にただし書きを置いています。
そのただし書きを受けた消防法施行規則第26条に個数を減らす場合と一つも置かなくてよい場合が並んでいます。
この記事では消防法施行令と消防法施行規則の条文だけを見て避難器具を設置しなくてよい階の条件を整理します

うちのビルは各階に避難はしごを置いているんですけど置かなくてよい階もあるんですか。
場所も費用も取られるので気になります。

あります。
消防法施行規則第26条第5項が三つの型を並べています。

三つのうちどれか一つに当てはまればよいということでしょうか。
うちは共同住宅なんですが。

そのとおりです。
ただしどの型も特定主要構造部が耐火構造であることが入口になります。

この記事の結論
  • 避難器具の減免は消防法施行令第25条第2項第1号ただし書が総務省令に委ね消防法施行規則第26条が受けている
  • 同条第5項の三つの号のどれか一つに当てはまれば避難器具を設置しないことができる
  • 三つの型は耐火構造の壁で区画する型とバルコニーから地上におりられる型と居室が直通階段に直接つながる型
  • どの型も特定主要構造部を耐火構造としたものであることが共通の条件になる
  • 第一号で満たすべき条件は用途によってイからヘまでのうちどれが必要かが変わる

避難器具を設置しなくてよい階の対象と区画とバルコニーと直通階段という三つの型を示した図解

避難器具の減免とはなにを指すのか

避難はしごが三台付いた建物と一台だけの建物を並べたイラスト
避難器具の話は置くか置かないかの二択ではありません。
条文は個数を減らす道と一つも置かなくてよい道を分けて用意しています。
【消防法施行令第25条第2項第1号】前項各号に掲げる階には、次の表において同項各号の防火対象物の区分に従いそれぞれの階に適応するものとされる避難器具のいずれかを(略)設置すること。ただし、当該防火対象物の位置、構造又は設備の状況により避難上支障がないと認められるときは、総務省令で定めるところにより、その設置個数を減少し、又は避難器具を設置しないことができる
減らす道と置かない道の二つがあります
ただし書きは総務省令で定めるところによりと書いているだけで具体の条件までは書いていません。
これを受けているのが消防法施行規則第26条で見出しも避難器具の設置個数の減免となっています。
同条の第1項から第4項までが個数を減らす規定で第5項から第7項までが設置しないことができる規定です。
自分の建物がどちらを狙うのかを先に決めてから図面を開くと所轄消防署との話が早く進みます

減らすのと置かないのでは条文が別なんですね。
ひとまとめに減免と呼んでいました。

呼び方は同じでも項が違います。
置かなくてよいのは第5項からだと覚えてください。

どの階が免除の対象になるのか

三階建ての建物の中ほどの階に人が立ちそれを見上げる人がいるイラスト
免除の話に入る前に設置義務のある階を押さえます。
そもそも義務のない階に免除という言葉は使いません。
【消防法施行令第25条第1項】避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び十一階以上の階を除く。)に設置するものとする。 一 別表第一(六)項に掲げる防火対象物の二階以上の階又は地階で、収容人員が二十人(略)以上のもの 二 別表第一(五)項に掲げる防火対象物の二階以上の階又は地階で、収容人員が三十人(略)以上のもの 三 別表第一(一)項から(四)項まで及び(七)項から(十一)項までに掲げる防火対象物の二階以上の階(略)又は地階で、収容人員が五十人以上のもの(略)
出発点は階ごとの判定です
避難階と十一階以上の階は最初から除かれています。
それ以外の二階以上の階と地階について用途ごとの収容人員で線が引かれます。
病院や福祉施設の(6)項は二十人 旅館や共同住宅の(5)項は三十人 店舗や事務所などは五十人という並びです。
自分の階がこの号のどれにも当たらなければ免除を考える必要すらありません

うちは共同住宅なので三十人が境目ということですね。
まず収容人員を数えるところからですか。

そこからです。
建物全体ではなく階ごとに数えるのが原則になります。

免除が認められる三つの型はなにを求めているのか

耐火の壁で区画した部屋とバルコニーから下りる階段と直通階段につながる戸を並べたイラスト
条文は三つの号を並べてどれか一つに当てはまればよいと書いています。
号ごとに考え方がまったく違うので自分の建物に近いものを選びます。
【消防法施行規則第26条第5項】令第二十五条第一項各号に掲げる防火対象物の階が次の各号のいずれかに該当するときには、当該階に避難器具を設置しないことができる。 一 令別表第一(一)項から(八)項までに掲げる防火対象物にあつては次のイからヘまでに、同表(九)項から(十一)項までに掲げる防火対象物にあつては次のイ、ニ、ホ及びヘに、同表(十二)項及び(十五)項に掲げる防火対象物にあつては次のイ、ホ及びヘに該当すること。(略) 二 次のイ及びロに該当すること。イ 特定主要構造部を耐火構造としたものであること。ロ 居室の外気に面する部分にバルコニー等(略)が避難上有効に設けられており、かつ、当該バルコニー等から地上に通ずる階段その他の避難のための設備(略)若しくは器具が設けられ、又は他の建築物に通ずる設備若しくは器具が設けられていること。 三 次のイからニまでに該当すること。(略)
いずれかに該当すれば足ります
第一号は階そのものを耐火構造の壁と防火戸で区画して一区画あたりの人数を基準の数値未満に抑える型です。
第二号は居室の外にバルコニー等があってそこから地上まで自力でおりられる経路が確保されている型です。
第三号は居室や住戸が直通階段に直接通じている型で階段そのものの構造まで求められます。
共同住宅であればまず第二号に当たるかを見るのが早道です

つまりバルコニーから地上まで下りられる造りなら第二号ですね。
各戸のバルコニーは仕切り板でつながっています。

その線で見てください。
ただし(5)項と(6)項の建物ではバルコニーに限ると書かれています。

免除の条件で見落としやすいのはどこか

耐火の壁と防火戸とバルコニーがそろった住戸と壁が耐火でない住戸を並べたイラスト
第一号のイからヘまでは六つ並んでいますが全部が要る建物とそうでない建物があります。
ここを読み違えると要らない工事を抱えたり逆に条件を欠いたまま届け出てしまいます。
【消防法施行規則第26条第5項第1号】 イ 特定主要構造部を耐火構造としたものであること。 ロ 開口部に防火戸を設ける耐火構造の壁又は床で区画されていること。 ハ ロの区画された部分の収容人員が、令第二十五条第一項各号の区分に応じ、それぞれ当該各号の収容人員の数値未満であること。 ニ 壁及び天井(略)の室内に面する部分(略)の仕上げを準不燃材料でし、又はスプリンクラー設備が、当該階の主たる用途に供するすべての部分に、令第十二条に定める技術上の基準に従い(略)設けられていること。 ホ 直通階段を避難階段又は特別避難階段としたものであること。 ヘ バルコニーその他これに準ずるもの(以下「バルコニー等」という。)が避難上有効に設けられているか、又は二以上の直通階段が相互に隔つた位置に設けられ(略)ていること。
用途によって必要な条件が変わります
劇場や飲食店や病院などの(1)項から(8)項まではイからヘまでの六つ全部が求められます。
工場や倉庫の(12)項と(15)項はイとホとヘの三つだけで足ります。
そしてどの号にも共通して並んでいるのがイの特定主要構造部を耐火構造としたもので これを欠くと第五項のどの型にも乗れません。
ハの収容人員を階全体ではなく区画された部分ごとに見る点も落としやすいところです

うちは共同住宅ですから第一号を使うなら六つ全部ということですか。
思っていたより重たいです。

そうなります。
だからこそ第二号のバルコニーの型で見るほうが現実的です。

自分の階が免除に当たるかをどう確かめればよいのか

バインダーを持つ人と図面と書類を置いた机のイラスト
最後に手を動かす順番を決めておきます。
条文は上から順に読めばそのまま確認の順番になります。
【消防法施行規則第26条第5項第3号】 イ 特定主要構造部を耐火構造としたものであること。 ロ 居室又は住戸から直通階段に直接通じており、当該居室又は住戸の当該直通階段に面する開口部には特定防火設備である防火戸(略)で、随時開くことができる自動閉鎖装置付のもの(略)を設けたものであること。 ハ 直通階段が建築基準法施行令第百二十三条(略)に定める構造のもの(同条第一項に定める構造のものにあつては、消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)であること。 ニ 収容人員は、三十人未満であること。
上から順に落としていきます
まず建物の特定主要構造部が耐火構造かどうかを確認申請の副本や検査済証で確かめます。
次に居室や住戸から直通階段へ直接通じているかを平面図でたどります。
その開口部の防火戸が随時開くことができる自動閉鎖装置付きのものかどうかを現場で見ます。
最後に階ごとの収容人員を数えて三十人未満かを確かめ そのうえで所轄消防署に相談すれば話が通りやすくなります

図面と現場を突き合わせれば自分で当たりを付けられそうです。
まず検査済証を探してきます。

そこまで見れば十分です。
最終的な判断は所轄消防署が行いますので早めに相談してください。

よくある質問

Q十一階以上の階には避難器具を置かなくてよいのですか?
A消防法施行令第25条第1項が避難階及び十一階以上の階を除くと書いているため設置義務の対象外です。免除の条件を検討するまでもありません。
Q三つの型のうち二つ以上を満たす必要はありますか?
A条文はいずれかに該当するときと書いていますので一つで足ります。ただしどの号もイの耐火構造は共通して求められます。
Q個数を減らす規定でも結果として置かなくてよくなることはありますか?
Aあります。消防法施行規則第26条第2項は避難階段の数を引くと定めたうえで当該引いた数が一に満たないときは、当該階に避難器具を設置しないことができるとしています。第5項以降の免除とは根拠が別なのでどちらで整理するかを決めて相談してください。
Q条件に当てはまれば既にある避難器具を外してよいのですか?
A当てはまるかどうかの判断は所轄消防署が行います。自己判断で撤去すると消防法第17条の維持義務に触れるおそれがありますので必ず事前に相談してください。

まとめ

避難器具の減免は消防法施行令第25条第2項第1号ただし書が総務省令に委ねている
受けているのは消防法施行規則第26条で第1項から第4項までが個数の減 第5項から第7項までが設置の免除
設置義務の対象は避難階と十一階以上の階を除いた二階以上の階と地階
第26条第5項は三つの号を並べいずれかに該当すれば避難器具を設置しないことができる
三つの型はどれも特定主要構造部を耐火構造としたものであることが共通の入口になる
第一号で必要な条件は用途によってイからヘまでの六つ 四つ 三つと変わる
条件を満たすと思っても最終的な判断は所轄消防署が行う

置かなくてよい階の条件がはっきりしました。
さっそく図面を出して確かめます。

条件の読み方で迷ったら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第26条
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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