移送取扱所の配管は、海底に設置されることもあります。
危険物の規制に関する規則は海底に埋設する場合の基準も定めていますが、地下埋設や河川横断のような深さの数値は出てきません。
代わりに条文が挙げるのは、投錨試験の結果や土質、船舶の交通事情といった評価の材料です。
この記事では、海底に設置する配管の深さがどう決まるのかを条文から整理します。
海底に埋める配管にも、何メートル以上という決まりがあると思っていました。
実は海底だけは、規則に深さの数値が書かれていないんです。
数値が無いなら、何を根拠に深さを決めればよいのでしょうか。
条文が挙げる評価の材料が手がかりになります。
今日は海底に設置する配管の深さと措置を条文から解説します。
- 海底に埋設する配管の深さは、規則に数値で書かれていません
- 深さは投錨試験の結果・土質・埋めもどしの材料・船舶交通事情等を勘案した安全な距離とします
- しゆんせつ計画がある海底では、計画面下0.6メートルを海底面とみなします
- 埋設しないで設置する場合は、配管が連続して支持されるよう海底面をならす必要があります
- 洗掘や浮揚のおそれがある場合だけ、防止措置が上乗せされます
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目次
海底に埋める配管の深さはなぜ数値で決まらないのか

ところが条文には、地下埋設や河川横断のような具体的な数値がありません。
規則第28条の17第六号は、配管の外面と海底面との距離について、投錨試験の結果・土質・埋めもどしの材料・船舶交通事情等を勘案して安全な距離とすることを求めています。
地下埋設や河川横断であれば規則に深さの数値が置かれていますが、海底については勘案すべき材料だけが列挙され、数値そのものは示されていません。
海域ごとに船の大きさも錨の効き方も海底の土も違うため、一律の数値では安全側にも過大側にも振れてしまうからだと読み取れます。
次の見出しでは、その海底面をどこと見るのかを確認します。
数値が無いと、どこまで掘ればよいのか判断できない気がします。
だからこそ投錨試験の結果が根拠として残ります。
次は海底面の見方を確認しましょう。
しゆんせつ計画がある海底では海底面をどこと見るのか

港湾では航路を深くする工事が計画されていることがあります。
規則第28条の17第六号の後段は、埋設する海底にしゆんせつ計画がある場合、しゆんせつ後の海底面である計画面の下0.6メートルを海底面とみなすと定めています。
つまり、いま海底を測って十分な深さを確保していても、それだけでは足りない場合があるということです。
みなし規定が効くと起点そのものが下がるため、配管はさらに深い位置へ埋めなければ安全な距離を確保できません。
海底に配管を通すときは、その海域にしゆんせつ計画があるかどうかを港湾の管理者に確認しておくことが出発点になります。
今の海底の高さで測ればよいと思い込んでいました。
計画があれば起点が下がります。
次は埋設しない場合の基準を見てみましょう。
配管を埋設しないで設置する場合は海底に何を求められるのか

その場合には、埋設とはまったく別の基準が用意されています。
規則第28条の17第九号は、配管を埋設しないで設置する場合に、配管が連続して支持されるよう海底面をならすことを求めています。
岩や起伏の残った海底に配管をそのまま置くと、支えのない区間ができて配管が自重で垂れ下がり、局所的に大きな力がかかります。
そこで条文は、配管の側ではなく海底面の側を平らに整えるという形で対策を求めています。
次の見出しでは、埋設した場合にも設置した場合にも共通して問われる措置を確認します。
埋めないなら、置くだけで済むと考えていました。
置く場合は海底をならす工事が前提になります。
次は潮の流れへの備えを見てみましょう。
洗掘や浮揚のおそれがある場所ではどんな措置が加わるのか

条文はこの動きに対する措置を、二つの号に分けて定めています。
第七号は洗掘のおそれがある場所に埋設する配管に、第十号は配管が浮揚又は移動するおそれがある場合に、それぞれ防止措置を求めています。
洗掘とは潮の流れが海底の土を削り取る現象で、埋めたはずの配管が年月をかけて露出してしまうことがあります。
露出した配管は流れを受けて浮き上がったり位置がずれたりするため、二つの号は続けて読むと一連の対策として理解できます。
逆に言えば、そのおそれが無い場所ではこれらの措置は求められないため、設計時におそれの有無をどう評価したかが記録として残ります。
埋めてしまえば、あとは変わらないものだと思っていました。
海底の土は流れで動きます。
最後に実務での確認の順番を整理しましょう。
海底に設置した配管はどう確認すればよいのか

そのため実務では、判断の根拠が残っているかどうかが確認の中心になります。
第一号が定めるとおり海底設置では埋設が原則なので、自社の配管が埋設なのか、ただし書きによる非埋設なのかをはじめに確認します。
埋設であれば投錨試験の結果としゆんせつ計画の有無、非埋設であれば海底面をならした施工の記録が、それぞれ根拠の書類になります。
そのうえで、洗掘と浮揚のおそれをどう評価し、措置を講じたのか講じなかったのかを設計図書と突き合わせます。
海底の配管は目視できないぶん書類と測量記録が唯一の手がかりになるため、保管場所をいま確かめておくことをおすすめします。
まず埋設か非埋設かを図面で確かめてみます。
そこが分かれば、あとは号ごとに突き合わせられます。
よくある質問
まとめ
数値が無い基準こそ記録が命だとよく分かりました。
まずは設計図書の保管場所から確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の17
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





