準住居地域は、劇場や店舗など沿道型の用途を比較的幅広く受け入れる地域です。
ただし建築基準法別表第二(と)項第六号は、これらの用途を床面積の規模でまとめて規制しています。
しかも劇場だけは、床面積を数える範囲が他の用途と違う特別な扱いを受けます。
準住居地域では床面積の合計が10,000平方メートルを境に、店舗も劇場も一律に建築できなくなります
準住居地域に大きめの店舗を建てたいという相談を受けたのですが、床面積に上限のようなものはあるのでしょうか。
建築基準法別表第二(と)項第六号に、床面積で線引きする規定があります。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
劇場や遊技場も同じ号で規制されるのですか。
はい、第六号は複数の用途をまとめて規制する号です。
順番に見ていきましょう。
- 準住居地域では、建築基準法第48条第7項により別表第二(と)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- 同項第六号は、第五号に掲げる劇場等に加えて店舗・飲食店・展示場・遊技場等も対象にし、床面積の合計が10,000平方メートルを超えると建築を禁止します。
- 劇場等は客席の部分に限って面積を数えるため、200平方メートルを超えた時点ですでに第五号の対象になり、第六号の10,000平方メートルが単独で働く場面はほとんどありません。
- 施行令第百三十条の八の二第2項により、場内車券売場と勝舟投票券発売所も政令で追加されています。
- 上限を超える場合でも、特定行政庁の許可を得れば例外的に建てられる道が残されています。
▼

目次
準住居地域の店舗や劇場はなぜ床面積で規制されるのか

それでも建築基準法別表第二(と)項第六号は、これらの用途を床面積の規模でまとめて規制しています。
第五号は劇場やナイトクラブ等だけを対象にした号でしたが、第六号はそれに店舗や飲食店などの用途を加えています。
同じ準住居地域の中でも、用途によって適用される号が異なる点に注意が必要です。
次は、この号が定める床面積の上限を境に何が変わるのかを確認しましょう。
劇場と店舗が同じ号でまとめて規制されているとは知りませんでした。
はい、第六号は複数の用途をまとめて規制する号です。
次は面積の上限を見ていきましょう。
10,000平方メートルを境に何が変わるのか

この上限を境に、建築の可否がはっきり分かれます。
店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場は、この10,000平方メートルの基準だけで判定されます。
10,000平方メートル以下であれば、これらの用途の建物は原則として建築が認められます。
逆に10,000平方メートルを超えると、用途に関わらず建築が認められません。
次は、劇場等について第六号がどこまで実際に働くのかを確認しましょう。
10,000平方メートルというと、かなり大きな建物ですね。
はい、店舗系の用途にはこの基準だけが働きます。
次は劇場側の扱いを見ていきましょう。
劇場に六号の基準が実際に効く場面はあるのか

実は、この号が劇場に単独で働く場面はかなり限られます。
第五号の基準は客席200平方メートル、第六号の基準は客席10,000平方メートルと、同じ「客席の部分」を測りながら数字が大きく違います。
200平方メートルは10,000平方メートルよりはるかに小さいため、客席が10,000平方メートルに達するころには、もうとっくに第五号で建築禁止の対象になっています。
つまり第六号のうち劇場・ナイトクラブに関する部分は、実務上は第五号の規制が先に働くため、単独で意味を持つ場面はほとんどありません。
次は、第六号が実際に効いてくる店舗側の用途を確認しましょう。
それなら、劇場については第六号を気にしなくてよいのですか。
客席部分の判定だけならほぼそうです。
次は店舗側の用途を見ていきましょう。
店舗や遊技場はどんな用途が対象になるのか

条文に載っていない業態は、政令が個別に追加していることがあります。
これに加えて、施行令第百三十条の八の二第2項により場内車券売場と勝舟投票券発売所も対象用途に追加されています。
場外の車券売場は条文に直接載っていますが、場内の車券売場は政令による追加という違いがあります。
条文に載っていない業態だからといって、対象外と決めつけないことが重要です。
次は、上限を超える場合の例外的な手続きを確認しましょう。
条文に載っていない業態でも、政令で追加されることがあるのですね。
はい、政令の追加まで確認する必要があります。
次は上限を超えたときの手続きを見ていきましょう。
上限を超えても建てられる道はあるか

特定行政庁の許可という例外的な手続きが用意されています。
第48条第15項により、この許可には利害関係者への公開の意見聴取と建築審査会の同意という手続きが必要です。
許可を得られるかどうかは個別の事情によるため、上限を超える計画は早い段階で特定行政庁への相談が欠かせません。
出店や新築の相談を受けたときは、まず用途と床面積を切り分けて確認するところから始めましょう。
上限を超えていても、相談次第で道が開けることがあるのですね。
はい、特定行政庁への相談が第一歩です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
相談してくれた方には床面積の合計と用途を確認するよう伝えてみます!
政令で追加された用途も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第7項・第15項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(と)項第五号・第六号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十条の八の二第2項(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





