「消防用の機械器具の規格が変わったと聞いたが、うちの建物に付いているものはどうなるのか」——防火管理者からよく相談される疑問です。
消火器や感知器の規格は、時代の技術や過去の事故を踏まえて定期的に見直されています。
規格が変わるたびにすべてを即交換しなければならないのか、それとも一定の猶予があるのか、判断に迷う場面は少なくありません。
この記事では、規格が変わったときの原則と、経過措置という例外の仕組みを条文から確認します。
感知器の規格が変わったと点検業者に言われました。
今すぐ全部交換しないといけないんでしょうか。
原則はそうなりますが、経過措置が付くこともあります。
まずは仕組みから見ていきましょう。
経過措置が付くかどうかは誰が決めるんですか。
うちで判断できることなんでしょうか。
いいえ、国が総務省令で個別に定めるものです。
条文にそって順番に見ていきましょう。
- 消火器や感知器などの検定対象機械器具等は、法第十七条で定める技術上の基準の一部として規格が位置づけられています。
- 規格が改正されると、既に設置してある機械器具等にも原則として新しい規格が適用されます。
- ただし施行令第三十条第2項により、総務省令で一定の期間を限った経過措置を定めることができます。
- 経過措置は規格が変わるたびに総務省令で個別に設定されるもので、自動的には付きません。
- 経過措置の有無と期間は、規格改正のたびに確認する必要があります。
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目次
消防用機械器具等の規格基準はなぜ改正されるのか

このため国は、一定の機械器具等について品質や機能を保証する検定制度を設けています。
消火器・火災報知設備の感知器や受信機・住宅用防災警報器・スプリンクラーヘッド・金属製避難はしごなどが対象で、これらは検定対象機械器具等と呼ばれます。
技術の進歩や、思わぬ事故の原因究明によって規格に不具合が見つかることもあり、国はそのたびに規格省令を改正します。
問題は、この改正が既にある建物に設置済みの機械器具等にどう及ぶかです。
次の章で、この点を確認します。
規格って国が決めた品質基準みたいなものなんですね。
そのとおりです。
対象品目は施行令で決まっています。
規格が変わったら設置済みの機器にも新基準は及ぶのか

条文は、原則として対象外にはならないと定めています。
消防用設備等そのものは既存不遡及が原則ですが、検定対象機械器具等の規格についてはこの原則がそのまま当てはまらず、改正後の規格に適合させる義務が生じるのが出発点です。
条文が「総務省令で(略)特例を定めることができる」という書きぶりであることにも注目してください。
これは経過措置が当然に付くものではないことを意味しています。
経過措置がどう定められるのかは、次の章で見ていきます。
設置済みだからといって古いままでいいわけではないんですね。
はい、それが原則です。
ただし猶予が付く場合もあります。
経過措置はどういう仕組みで決まるのか

そこで国は、規格省令を改正するたびに、必要に応じて別の総務省令で経過措置を用意してきました。
過去には、規格省令の改正にあわせて対象品目ごとの猶予期間を定めた特例省令が公布されてきました。
工事中の防火対象物についても同じ発想で、供用開始日を基準に猶予が及ぶ場合があります。
つまり経過措置は、規格改正と一体で総務省令が個別に手当てする仕組みだということです。
ここまでが原則と経過措置の骨格ですが、実務ではもう一段注意すべき点があります。
猶予がどれくらいの期間になるかは決まっていないんですか。
はい、品目や改正内容ごとに違います。
一律の期間があるわけではありません。
経過措置は当然には付かないという落とし穴

条文の書きぶりをもう一度確認しておきましょう。
特例省令が公布されなければ、規格施行の当日から新基準が即時に適用されます。
過去に一部の品目で数年単位の猶予が付いた例があるからといって、次の改正でも同じ期間の猶予があるとは限りません。
猶予の有無と長さは改正のたびに異なり、対象品目によっても差があります。
「前の改正はこうだった」という記憶だけで判断しないことが大切です。
前に猶予があったから今回も大丈夫、とは言えないんですね。
そのとおりです。
そのつど確認する必要があります。
規格改正の情報は何で確認すればよいのか

自分の建物にある機械器具等の種類を把握しておくことが出発点になります。
一 消火器 二 消火器用消火薬剤(略) 四 火災報知設備の感知器(略)又は発信機 六 (略)受信機 七 住宅用防災警報器 八 閉鎖型スプリンクラーヘッド 十一 金属製避難はしご 十二 緩降機
点検業者や消防設備士から規格改正の連絡を受けたら、経過措置の有無と期間を必ず併せて確認してください。
経過措置の内容は改正ごとに個別の総務省令として公布されるため、点検報告や消防用設備等点検の機会に確認しておくと安心です。
不明な点は、点検を委託している消防設備業者や所轄消防署に照会するのが確実です。
規格改正のたびに慌てないよう、日頃から情報を追う体制を作っておきましょう。
点検のたびに規格改正の有無も聞いてみます。
それが一番確実です。
迷ったら㈱防災屋にもご相談ください。
よくある質問
まとめ
今度の点検で、経過措置の有無を必ず聞いてみます。
お役に立てたなら何よりです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十七条
- 消防法施行令第三十条
- 消防法施行令第三十七条
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





