BLOG

移動タンク貯蔵所の車体表示はなぜ道路運送法で決まるのか|使用者名等の適正表示と立入検査の連携を解説

移動タンク貯蔵所の車体表示が道路運送法で決まる仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像

タンクローリーの側面に会社名や記号が書かれているのを見たことがあるかもしれませんが、あれが何の決まりによるものかご存知でしょうか。
実はこの表示義務、消防法ではなく道路運送法が根拠になっています。
ところが移動タンク貯蔵所への立入検査では、消防機関がこの表示の有無を確認し、無ければ運輸支局へ通知するという連携の仕組みがあります。
この記事では表示の対象・内容から、実務で見落としやすい落とし穴まで条文と通知を根拠に整理してお伝えします

うちのタンクローリーにも会社名のステッカーが貼ってあるんですが、あれって消防法の決まりなんですか。

実は道路運送法が根拠なんです。

じゃあ消防とは関係ないってことですか。

いえ、立入検査で消防機関も確認するんです。
今日はその仕組みを見ていきましょう。

この記事の結論
  • 移動タンク貯蔵所の車体には、道路運送法第95条にもとづき使用者名等を表示しなければなりません
  • 黄地に黒文字の自家用軽自動車だけが表示の対象外です
  • 表示すべき内容は使用者の氏名・名称・記号で、自家用車は「自家用」の文字も必要です
  • 元売会社ではなく実際にタンクを使用する者の名称を表示します
  • 消防機関は立入検査で表示の有無を確認し、無ければ地方運輸支局へ通知する仕組みがあります

移動タンク貯蔵所の車体表示の確認手順を示す図解。対象か判定、表示内容を確認、使用者名を確認、消防の立入検査で確認の4段階を整理

移動タンク貯蔵所の車体表示はなぜ必要なのか

タンクローリーの側面に表示パネルが設けられているイメージ
タンクローリーの車体に社名や記号が書かれているのは、消防法ではなく別の法律の規定です。
その根拠になっているのが道路運送法の次の条文です。
道路運送法第95条(自動車に関する表示) 自動車(軽自動車たる自家用自動車、乗車定員十人以下の乗用の自家用自動車、特殊自動車たる自家用自動車その他国土交通省令で定めるものを除く。)を使用する者は、その自動車の外側に、使用者の氏名、名称又は記号その他の国土交通省令で定める事項を見やすいように表示しなければならない。
移動タンク貯蔵所は道路運送法上の「自動車」にあたるため、この表示義務がそのままかかります
消防庁も平成25年12月17日消防危第229号という通知を出し、この表示の徹底を消防機関に依頼しています。
理由は、表示が危険物の事故防止の観点からも有効だからです。
使用者が明確であれば、事故や不備があったときに責任の所在をすぐに特定できます。
次の項目で、実際にどんな移動タンク貯蔵所が対象になるのかを確認します。

うちのタンクローリーにも表示義務があるのか気になります。

対象になる車両かどうかは、ナンバープレートの色で見分けられます。

どんな移動タンク貯蔵所が表示の対象になるのか

車体の大きさが異なる2台の車両を並べて比較するイメージ
対象になるかどうかは、車両の種類とナンバープレートの色で判断できます。
表示が不要になる車両は、道路運送法施行規則が定めています。
道路運送法施行規則第64条(自動車に関する表示を必要としない自動車) 法第九十五条の規定により、自動車に関する表示を必要としない自動車は、警察用及び監獄用の自動車とする。
表示が不要なのは警察用と監獄用の自動車だけで、それ以外の移動タンク貯蔵所は原則すべて対象です
道路運送法第95条の本文はさらに軽自動車たる自家用自動車や乗車定員十人以下の自家用車などを除外しています。
実務ではナンバープレートの色と文字で判断でき、黒地に黄文字・緑地に白文字・白地に緑文字の車両は対象、黄地に黒文字の自家用軽自動車だけが対象外です。
指定数量未満の危険物を貯蔵・取扱うタンク車についても、同じ扱いになります。
次の項目で、実際に何を表示すればよいのかを確認します。

うちのタンクは自家用の軽自動車なので対象外だと思っていました。

軽自動車の自家用だけが例外で、それ以外は普通車でも対象です。

車体に何を表示しなければならないのか

車体側面の表示パネルに名称と識別マークが並ぶイメージ
表示すべき内容は使用者の氏名などだけではありません。
自家用の場合には、追加で表示すべき事項があります。
道路運送法施行規則第65条(自動車に関する表示) 法第九十五条の規定により、自動車の外側に表示しなければならない事項は、使用者の氏名、名称又は記号のほか、次の各号の区分によるものとする。(略)十 自家用自動車(自家用貨物自動車を除く。)にあつては、「自家用」
表示するのは使用者の氏名・名称・記号と、自家用貨物自動車を除く自家用車なら「自家用」の文字です
消防庁の通知では両側面(荷台・キャビン等)への表示が望ましいとされています。
文字の色や場所、大きさについては見やすいようにという基準で、細かい寸法までは定められていません。
表示の方法はペンキ等によることが、通知の中で例示されています。
次の項目で、実務で見落としやすい点を確認します。

「自家用」の文字まで必要だとは知りませんでした。

自家用貨物自動車は除かれますが、それ以外の自家用車は文字も必要です。

実務で見落としやすいのはどこか

元売会社の印だけの車両と使用者名を表示した車両を見比べるイメージ
表示の内容自体は難しくありませんが、実務ではよくある勘違いがあります。
消防機関が立入検査でこの表示を確認する根拠も見ておきます。
消防法第16条の5第1項 市町村長等は、(略)危険物の貯蔵又は取扱いに伴う火災の防止のため必要があると認めるときは、指定数量以上の危険物を貯蔵し、若しくは取り扱つていると認められるすべての場所の所有者、管理者若しくは占有者に対して資料の提出を命じ、若しくは報告を求め、又は当該消防事務に従事する職員に、貯蔵所等に立ち入り、これらの場所の位置、構造若しくは設備及び危険物の貯蔵若しくは取扱いについて検査させ、関係のある者に質問させ、若しくは試験のため必要な最少限度の数量に限り危険物若しくは危険物であることの疑いのある物を収去させることができる。
もっとも見落としやすいのは、表示する名称を元売会社にしてしまう勘違いです
消防庁の通知は「元売会社ではなく自動車の使用者のものとなります」と明記しています。
給油所や石油会社のロゴを表示していても、実際にタンクローリーを使用しているのが別の運送会社であれば、その使用者の名称を表示する必要があります。
消防機関は消防法第16条の5の立入検査でこの表示の有無を確認でき、表示がなければ管轄の地方運輸支局へ通知する仕組みになっています。
つまり道路運送法の不備が、消防の立入検査をきっかけに是正されることがあります。

うちは石油会社のロゴだけ貼っているんですが、それだと駄目なんでしょうか。

ロゴだけでは使用者名等の表示になりません。
実際に使用する会社名を確認しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

点検リストを手に車両を確認する場面のイメージ
条文を確認しただけでは、自社の車両が正しく表示されているかは分かりません。
次の手順で実際の車体と照らし合わせてください。
  • 保有する移動タンク貯蔵所のナンバープレートの色を確認し、道路運送法第95条の対象かどうかを判別する
  • 対象であれば、車体側面に使用者の氏名・名称又は記号が表示されているかを確認する
  • 自家用貨物自動車を除く自家用車では、「自家用」の文字が併記されているかも確認する
  • 表示されている名称が、元売会社ではなく実際の使用者と一致しているかを確認する
  • 表示が無い、または誤っている場合は、速やかに表示を追加・修正する
まずはナンバープレートの色を確認することから始めてください
表示の有無は立入検査で確認される項目でもあるため、日頃の点検に組み込んでおくと安心です。
該当するかどうか迷ったときは、所轄の消防署や運輸支局に相談してください。

明日、まず何を確認すればいいですか。

ナンバープレートの色と表示されている名称を確認してください。

よくある質問

Q移動タンク貯蔵所の車体表示は消防法で義務付けられているのですか?
Aいいえ。表示義務そのものは道路運送法第95条にもとづくもので、消防機関は立入検査を通じて確認する立場です。
Q自家用の軽自動車なら表示は不要ですか?
Aはい。黄地に黒文字のナンバープレートを付けた自家用軽自動車は道路運送法第95条の対象外です。
Q表示する名称は石油会社の名前でもよいのですか?
Aいいえ。表示すべきは実際にタンクローリーを使用する者の氏名・名称・記号で、元売会社の名称ではありません。
Q表示が無い移動タンク貯蔵所を見つけたら消防機関はどうするのですか?
A別記様式を用いて管轄の地方運輸支局へ通知する仕組みになっています。

まとめ

移動タンク貯蔵所の車体表示は道路運送法第95条にもとづく義務です
表示すべき内容は使用者の氏名・名称又は記号です
黄地に黒文字の自家用軽自動車だけが表示の対象外です
自家用貨物自動車を除く自家用車には「自家用」の文字も必要です
表示する名称は元売会社ではなく実際の使用者のものにします
消防機関は消防法第16条の5の立入検査で表示の有無を確認します
表示が無い車両は管轄の地方運輸支局へ通知される仕組みがあります

なるほど、表示の名前が誰のものかまで確認します!

迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 道路運送法第95条(自動車に関する表示)
  • 道路運送法施行規則第64条・第65条(表示を要しない自動車・表示すべき事項)
  • 消防法第16条の5(立入検査等)
  • 消防庁「移動タンク貯蔵所本体に表示すべき使用者名等の適正化に係る取組について(依頼)」(平成25年12月17日消防危第229号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
移動タンク貯蔵所の車体表示が道路運送法で決まる仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像
タンクローリーの側面に会社名や記号が書かれているのを見たことがあるかもしれませんが、あれが何の決まりによるものかご存知でしょうか。 実はこの表示義務、消防法ではなく道路運送法が根拠になっています。 ところが移動タンク貯蔵...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →