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屋上広場があれば直下階の避難器具は免除されるのか|消防法施行規則第26条第7項が定める三つの条件を解説

屋上広場があれば直下階の避難器具は免除されるのか|消防法施行規則第26条第7項が定める三つの条件を解説

避難器具は上の階から地上へおりるための道具です。
ところが屋上広場のある建物ではその直下階に避難器具を置かなくてよいことがあります。
根拠は消防法施行規則第26条第7項で屋上広場の面積や階段の本数まで条件が決められています。
この記事では消防法施行令と消防法施行規則の条文だけを見て屋上広場による免除の条件を整理します

うちのビルは屋上がとても広くて社員の休憩場所になっているんです。
避難器具の数に関係したりしますか。

関係することがあります。
消防法施行規則第26条第7項は屋上広場の直下階には避難器具を設置しないことができると定めています。

屋上が広ければどの建物でも免除になるのですか。
うちのビルには物販のテナントも入っているんですが。

そこが分かれ目です。
条文は令別表第一(一)項と(四)項の階をはっきり除いています。

この記事の結論
  • 避難器具を設ける階は消防法施行令第25条第1項が用途と階と収容人員で決めている
  • 消防法施行規則第26条第7項は屋上広場の直下階には避難器具を設置しないことができると定めている
  • 対象になるのは令第25条第1項第三号と第四号の階で令別表第一(一)項と(四)項の階は除かれる
  • 屋上広場の側には面積と防火戸と地上へ通ずる階段という三つの条件がそろっていなければならない
  • その階から屋上広場へ通ずる避難階段又は特別避難階段が二以上あることも柱書が求めている

屋上広場の直下階における避難器具の免除について用途と対象の階と階段と面積という四つの確認点を示した図解

屋上広場があると避難器具はどうなるのか

屋上に広い屋上広場のある建物と点検表を持つ人を並べたイラスト
避難器具は下へおりるものだけとは限りません。
条文は屋上広場のある建物について直下階を名指しして別の扱いにしています。
【消防法施行規則第26条第7項】令第二十五条第一項第三号及び第四号に掲げる防火対象物の階(令別表第一(一)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階を除く。)が、特定主要構造部を耐火構造とした建築物の次の各号に該当する屋上広場の直下階であり、かつ、当該階から当該屋上広場に通ずる避難階段又は特別避難階段が二以上設けられている場合には、当該階には避難器具を設置しないことができる
免除されるのは屋上広場の直下階だけです
第26条は第1項から第4項までが個数を減らす規定で第5項から第7項までが設置しないことができる規定です。
そのうち第7項だけが屋上広場を条件に置いていて逃げる先を上に取る形になっています。
条文が当該階と書いているのは屋上広場の真下の階のことなので下の階にまでは及びません。
自分の建物の屋上が条文でいう屋上広場に当たるかどうかを図面で確かめるところから始めます

下へ逃げるのではなく上へ逃げるという考え方なんですね。
屋上のことは避難と結び付けて考えていませんでした。

そのとおりです。
まずは屋上の平面図と面積の記載を手元に出しておいてください。

どの建物のどの階なら免除を狙えるのか

工場に青いチェックマークを物品販売店舗に赤い禁止マークを付けて並べたイラスト
どの建物でも使えるわけではありません。
第7項は入口になる階を令第25条第1項の号で名指ししています。
【消防法施行令第25条第1項】避難器具は、次に掲げる防火対象物の階(避難階及び十一階以上の階を除く。)に設置するものとする。(略)三 別表第一(一)項から(四)項まで及び(七)項から(十一)項までに掲げる防火対象物の二階以上の階(特定主要構造部を耐火構造とした建築物の二階を除く。)又は地階で、収容人員が五十人以上のもの 四 別表第一(十二)項及び(十五)項に掲げる防火対象物の三階以上の階又は地階で、収容人員が、三階以上の無窓階又は地階にあつては百人以上、その他の階にあつては百五十人以上のもの
使えるのは第三号と第四号の階に限られます
第一号の(六)項と第二号の(五)項はここに入っていないので病院や福祉施設と旅館や共同住宅は第7項の対象になりません。
そのうえで第7項は括弧書きで令別表第一(一)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階を除くと書いています。
劇場や公会堂を含む(一)項と百貨店や物品販売業の店舗を含む(四)項は第三号に入っていても外されます。
残るのは飲食店の(三)項や学校の(七)項や工場の(十二)項や事業場の(十五)項といった階になります

うちは事務所ビルなので(十五)項ですね。
物販の売場だけは別に考えないといけないということでしょうか。

用途の判定そのものが分かれ目になります。
建物全体が何項に当たるのかを防火対象物の台帳で確かめてください。

屋上広場はなにを満たさなければならないのか

広い屋上広場とオレンジの戸が付いた階段室と地上へおりる外階段を並べたイラスト
屋上が広いというだけでは足りません。
柱書は建築物が特定主要構造部を耐火構造としたものであることを前提にしたうえで三つの号を並べています。
【消防法施行規則第26条第7項第1号から第3号まで】一 屋上広場の面積が千五百平方メートル以上であること。 二 屋上広場に面する窓及び出入口に、防火戸が設けられていること。 三 屋上広場から避難階又は地上に通ずる直通階段で建築基準法施行令第百二十三条に規定する避難階段(屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段としたものその他避難のための設備又は器具が設けられていること
三つの号をすべて満たす必要があります
第一号は広さの話で千五百平方メートル以上という数値がそのまま書かれています。
第二号は屋上広場に面する窓と出入口に防火戸を設けることを求めています。
第三号は屋上広場から避難階又は地上へおりる道を用意することを求めていて屋上が行き止まりにならないようにしています。
広さと防火戸と下りの経路の三つがそろって初めて第7項でいう屋上広場に当たります

つまり屋上に上がったあとの下りまで用意しておく必要があるんですね。
上がって終わりではないということがよく分かりました。

そこが第三号の狙いです。
屋上の階段室の扉が実際に開くかどうかも合わせて見ておいてください。

免除にならないのはどんなときか

屋上のすぐ下の階だけが空で下の階には避難はしごが残っている建物と点検表を持つ人を並べたイラスト
同じ屋上広場という言葉でも項が違えば求められるものが変わります。
第26条には避難橋を置く場合の第4項があり数値の桁が大きく違います。
【消防法施行規則第26条第4項】令第二十五条第一項各号に掲げる防火対象物で特定主要構造部を耐火構造としたものに避難橋を次に該当する屋上広場に設けた場合において、(略)当該直下階に設置する避難器具の個数は、(略)当該避難橋の数に二を乗じた数を引いた数以上とすることができる。 一 避難橋が設置されている屋上広場の有効面積は、百平方メートル以上であること
第4項と第7項は別の規定です
第4項は避難橋を置く場合の個数の減で屋上広場の有効面積百平方メートル以上を求めています。
第7項は設置の免除で面積千五百平方メートル以上なので数値も言葉も同じではありません。
また第7項の柱書は屋上広場へ通ずる避難階段又は特別避難階段が二以上あることを求めているので階段が一つでは足りません。
免除されるのは直下階だけなのでその下の階の避難器具はこれまでどおり必要になります

百平方メートルと千五百平方メートルでは桁が違うんですね。
屋上広場という言葉だけを見て取り違えるところでした。

取り違えやすいところです。
どちらの項を狙うのかを先に決めてから図面に当たってください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検表を持つ人と屋上広場のある建物の模型と図面を並べたイラスト
条文に当てはまりそうでも自分で外してよいわけではありません。
消防用設備等には設置と維持の両方の義務がかかっています。
【消防法第17条第1項】学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない
先に図面で四つのことを拾います
建物の用途と対象になる階と屋上広場の面積と屋上へ通ずる避難階段の本数の四つです。
そのうえで屋上広場に面する窓と出入口の防火戸が現場にあるかを歩いて確かめます。
条文に当てはまりそうに見えても既にある避難器具を勝手に外すと消防法第17条第1項の維持義務に触れるおそれがあります。
外す前に必ず所轄消防署へ相談して図面と現地の両方で確認してもらいます

屋上の面積と階段の本数から数えてみます。
外すかどうかは相談してから決めるようにします。

その順番で正解です。
屋上の平面図と避難器具の点検票をそろえて持っていくと話が早く進みます。

よくある質問

Q屋上広場が千五百平方メートルに少し足りない場合はどうなりますか?
A消防法施行規則第26条第7項第1号は千五百平方メートル以上と定めているので条文どおりに読めば足りません。第4項の避難橋による個数の減など別の規定に当たらないかを所轄消防署にご確認ください。
Q百貨店の屋上広場では使えないのですか?
A第7項の柱書が令別表第一(一)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階を除くと書いています。百貨店その他の物品販売業を営む店舗を含む(四)項の階はこの免除の対象になりません。
Q屋上へ通ずる階段は普通の直通階段でもよいですか?
A柱書は避難階段又は特別避難階段が二以上設けられている場合と書いています。屋上へ通じてはいても普通の直通階段のままでは数に入りません。
Q免除に当たれば既にある避難器具を外してよいですか?
A条文は設置しないことができると書いていますが当てはまるかどうかの判断は所轄消防署が行います。自己判断で外すと消防法第17条第1項の維持義務に触れるおそれがありますので必ず事前にご相談ください。

まとめ

避難器具を設ける階は消防法施行令第25条第1項が用途と階と収容人員で定めている
消防法施行規則第26条第7項は屋上広場の直下階に避難器具を設置しないことができると定めている
対象は令第25条第1項第三号と第四号の階に限られる
令別表第一(一)項と(四)項の階は柱書の括弧書きではっきり除かれている
その階から屋上広場へ通ずる避難階段又は特別避難階段が二以上必要になる
屋上広場は面積千五百平方メートル以上と防火戸と地上へ通ずる階段の三つを満たさなければならない
免除されるのは直下階だけでその下の階の避難器具は残る

屋上広場の三つの条件がはっきりしました。
まずは面積と階段の本数を図面で数えます。

条件の当てはめや図面の読み方で迷ったら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条・別表第一
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第26条
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第123条
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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