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部屋を間仕切ったら感知器は足さないといけないのか|消防法施行規則が定める感知区域と天井のはりの扱いを解説

部屋を間仕切ったら感知器を足すのかを解説する記事のアイキャッチ画像

事務所の一角にパーテーションを立てて、会議室を1つ増やしたとします。
よくある工事ですが、天井を見上げると感知器が片側にしかないことがあります。
自動火災報知設備の感知器は、部屋の数ではなく感知区域という単位で数えることになっています。
間仕切りを立てると その感知区域そのものが分かれることがあります

事務所を間仕切って会議室を作りました。
天井の感知器はそのままで大丈夫でしょうか。

間仕切りの高さで答えが変わります。
天井まで届く壁を立てたのなら、感知器を見直す必要があります。

壁の高さで変わるというのが不思議です。
感知器の数はなにを基準に決まっているのですか。

消防法施行規則は感知区域という単位を定めています。
床面積そのものではなく、区切られた部分ごとに数える仕組みです。

この記事の結論
  • 自動火災報知設備の感知器は部屋ごとではなく感知区域ごとに数えます
  • 感知区域とは又は取付け面から〇・四メートル以上突出したはり等によって区画された部分をいいます(規則第23条第4項第3号ロ)
  • 差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合の基準は〇・六メートルです(同号)
  • 天井まで届く間仕切りを立てると感知区域が分かれるので感知器の見直しが要ります
  • 受信機の表示に使う警戒区域は面積600平方メートル以下で一辺50メートル以下という別の単位です(令第21条第2項第2号)

間仕切りを立てると感知区域が変わることを壁とはりと感知器の三点で示した図解

感知器はなにを単位にして置いているのか

壁に取り付けた受信機の箱と天井に感知器が並んだ広いフロアを示したイラスト
自動火災報知設備には、感知器を置く単位が別々に定められています。
受信機で場所を示すための単位と、感知器の数を決めるための単位です。
消防法施行令第21条第2項第1号・第2号 自動火災報知設備の警戒区域(火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。次号において同じ。)は、防火対象物の二以上の階にわたらないものとすること。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。/一の警戒区域の面積は、六百平方メートル以下とし、その一辺の長さは、五十メートル以下(略)とすること。ただし、当該防火対象物の主要な出入口からその内部を見通すことができる場合にあつては、その面積を千平方メートル以下とすることができる。
単位は役割で分かれています
警戒区域は、火災の起きた場所を他と区別して示すための範囲で、受信機の窓に出てくるのはこちらです。
これに対して感知器そのものの数を決めているのは、次の見出しで扱う感知区域です。
警戒区域が同じままでも、感知区域が分かれれば感知器は増えます。
受信機の表示が変わらないので工事は要らない、という判断はここで誤りになります。

受信機に出てくる区域と、感知器の数の単位は別物なのですね。
同じものだと思っていました。

別物です。
受信機の表示だけを見ていると、感知器の抜けに気づけません。

感知区域はどこで区切られるのか

天井から下に突き出したはりで2つに分かれた天井面とそれぞれに付いた感知器を示したイラスト
感知区域という言葉には、規則の中に定義が置かれています。
区切るものは壁と、天井から下に突き出したはりです。
消防法施行規則第23条第4項第3号ロ 感知器は、感知区域(それぞれ壁又は取付け面から〇・四メートル(差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合にあっては〇・六メートル)以上突出したはり等によって区画された部分をいう。以下同じ。)ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積(略)につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
区切るのは壁とはりです
取付け面とは、感知器を取り付ける天井の室内に面する部分をいうと定められています(規則第23条第4項第1号イ)。
その取付け面から〇・四メートル以上突き出したはりがあれば、そこで感知区域が分かれます。
差動式分布型感知器煙感知器を設ける場合の基準は〇・六メートルです。
同じ部屋の中でも、深いはりが渡っていれば天井は別々の区域として扱われています。

建てたときからある天井のはりでも区域が分かれるのですね。
広い部屋に感知器がいくつも付いている理由がわかりました。

条文ははりと壁を並べて書いています。
あとから立てた間仕切りだけが特別なわけではありません。

部屋を間仕切ったら感知器はどうなるのか

天井まで届く間仕切りで2室に分かれた部屋と天井に届かない低いパーティションの部屋を並べたイラスト
ここからが本題です。
規則の定義は壁又ははり等によって区画された部分となっているので、間仕切りの高さが分かれ目になります。
消防法施行規則第23条第4項第7号ホ 感知器は、廊下、通路、階段及び傾斜路を除く感知区域ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。(取付け面の高さが四メートル未満の場合、一種及び二種の煙感知器は百五十平方メートル、三種の煙感知器は五十平方メートル)
天井まで届く間仕切りは壁です
床から天井まで立ち上げた間仕切りを入れれば、そこで感知区域が分かれます。
分かれた区域はそれぞれ一個以上の感知器が要るので、片側に感知器が無ければ足すことになります。
反対に、天井に届かない低いパーティションは取付け面を区画していないため、それだけで区域が分かれることはありません。
工事の前にどちらの間仕切りにするかを決めておくと、あとから天井を開ける手間がなくなります。

背の低いパーティションなら感知器はそのままでよいのですね。
会議室として使うなら天井まで立てたいところですが。

使い方で決めてかまいません。
天井まで立てるのなら、感知器の追加を工事の見積りに入れておいてください。

実務で見落としやすいのはどこか

壁にぴったり付いた感知器と壁から離して付けた感知器を並べたイラスト
感知区域が分かれたあとは、感知器を付ける位置にも決まりがあります。
数だけ合わせて壁ぎわに押し込むと、別の基準に触れます。
消防法施行規則第23条第4項第7号ニ 感知器は、壁又ははりから〇・六メートル以上離れた位置に設けること
消防法施行規則第23条第4項第1号ハ (感知器を設けなくてよい部分)天井裏で天井と上階の床との間の距離が〇・五メートル未満の場所
位置の基準は数とは別に効きます
煙感知器は壁又ははりから〇・六メートル以上離すこととされているので、狭い区域に押し込むと成り立たなくなります。
熱感知器の下端は取付け面の下方〇・三メートル以内、煙感知器の下端は〇・六メートル以内という決まりもあります(規則第23条第4項第3号イ・第7号ハ)。
天井が低い居室や狭い居室では入口付近に設けることとされています(同項第7号イ)。
反対に天井裏は、天井と上階の床との間が〇・五メートル未満であれば感知器を設けなくてよい部分とされています。

数を合わせるだけでは足りないということですね。
壁ぎわに付ければよいと思っていました。

距離の基準が別に置かれています。
間仕切りの位置と感知器の位置は、あわせて図面で見てください。

明日からなにを確認すればよいのか

図面を持って天井の感知器を見上げる人と立てかけられた間仕切りの板を示したイラスト
最後は建物側の手順です。
やることは天井を見上げることと、図面を突き合わせることです。
消防法第17条第1項 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない
まず天井を見上げてください
間仕切りを立てた部屋の両側に、それぞれ感知器があるかを見ます。
片側に無ければ、点検を頼んでいる業者に感知区域の分かれ方を確かめてもらいます。
消防用設備等の設置と維持は関係者の義務で、定期に点検して結果を消防長又は消防署長に報告することも求められています(消防法第17条の3の3)。
これから間仕切り工事を予定しているなら、着工前に自動火災報知設備の図面を業者へ渡しておくと手戻りが減ります。

さっそく会議室の天井を見てきます。
図面がどこにあるかも探しておきます。

それで十分です。
図面が見つからないときは、業者に控えがあるか聞いてみてください。

よくある質問

Q天井まで届かないパーティションでも感知器を足す必要がありますか?
A規則は感知区域を、壁又は取付け面から〇・四メートル(差動式分布型感知器又は煙感知器では〇・六メートル)以上突出したはり等によって区画された部分と定めています。天井に届かないパーティションはこの区画に当たらないため、それだけで感知区域が分かれることはありません。
Qもともと天井にあるはりでも感知区域は分かれるのですか?
A分かれます。条文は壁とはり等を並べて書いており、後から立てたものかどうかで区別していません。取付け面から〇・四メートル以上突き出していれば、新しく立てた壁と同じように区画として働きます。
Q警戒区域と感知区域はどう違うのですか?
A警戒区域は火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域で、面積は600平方メートル以下、一辺の長さは50メートル以下とされています(令第21条第2項第2号)。感知区域は感知器の個数を決めるための単位なので、両者は別の考え方です。
Q間仕切り工事のあとに消防への手続きは必要ですか?
A感知器を増やす工事は消防用設備等の工事に当たるため、着工届や設置届の要否を所轄消防署に確かめてください。防火管理者を定めている建物では消防計画に書いた設備の状況にも関わるので、あわせて見直しておくと確実です。

まとめ

自動火災報知設備の感知器は部屋ごとではなく感知区域ごとに数えます
感知区域とは又は取付け面から〇・四メートル以上突出したはり等によって区画された部分です(規則第23条第4項第3号ロ)
差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合の基準は〇・六メートルです(同号)
天井まで届く間仕切りは壁として働くので感知区域が分かれます
分かれた感知区域にはそれぞれ一個以上の感知器が要ります(規則第23条第4項第7号ホ)
煙感知器は壁又ははりから〇・六メートル以上離れた位置に設けます(同項第7号ニ)
消防用設備等の設置と維持は関係者の義務なので工事の前に図面を業者へ渡します

明日の朝いちばんに、増やした会議室の天井を見てきます。
片側だけ感知器が無ければすぐ相談します。

それが確実です。
間仕切り工事にともなう感知器の見直しでお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第23条(自動火災報知設備の感知器等)
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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