共同住宅用自動火災報知設備や住戸用自動火災報知設備等は、通常の自動火災報知設備の代わりに使える設備として消防法令に位置づけられています。
ただし住戸の中で感知器が作動しても、それだけでは外部の人には伝わりません。
その役目を担うのが戸外表示器で、構造・警報機能・表示まで消防庁告示で細かく基準が定められています。
この記事では委任構造から警報の作動条件、現場での確認手順まで順番に解説します。
うちのマンションは共同住宅用自動火災報知設備なので、普通の受信機とは違うと聞きました。
住戸の外に警報が伝わる仕組みはどうなっているんでしょうか。
それを担っているのが戸外表示器です。
まずは告示上の位置づけから見てみましょう。
表示器というと単なるランプだと思っていました。
そんなに細かく基準があるんですか。
構造・警報機能・環境性能・表示まで告示で定められています。
順番に見ていきましょう。
- 戸外表示器は共同住宅用自動火災報知設備等の受信機からの信号を屋外へ伝える機器で、平成18年消防庁告示第20号に基準が定められています。
- 構造は防水性・防塵防湿性・防食性・不燃又は難燃の外箱など基本性能を満たす必要があります。
- 受信機からの信号を受信したときは遅滞なく警報を発し、作動表示灯を赤色に点滅させます。
- 周囲温度零下10度から50度、絶縁抵抗5メガオーム以上など環境・電気性能も細かく規定されています。
- 現場では表示(型式番号・製造年月・製造者名)を確認して基準適合を見分けます。
▼

目次
戸外表示器とは何を指すのか

その技術基準の中に、戸外表示器という装置が組み込まれています。
共同住宅用自動火災報知設備や住戸用自動火災報知設備等は、令第29条の4の代替設備の仕組みを使って通常の自動火災報知設備より簡略化された配線・感知区域で設置できます。
その代わり、住戸の外で異常に気づけるようにする工夫が欠かせません。
戸外表示器の基準は、共同住宅用自動火災報知設備告示と住戸用自動火災報知設備等告示という2つの告示から名指しで委任され、独立した告示として定められています。
では、戸外表示器そのものにはどんな構造が求められているのでしょうか。
住戸ごとに感知器があっても、外から見えないと意味が無い気がします。
だから戸外表示器が要るんですね。
そのとおりで、受信機と外部をつなぐ役目を担っています。
次は構造そのものの基準を見てみましょう。
戸外表示器にはどのような基本構造が求められるのか

確実な作動から定格電圧まで、10項目にわたって定められています。
そのうえで腐食対策と不燃性又は難燃性の外箱で覆うことも条件です。
配線や部品の取付けも「的確に、容易に緩まないように」と具体的に定められ、充電部は人が触れられないよう保護します。
定格電圧は60ボルト以下に抑えられ、住戸の受信機側とは低い電圧でやり取りする設計です。
これらは戸外表示器が屋外という過酷な環境で長期間確実に働くための土台といえます。
では、実際に警報を発するときの作動条件はどうなっているのでしょうか。
屋外に置く機器だから、防水や防食まできちんと決まっているんですね。
普通の屋内機器とはやっぱり違います。
定格電圧60ボルト以下という数値もその表れです。
次は警報そのものの中身を見てみましょう。
警報と作動表示灯はどう作動しなければならないのか

そのため警報と作動表示灯には具体的な作動条件が定められています。
音声警報装置は1メートル離れて70デシベル以上という具体的な音圧が定められています。
作動表示灯も「点いていれば良い」ではなく、300ルクスの明るさの中で3メートル先から点滅が識別できることまで求められます。
さらに通電表示灯で受信機側が通電状態にあることも、戸外表示器を見るだけで分かるようになっています。
つまり戸外表示器は火災の合図だけでなく、機器が生きているかどうかも常に示す役目を持っています。
では、こうした機能はどんな環境でも確実に保たれるのでしょうか。
明るさや距離まで指定されているとは思いませんでした。
夜だけでなく昼間の見え方も考えられているんですね。
300ルクスという昼間の明るさを想定した基準です。
次は見落としやすい環境性能を見ていきます。
実務で見落としやすい基準はどこか

点検の場では見えにくい部分ほど、見落としやすいところです。
高温多湿の環境(温度40度・相対湿度85パーセント・1時間)に置かれても異常が出ないことまで確認されています。
絶縁抵抗は5メガオーム以上、絶縁耐力も交流電圧を1分間加えて短絡しないことが条件で、これは電気機器としての安全性そのものです。
見た目の防水・防食だけでなく、この電気的な性能まで満たして初めて戸外表示器と呼べます。
さらに機能に有害な影響を及ぼす附属装置を後付けすることも禁じられており、勝手な改造や追加配線は基準違反になりかねません。
これらは外から見えないので、点検のときに確認漏れが起きやすい部分です。
最後に、現場ではどこを確認すればよいのでしょうか。
絶縁抵抗まで数値で決まっているとは知りませんでした。
外から見ただけでは分からない基準ですね。
だからこそ勝手な改造や附属装置の追加も禁じられています。
次は現場での確認手順です。
明日からなにを確認すればよいのか

現場で見るべきは、機器そのものに付けられた表示です。
- 共同住宅の共用部や敷地内で戸外表示器が設置されている位置を確認する
- 型式番号・製造年月・製造者名の表示が見やすい箇所に付いているかを見る
- 作動表示灯が赤色に点滅するか、通電表示灯が点灯しているかを定期的に確認する
- 屋外設置のため外箱の腐食やひび割れ、配線の劣化がないか目視で点検する
- 後付けの装置が取り付けられていないか、附属装置の有無を確認する
見た目だけでは基準への適合まで分からないからこそ、この確認を点検の習慣にしましょう。
次の点検のときは、表示と点滅の両方を見てみます。
それだけで多くの不具合に気づけます。
よくある質問
まとめ
戸外表示器の基準がここまでよく分かりました!
次の点検では表示と点滅の確認から始めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第29条の4
- 戸外表示器の基準(平成18年5月30日消防庁告示第20号)第一・第二・第三・第四
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





