自動火災報知設備の設置工事が終わると、業者は完了検査の前に配線の試験結果報告書を作成します。
この報告書には、試験を行った人の資格や測定に使った機器だけでなく、回路ごとの絶縁抵抗の実測値まで書き込む欄があります。
基準を満たしているかどうかの合否だけでなく、現場で実際にどんな数値が出たのかまで記録される書類です。
今回は配線の試験結果報告書に実際にどんな数値が書き込まれるのか、基準とどう違うのかを解説します。
配線の試験結果報告書って、合格か不合格かだけが書いてあるんですか?
いえ、資格欄や測定機器欄、実測値そのものまで書き込むんですよ。
回路ごとに数値が違うなら、基準とどれだけ差があるのかも気になります。
はい、基準をどれだけ上回っているかが分かる作りになっています。
- 配線の試験結果報告書は別記様式第28で作成する
- 資格欄には試験実施者の資格を記入し、記載例は第1種電気工事士の登録番号(東京都第8888号)
- 絶縁抵抗の基準は対地電圧150ボルト以下の回路で0.1メガオーム以上
- 記載例の実測値は50メガオームから100メガオームで基準を大きく上回っている
- 接地抵抗の実測値はD種10オームで、一般基準の100オームを十分に下回る
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目次
配線の試験結果報告書はどの様式を使うのか

どんな様式に何を書くかは、設備ごとに消防庁長官が定めています。
様式の名前は別記様式第28で、試験実施者の資格や測定機器を書く欄と、回路ごとの絶縁抵抗の実測値、その回路が対応する消防用設備等の種類を書く欄で構成されています。
記載例②は、この様式に実際の数値を書き込んだ記入例という設定になっています。
つまりこの1枚は、配線という見えにくい部分だけでなく、誰がどの機器で測ったかまで示す書類だということです。
うちの配線も、誰がどの機器で測ったかまで報告書に残るんですね。
はい、資格と機器の記録まで欄が分かれているんです。
試験実施者の資格欄には何を書くのか

配線の絶縁抵抗を測るには、それなりの資格が必要になるからです。
記載例では第1種電気工事士 東京都第8888号という登録番号が記入されています。
電気工事士でなければ扱えない配線を、実際に有資格者が測定したことを示す欄だということです。
資格の名称だけでなく登録番号まで書くのは、あとから照合できるようにするためです。
資格の名前だけでなく、登録番号まで書くとは思っていませんでした。
はい、登録番号まで照合できる作りです。
測定機器欄には何を記載するのか

数値だけでなく、その数値をどの計器で測ったかまで残す仕組みです。
記載例では接地抵抗計(型式3235)・絶縁抵抗計(型式2403)という2種類の計器の型式が記入されています。
接地抵抗を測る計器と絶縁抵抗を測る計器は別物で、それぞれの型式が分かれて記載される仕組みです。
校正の有効期限が切れた計器で測った数値では、いくら基準を満たしていても裏付けになりません。
接地抵抗と絶縁抵抗って、同じ計器で測るものだと思っていました。
いえ、別の計器の別の型式として記入されているんです。
接地抵抗と絶縁抵抗の実測値は基準とどれだけ差があるのか

どちらも合格ラインが決まっていて、記載例の実測値と見比べると差がよく分かります。
記載例の実測値は電源回路・操作回路・表示灯回路が100メガオーム、警報回路・感知器回路・附属装置回路等が50メガオームで、いずれも基準の0.1メガオームを大きく上回っています。
100メガオームは基準の1000倍、50メガオームでも基準の500倍にあたる数値です。
接地抵抗についても、一般に用いられるD種接地工事の基準は100オーム以下とされていますが、記載例の実測値はD種10オームで基準の10分の1にとどまっています(電気設備の技術基準の解釈第17条)。
基準ぎりぎりの数値で合格することもあるんですか?
あり得ますが、記載例のような余裕のある数値が目安になります。
各回路はどの消防用設備等に対応しているのか

1本の配線試験報告書が、複数の消防用設備等をまたいで書かれることがあるためです。
記載例では電源回路は屋内消火栓設備、操作回路・表示灯回路・感知器回路・附属装置回路等は自動火災報知設備、警報回路はスプリンクラー設備という対応で書かれています。
1枚の報告書の中に、屋内消火栓設備・自動火災報知設備・スプリンクラー設備という3種類の消防用設備等が同時に登場する例だということです。
どの回路がどの設備を支えているかが分からないと、故障したときにどこから確認すればよいか分からなくなります。
1枚の報告書に3種類も設備が出てくることがあるんですね。
はい、回路ごとの対応欄があるので分かる作りです。
よくある質問
まとめ
基準と実測値の見分け方がよく分かりました!
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第24条第1項第1号ロ(自動火災報知設備の配線の絶縁抵抗基準)
- 消防法施行規則第31条の3第5項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第28
- 電気設備の技術基準の解釈第17条(D種接地工事の接地抵抗値)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





