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住戸用自動火災報知設備と共同住宅用非常警報設備はどこまで兼用できるか|受信機と表示灯の共用範囲も解説

住戸用自動火災報知設備と共同住宅用非常警報設備を解説するアイキャッチ画像

特定共同住宅等には、住戸用自動火災報知設備と共同住宅用非常警報設備、戸外表示器がセットで登場します。
感知器をどの受信機につなぐか、音声警報のメッセージはどこまで簡略化できるか、表示灯は兼用できるか、疑問は尽きません。
似たような装置を二重に設けなくてよいのか、現場ではよく迷う点です。
平成18年消防庁告示に基づく5つの実例から、まとめられる境界線を整理します

うちのマンション、共用の倉庫にある感知器を防災センターの受信機につないでいると聞きました。
それって普通の自火報でいいんでしょうか。

共用部分の感知器は、条件を満たせば令第21条の自動火災報知設備の受信機にまとめてつなげます。
今日は住戸用自火報と非常警報設備、戸外表示器がどこまでまとめられるかを見ていきましょう。

表示灯とかも一緒にできたら管理が楽になりそうです。

兼ねられるものと、そうでないものがはっきり分かれています。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 音声警報のメッセージは特定共同住宅等の形態から場所を特定できるなら簡略な表現でも差し支えありません
  • 直接外気に開放されていない共用部分や倉庫等の感知器は令第21条の自動火災報知設備の受信機にまとめて接続できます
  • 傾斜地で地階が避難階になる場合もその階を基準に階数3以内ごとに音響装置と起動装置を設けます
  • 共用部分に発信機や地区音響装置や表示灯までそろえれば共同住宅用非常警報設備は重ねて設けなくてよいとされています
  • 作動表示灯と通電表示灯は色と点滅を使い分ければ兼用が認められます

音声警報のメッセージは近所とだけ伝えてよいか

共同住宅の音声警報装置から火災警報のメッセージが流れている様子を示したイメージ
18号告示第3第9号(3)ホは、音声警報装置が流す火災警報のメッセージの内容を定めています。
「火災が発生した場所」をどこまで簡略に伝えてよいかが問われました。
問59 18号告示第3第9号(3)ホに、音声警報装置の火災警報のメッセージの内容が規定されているが、「火災が発生した場所」は「この近所」とすることが可能か。また、出火住戸については、火災警報のメッセージから発生場所を省略することが可能か
答 前段、特定共同住宅等の形態から、火災が発生した場所を容易に特定できる場合は差し支えない。後段、差し支えない
建物の形で判断が変わります
18号告示は、音声警報装置が流す火災警報のメッセージについて「火災が発生した場所」を知らせることとしています。
回答は、特定共同住宅等の形態から火災が発生した場所を容易に特定できる場合に限り、「この近所」という簡略な表現でも差し支えないとしました。
出火住戸そのものについては、メッセージから発生場所を省略することも差し支えないとされています。
形態から特定できるかどうかは建物ごとに違うため、一律に簡略な表現で済ませてよいわけではありません。
自分の建物が該当するかは、住戸の配置や階数構成を踏まえて、メッセージの文言を設計段階で消防署と確認しておくと安心です。

放送で場所を細かく言うと、かえって混乱しそうで悩んでいました。

特定できる建物なら、この近所くらいの表現でも差し支えありません。
出火住戸自体は場所を省いても大丈夫です。

共用部の感知器は防災センターの受信機につないでよいか

共用部分の感知器を防災センター等の自動火災報知設備の受信機に接続することを示したイメージ
19号告示第3第2号(3)は、住戸用自動火災報知設備の感知器を住戸用受信機に接続することとしています。
直接外気に開放されていない共用部分や倉庫等の感知器を、どの受信機につなぐかが問われました。
問62 19号告示第3第2号(3)に、住戸用自動火災報知設備の感知器は、住戸用受信機に接続することとされているが、直接外気に開放されていない共用部分及び倉庫等に設ける感知器について、防災センター等又は管理人室等に令第21条に規定する自動火災報知設備の受信機を設置し、当該感知器を接続してよいか
答 差し支えない
場所によって受信機を分けられます
19号告示は、住戸用自動火災報知設備の感知器を住戸用受信機に接続することを基本としています。
ただし直接外気に開放されていない共用部分や倉庫等に設ける感知器は事情が異なります。
回答は、防災センター等又は管理人室等に令第21条に規定する自動火災報知設備の受信機を設置し、その感知器を接続してよいとしました。
住戸用受信機に一本化しなくても、一般の自動火災報知設備の受信機で共用部分をまとめて監視できることになります。
共用部分の感知器がどちらの受信機につながっているかは竣工図で確認できるので、点検のたびに配線図を照らし合わせておくと管理がぶれません。

共用の倉庫にある感知器まで住戸用受信機に集めるのは大変そうです。

そこは防災センター等の一般的な受信機にまとめてつないで差し支えありません。

傾斜地で地階が避難階になったら音響装置は何階ごとに区切るか

傾斜地に建つ建物で避難階を基準に階数3以内ごとに音響装置と起動装置を設けることを示したイメージ
19号告示第4第1号(4)及び第2号は、共同住宅用非常警報設備の音響装置と起動装置の設置方法を定めています。
傾斜地に建ち、地階が避難階になる建物では数え方が問題になりました。
問63 19号告示第4第1号(4)及び第2号に、階段室型特定共同住宅等に設ける共同住宅用非常警報設備の音響装置及び起動装置の設置方法が規定されているが、傾斜地に存すること等により地階が避難階となり、当該階に住戸等が存する場合は、当該階及び当該階から上方に数えた階数3以内ごとに音響装置及び起動装置を設けることとすべきか
答 お見込みのとおり
避難階の位置で数え始めが変わります
19号告示は、階段室型特定共同住宅等の共同住宅用非常警報設備について、階数3以内ごとに音響装置と起動装置を設けることとしています。
通常は建物の1階を基準に数えますが、傾斜地では地階が避難階になることがあります。
回答は、その場合でも当該階及びそこから上方に数えた階数3以内ごとに設けることとしてよいとしました。
数える起点が避難階そのものに移るだけで、区切り方の考え方自体は平地の建物と変わりません。
敷地に高低差がある計画では、まず避難階がどの階になるかを確定させてから、音響装置の階数割りを図面に落とし込むと手戻りがありません。

うちは斜面に建っていて、下の階がそのまま外に出られる階になっています。

その階を基準にして、そこから3以内ごとに音響装置と起動装置を設ければ問題ありません。

自動火災報知設備があれば非常警報設備は省略できるか

共用部分に発信機と地区音響装置と表示灯をそろえた自動火災報知設備があれば共同住宅用非常警報設備を重ねて設置しなくてよいことを示したイメージ
特定共同住宅等の共用部分には、住戸用自動火災報知設備とは別に共同住宅用非常警報設備を設けることが原則です。
すでに一般の自動火災報知設備一式が備わっている場合の扱いが問われました。
問64 特定共同住宅等の住戸、共用室及び管理人室に住戸用自動火災報知設備を設置するとともに、共用部分に令第21条に規定する自動火災報知設備を設置し、発信機、地区音響装置、表示灯を設けた場合は、共同住宅用非常警報設備を設置しなくてよいか
答 お見込みのとおり
一般の自火報一式で足ります
住戸、共用室及び管理人室には住戸用自動火災報知設備を、共用部分には別途共同住宅用非常警報設備を設けるのが基本の形です。
回答は、共用部分に令第21条の自動火災報知設備を設置し、発信機、地区音響装置、表示灯まで一式そろえた場合は、共同住宅用非常警報設備を重ねて設けなくてよいとしました。
二つの設備を別々に設置しなくても、機能が同等にそろっていれば足りるという考え方です。
共用部分の設備を選ぶときは、発信機と地区音響装置と表示灯がそろっているかを図面でひとつずつ確認しておくと、あとから片方が足りないという指摘を受けずに済みます。

共用部分に自火報の受信機や表示灯まで一通りそろえたら、それとは別に非常警報設備も要るんでしょうか。

発信機と地区音響装置と表示灯までそろっていれば、非常警報設備は重ねて設けなくて大丈夫です。

作動表示灯と通電表示灯は兼用してよいか

通電表示灯と作動表示灯は原則兼用できないが赤色以外の点灯と赤色の点滅を使い分ければ兼用できることを示したイメージ
20号告示第2第13号は「作動表示灯」を、第15号は「通電表示灯」をそれぞれ定めています。
この二つの表示灯を一つにまとめられるかが問われました。
問65 20号告示第2第13号の「作動表示灯」と第15号の「通電表示灯」を兼用することは認められるか
答 原則として認められない。ただし、通電表示灯として赤色以外の色で点灯するとともに、作動表示灯として赤色の灯火が点滅する場合は兼用することができる
色と点滅の使い分けが条件です
20号告示は、常時点灯して電源が入っていることを示す通電表示灯と、作動したことを示す作動表示灯を別々に定めています。
回答は、この二つを一つの灯火で兼ねることを原則として認めていません。
ただし通電表示灯として赤色以外の色で点灯し、作動表示灯として赤色の灯火が点滅するという条件を満たせば、兼用することができるとしました。
兼用にする場合は、平常時の色と作動時の点滅色がはっきり区別できる器具を選ぶことが前提になります。

表示灯をひとつにまとめたほうが配線もすっきりしそうです。

原則としては別々です。
色を変えて赤色の点滅にできる器具なら兼用も認められます。

よくある質問

Q音声警報のメッセージはどこまで簡略にできますか?
A回答は、特定共同住宅等の形態から火災が発生した場所を容易に特定できる場合は差し支えないとし、出火住戸については発生場所の省略も差し支えないとしています。
Q共用部分の感知器は住戸用受信機以外につないでもよいですか?
A回答は、防災センター等又は管理人室等に令第21条の自動火災報知設備の受信機を設置して接続してよいとしています。
Q共同住宅用非常警報設備は自火報があれば省いてよいですか?
A回答は、共用部分に発信機、地区音響装置、表示灯まで備えた自動火災報知設備があれば重ねて設置しなくてよいとしています。
Q作動表示灯と通電表示灯は一つにまとめられますか?
A回答は、原則として認められないとし、赤色以外の点灯と赤色の点滅を使い分ける場合に限り兼用できるとしています。

まとめ

音声警報のメッセージは形態から場所を特定できるなら簡略な表現でも差し支えありません
出火住戸については発生場所の省略も差し支えないとされています
共用部分や倉庫等の感知器は令第21条の自動火災報知設備の受信機にまとめて接続できます
傾斜地で地階が避難階になる場合はその階を基準に階数3以内ごとに区切ります
共用部分に発信機や地区音響装置や表示灯までそろえれば共同住宅用非常警報設備は重ねて設けなくてよいとされています
作動表示灯と通電表示灯の兼用は原則として認められません
ただし赤色以外の点灯と赤色の点滅を使い分ければ兼用が認められます

まとめてよい部分と、そうでない部分がはっきりしました。
うちの図面をもう一度見直してみます。

受信機の接続、音響装置の区切り、非常警報設備の要否、表示灯の兼用。
この4点を押さえれば判断に迷いません
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成18年11月30日 消防予第500号 消防庁予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成18年消防庁告示第18号)
  • 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成18年消防庁告示第19号)
  • 戸外表示器の基準を定める件(平成18年消防庁告示第20号)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は平成18年当時のもので、告示番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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