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準地下街の地下道はなぜスプリンクラー設置を要しないのか|消防法施行規則第13条第3項が定める通行部分の範囲を解説

地下道沿いの通路で天井を見上げる作業服姿の点検員の写真

地下街のような雰囲気の通路なのに、天井を見上げるとスプリンクラーヘッドが見当たらないことがあります。
故障や工事の見落としのように見えますが、実はこれは消防法施行規則が正式に認めている取り扱いです。
対象になるのは地下道のどの部分なのか、免除されないのはどこなのかを、条文から順に確認していきます。
準地下街の地下道について、条文に沿って正しく理解しましょう

うちの建物の地下は、地下道の両側にテナントが並ぶ準地下街のような造りです。
この地下道の通路部分にも、スプリンクラーヘッドを付けないといけないのでしょうか。

地下道に面した建築物の地階と地下道をあわせたものは、準地下街にあたることがあります。
まずはその地下道が実際に要件を満たすかどうかを確認しましょう。

地下街とは何が違うんでしょうか。
うちの通路は1本だけで、そこまで大きな施設ではないのですが。

規模の大小ではなく、条文の要件に当てはまるかどうかで判定されます。
準地下街でも、スプリンクラー設備の設置基準は原則として適用されます。

この記事の結論
  • 準地下街(建築物の地階が地下道に連続して面するもの)は消防法施行令別表第一(16の3)項にあたります
  • スプリンクラー設置が免除されるのは、この地下道のうち通行の用に供される部分だけです
  • 根拠は消防法施行規則第13条第3項第10号の2です
  • 地下道に面する店舗の地階部分は、この号の免除の対象に含まれません
  • 通路への什器のはみ出しなど、免除範囲を狭める要因に注意が必要です

準地下街の地下道は通行部分だけスプリンクラー設置を要しないことを示す図解

準地下街の地下道とはどんな場所を指すのか

地下道の両側に小さな店舗が並ぶ準地下街の通路のイラスト
地下街のような造りでも、規模や成り立ちによっては別の防火対象物として扱われることがあります。
その代表例が、地下道に面した建築物の地階をまとめた「準地下街」です。
【消防法施行令別表第一(16の3)項】建築物の地階((16の2)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)
準地下街は、地下道とそれに面する建物の地階をあわせて1つの防火対象物として扱う区分です
似たしくみに(16の2)項の「地下街」がありますが、地下街は地下道とそれに面する地階を一体として指定した独立の防火対象物です。
一方、準地下街は建築物の地階が地下道に連続して面している状態そのものを指し、通路が1本だけの小規模なケースでも対象になり得ます。
対象になる用途は店舗や飲食店、旅館、病院、公衆浴場など一部の用途に限られ、事務所や住宅だけの地階は含まれません。
まずは自分の建物の地下道が、この(16の3)項の要件に当てはまるかどうかを確認するところから始めます。

うちの地下道も、両側に店舗が並んでいます。
これは準地下街に当てはまるんでしょうか。

用途と構造が要件に合えば当てはまる可能性があります。
まずは地下道に面する部分の用途を確認しましょう。

スプリンクラー設置が免除されるのはどの部分か

地下道の天井と店舗の天井を比べ通路側は禁止マーク店舗側は許可マークが付いたイラスト
準地下街に該当しても、建物全体でスプリンクラー設備が一律に免除されるわけではありません。
免除されるのは、条文が指定した一部の部分だけです。
【消防法施行規則第13条第3項】令第十二条第二項第一号の総務省令で定める部分は、次の各号に掲げる部分以外の部分とする。(略)
【同項第10号の2】(16の3)項に掲げる防火対象物の地下道で、通行の用に供される部分
規則第13条第3項は、原則は設置対象としたうえで免除される部分だけを号ごとに列挙する形になっています
スプリンクラー設備は消防法施行令第12条第2項第1号により、原則として総務省令で定める部分に設けます。
その総務省令にあたる規則第13条第3項が、各号に掲げる部分を設置しなくてよい部分として除いています。
第10号の2はそのうちの一つで、(16の3)項の防火対象物の地下道のうち、通行の用に供される部分を対象にしています。
つまり免除の対象になるのは地下道そのものであって、準地下街の建物全体ではありません。

免除されるのは地下道だけで、建物全部が対象外になるわけじゃないんですね。

そのとおりです。
号の文言に書かれた範囲だけが免除の対象になります。

なぜ地下道の通行部分だけが対象になるのか

小さな準地下街の通路と大規模な地下街の通路を並べて規模を比べたイラスト
第10号の2の条文をよく見ると、対象は地下道のうち「通行の用に供される部分」に限定されています。
この限定の意味を確認します。
【同項第10号】(16)項イに掲げる防火対象物で(10)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分のうち、乗降場並びにこれに通ずる階段及び通路 / 【同項第10号の2】(16の3)項に掲げる防火対象物の地下道で、通行の用に供される部分
規則第13条第3項には、人が通り抜けるだけの部分をスプリンクラーの対象から外す号がいくつか並んでいます
第10号は複合用途防火対象物の中にある乗降場や、それに通ずる階段・通路を対象にしています。
第10号の2はこれと似た考え方で、準地下街の地下道のうち通行だけに使われている部分を対象にしています。
条文には床面積の上限など追加の条件は書かれておらず、用途の要件は(16の3)項に該当することだけです。
逆に言えば、地下道であっても通行以外の用途に使われている部分は、この号の対象には含まれません。

通行だけの場所だから、免除の対象になるということですね。

はい。
ただし通行の用に供される部分かどうかは、実際の使われ方で判断されます。

実務で見落としやすいのはどこか

地下道沿いの店舗前に商品箱が積まれている様子と何もない通路区間を並べたイラスト
条文どおりに考えると単純ですが、実際の地下道は必ずしも通路だけの状態とは限りません。
見落としやすい点を確認します。
  • 商品棚や陳列什器が通路側にはみ出している部分
  • 搬入や荷さばきで一時的に通行に使われていない部分
  • 地下道の一部を催事スペースとして使っている部分
免除の対象になるのは、あくまで通行の用に供されている部分です
商品棚などが通路側に張り出して、その部分が実質的に店舗の用に供される状態になっていれば、通行の用に供される部分とは言いにくくなります。
このような場所は通行部分としての免除の対象から外れる可能性があるため、注意が必要です。
地下道に面する店舗そのものの地階部分は、そもそも第10号の2の対象ではなく、通常どおりスプリンクラー設置の要否を判断します。
図面上の区画と、実際の使われ方が食い違っていないかを確認することが大切です。

うちの地下道、店の前に商品棚が少しはみ出しているんですが、大丈夫でしょうか。

はみ出した部分は通行の用に供される部分と言いにくくなります。
通路の幅を確保できているか、一度確認しましょう。

明日からなにを確かめればよいのか

点検員が地下道と店舗の境界に立って店舗側を確認しているイラスト
ここまでの内容を、実際の建物で確認する手順に落とし込みます。
図面と現地の両方を見ることが大切です。
【消防法施行規則第13条第3項第10号の2】(16の3)項に掲げる防火対象物の地下道で、通行の用に供される部分 / 【消防法施行令第12条第2項第1号】スプリンクラーヘッドは、(略)総務省令で定める部分に設けること。
図面と現地の両方で、地下道と店舗の境界を確かめます
まず建物の図面で、地下道の範囲と各店舗の地階部分の境界を確認します。
次に現地を歩き、商品棚や什器が通路側にはみ出していないか、通行の用に供される部分が図面どおり確保されているかを見ます。
判断に迷う部分があれば、所轄消防署に図面を持参して確認してください。
免除の範囲を正しく把握しておくことが、地下道全体の安全確保にもつながります。

まずは図面で地下道と店舗の境界をはっきりさせてみます。

それが確実な進め方です。
分からない点があればいつでもご相談ください。

よくある質問

Q準地下街と地下街はどう違うのですか?
A地下街((16の2)項)は地下道とそれに面する地階を一体として指定した防火対象物です。準地下街((16の3)項)は、建築物の地階が地下道に連続して面している状態を指し、対象になる用途も店舗や飲食店など一部に限られます。
Q免除されるのは地下道全体ですか?
Aいいえ。通行の用に供される部分だけが免除の対象です。地下道に面する店舗の地階部分にはこの号は適用されません。
Q免除に床面積の上限はありますか?
A消防法施行規則第13条第3項第10号の2の条文に、面積による上限は定められていません。用途の要件は(16の3)項に該当することだけです。
Q通路に商品棚がはみ出している場合はどうなりますか?
Aその部分は通行の用に供される部分と言いにくくなり、免除の対象から外れるおそれがあります。通路の幅を確保し、什器がはみ出さないようにしてください。

まとめ

準地下街は建築物の地階が地下道に連続して面するものです
根拠は消防法施行規則第13条第3項第10号の2です
免除の対象は準地下街((16の3)項)の地下道のうち通行の用に供される部分です
地下道に面する店舗の地階部分は免除の対象に含まれません
条文上、免除に床面積の上限は定められていません
商品棚などが通路にはみ出す部分は通行部分としての免除から外れるおそれがあります
図面と現地の両方で地下道と店舗の境界を確認しましょう

これで地下道の免除範囲がすっきりしました!

地下道と店舗の区画分けでお悩みでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(16の3)項
  • 消防法施行令第12条第2項第1号
  • 消防法施行規則第13条第3項第10号
  • 消防法施行規則第13条第3項第10号の2

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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