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消防用の機械器具はなぜ検定と自主表示に分かれるのか|あらかじめ検査が必要かどうかが基準になる仕組みを解説

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消火器やスプリンクラーヘッドには「検定合格」の表示が、消防用ホースには「自主表示」の表示が付いています。
どちらも消防の用に供する機械器具等ですが、確認の仕組みはまったく別です。
実は消防法自身が、品目ごとに「あらかじめ検査が必要かどうか」で二つの制度を使い分けています。
この記事では消防法施行令が定める検定対象と自主表示対象の品目を条文から整理し、現場でどちらの表示かを見分ける方法を解説します。

うちの消火器には「検定合格」の丸いマークが付いてるんですが、消防用ホースには付いてないんですよね。
これって整備不良ということですか。

いえ、故障ではありません。
ホースは「自主表示対象」という別の仕組みでマークが付く品目なんです。

同じ消防用の機械器具なのに、どうして二つも仕組みがあるんでしょうか。

消防法が「あらかじめ検査が必要なほど重大な支障が出るか」で分けているんですよ。
条文を見ながら整理していきますね。

この記事の結論
  • 消防法はあらかじめ検査を受ける必要があるかどうかで、検定対象機械器具等と自主表示対象機械器具等を分けています。
  • 検定対象は消防法施行令第37条が定める品目で、消火器や感知器、閉鎖型スプリンクラーヘッドなどが含まれます。
  • 自主表示対象は施行令第41条が定める品目で、消防用ホースや動力消防ポンプなどが該当します。
  • 自主表示対象でも技術上の規格に適合しなければ表示は付けられません。無検査というわけではありません。
  • 表示のない機械器具等は、工事に使用することも販売することもできません

消防用の機械器具が検定対象と自主表示対象に分かれる仕組み

消防用の機械器具になぜ二つの確認の仕組みがあるのか

検定と自主表示という二つの確認の仕組み
消火器や火災報知設備の感知器には「検定合格」の表示が付いています。
一方で消防用ホースなどには、別の「自主表示」という表示が付きます。
消防法第21条の2 消防の用に供する機械器具若しくは設備、消火薬剤又は防火塗料、防火液その他の防火薬品(略)のうち、一定の形状、構造、材質、成分及び性能(略)を有しないときは火災の予防若しくは警戒、消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれのあるものであり、かつ、その使用状況からみて当該形状等を有することについてあらかじめ検査を受ける必要があると認められるものであつて、政令で定めるもの(略)については、この節に定めるところにより検定をするものとする。
分かれ目は「あらかじめ検査が必要かどうか」です。
消防法第21条の2は、基準どおりの形や性能を持たないと火災予防や人命救助に重大な支障が出るおそれがあり、かつ使用状況からみて事前の検査が必要と認められるものを「検定対象機械器具等」と呼んでいます。
一方で第21条の16の2は、検定対象以外の機械器具等のうち重大な支障のおそれがあるものを「自主表示対象機械器具等」と定めています。
どちらも基準を満たさなければ重大な支障が出るおそれがあるという前提は共通で、違うのは確認の重さだけです。
次の章から、具体的にどの品目がどちらに入るのかを見ていきます。

「あらかじめ検査が必要」かどうかって、誰がどうやって決めているんですか。

消防法施行令が品目ごとに指定しています。
次の章でその品目を見てみましょう。

検定を受けなければならない品目にはどんな共通点があるのか

検定対象機械器具等に付く検定マーク
検定対象になる品目は、消防法施行令第37条に列挙されています。
数えると全部で12品目です。
消防法施行令第37条 法第二十一条の二第一項の政令で定める消防の用に供する機械器具等は、次に掲げるもの(略)とする。一 消火器 二 消火器用消火薬剤(二酸化炭素を除く。) 三 泡消火薬剤(略) 四 火災報知設備の感知器(火災によつて生ずる熱、煙又は炎を利用して自動的に火災の発生を感知するものに限る。)又は発信機 五 火災報知設備又はガス漏れ火災警報設備(略)に使用する中継器(略) 六 火災報知設備又はガス漏れ火災警報設備に使用する受信機(略) 七 住宅用防災警報器 八 閉鎖型スプリンクラーヘッド 九 スプリンクラー設備、水噴霧消火設備又は泡消火設備(略)に使用する流水検知装置(略) 十 スプリンクラー設備等に使用する一斉開放弁(略) 十一 金属製避難はしご 十二 緩降機
共通点は「壊れると人命に直結する」ことです。
消火器や住宅用防災警報器、閉鎖型スプリンクラーヘッドは、いざという場面で確実に作動しなければ意味がありません。
そのため総務大臣による型式承認と、個々の製品が型式どおりかを確かめる型式適合検定という二段階の検定を受けます。
検定に合格した製品だけが、消防法第21条の9第1項の表示(検定マーク)を付けられます。
この表示がない検定対象機械器具等は、販売も工事への使用もできません。

うちの消火器やスプリンクラーヘッドは、この品目に入っているんですね。

そうです。
マークを見れば型式適合検定を通った製品だとすぐ分かりますよ。

自主表示で足りる品目は何が違うのか

自主表示対象機械器具等に付く自主表示マーク
検定対象以外にも、確認が必要な品目があります。
消防法施行令第41条が定める「自主表示対象機械器具等」です。
消防法施行令第41条 法第二十一条の十六の二の政令で定める消防の用に供する機械器具等は、次に掲げるもの(略)とする。一 動力消防ポンプ 二 消防用ホース 三 消防用吸管 四 消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具 五 エアゾール式簡易消火具 六 漏電火災警報器
違いは検査を誰がするかです。
自主表示対象機械器具等は、消防法第21条の16の2により検定対象以外の品目とされ、総務大臣による型式承認や個別の型式適合検定は受けません。
代わりに製造者や輸入者が自ら、技術上の規格に適合していることを確認したうえで表示を付ける仕組みです。
動力消防ポンプや消防用ホースは、検定対象の消火器等ほど個々の製品を国が調べなくても、規格への適合を製造者の責任で確認すれば足りると位置づけられています。
ただし規格に適合しない製品に表示を付けることは許されません。

自主表示は製造者まかせということは、検査自体は無いということですか。

検査が無いわけではありません。
製造者自身が規格どおりか確認する義務を負っています。

自主表示なら基準がゆるいと考えてよいのか

自主表示対象でも規格適合が必要という注意点
「自主表示」という言葉から、基準がゆるいと誤解されがちです。
実際にはそうではありません。
消防法第21条の16の2 検定対象機械器具等以外の消防の用に供する機械器具等のうち、一定の形状等を有しないときは火災の予防若しくは警戒、消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれのあるものであつて、政令で定めるもの(略)は、次条第一項の規定による表示が付されているものでなければ、販売し、又は販売の目的で陳列してはならず、また、自主表示対象機械器具等のうち消防の用に供する機械器具又は設備は、同項の規定による表示が付されているものでなければ、その設置、変更又は修理の請負に係る工事に使用してはならない。
自主表示対象も表示がなければ使えません。
条文が定めているのは検査の主体の違いであって、基準そのものの有無ではありません。
自主表示対象機械器具等も、消防用ホースなら消防用ホースの技術上の規格に適合していなければ、そもそも表示を付けることが認められません。
表示のない製品を販売したり工事に使ったりすれば、検定対象と同じように消防法違反になります。
「自主表示だから多少甘くてもよい」という判断は成り立ちません。

見た目では検定品と自主表示品の区別がつきにくいですね。

表示の形式が違うので、次の章でその見分け方を確認しましょう。

現場では表示のどこを確認すればよいのか

現場での検定マークと自主表示マークの確認
検定対象には協会や登録検定機関が付ける「検定マーク」があります。
自主表示対象には製造者自身が付ける「自主表示マーク」があります。
消防法第21条の16の3 自主表示対象機械器具等の製造又は輸入を業とする者は、自主表示対象機械器具等について、その形状等が総務省令で定める自主表示対象機械器具等に係る技術上の規格に適合しているかどうかについて総務省令で定める方法により検査を行い、その形状等が当該技術上の規格に適合する場合には、総務省令で定めるところにより、当該技術上の規格に適合するものである旨の表示を付することができる。
現場で見るのは「誰が確認した表示か」です。
検定対象機械器具等の表示は、日本消防検定協会や登録検定機関が型式適合検定に合格したことを確認して付けるものです。
一方で自主表示対象機械器具等の表示は、製造者又は輸入者自身が技術上の規格への適合を検査し、あらかじめ総務大臣に届け出たうえで付けるものです。
どちらの表示も欠けている製品は、出所や規格適合をその場で確認できません。
工事や点検で機械器具等を扱うときは、まず表示の有無を確認し、不明な点は製造者や販売店に問い合わせるようにしましょう。

表示さえ確認できれば、検定対象か自主表示対象かはすぐ分かるんですね。

そのとおりです。
次にまとめでもう一度整理しておきますね。

よくある質問

Q検定対象機械器具等の品目はあとから増えることがありますか。
Aあります。施行令の改正によって品目が追加・変更されることがあり、実際に過去には消防用ホースなどが検定対象から自主表示対象へ移った例があります。
Q自主表示マークがあれば型式適合検定は不要ということですか。
Aそのとおりです。自主表示対象機械器具等は製造者自身の検査で足り、日本消防検定協会等による型式適合検定は受けません。
Q検定対象でも自主表示対象でもない機械器具等はどう扱われますか。
A施行令第37条・第41条のいずれにも列挙されていない機械器具等には、この2つの表示制度は適用されません。ただし個別の設置基準や技術上の規格には別途従う必要があります。
Q表示のない検定対象機械器具等を誤って設置してしまった場合はどうなりますか。
A表示のない検定対象機械器具等は工事に使用できないため、表示のある製品への交換が必要になります。放置すると消防法違反として是正指導の対象になります。

まとめ

消防法は「あらかじめ検査が必要かどうか」で検定対象と自主表示対象を分けています
検定対象は施行令第37条が定める品目で、消火器やスプリンクラーヘッドなどが含まれます
自主表示対象は施行令第41条が定める品目で、消防用ホースや動力消防ポンプなどが該当します
検定対象の表示は日本消防検定協会や登録検定機関が付けます
自主表示対象の表示は製造者や輸入者自身が検査して付けます
自主表示だからといって基準がゆるいわけではありません
表示のない機械器具等は、いずれの区分でも工事への使用や販売ができません

表示ひとつで仕組みがここまで違うとは思いませんでした。
次からは現場でしっかり確認します。

ぜひお願いします。
表示の確認だけでも、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第21条の2・第21条の9・第21条の16の2・第21条の16の3
  • 消防法施行令第37条・第41条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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