工事現場やイベント会場などで、車両や発電機に燃料を補給するための「仮設の給油取扱所」を設ける場面があります。危険物(ガソリン・軽油・灯油等)を扱う以上、消防法上守るべき安全対策が細かく定められています。この記事では、仮設給油取扱所に求められる安全対策を解説します。
この記事の結論
- 仮設給油取扱所は周囲6mの保有空地の確保、標識・掲示板の設置など11項目の安全対策が求められる
- 移動タンク貯蔵所は1台につき1油種のみ貯蔵できる
- 給油業務中は作業員が常駐し監視する必要がある
- リチウムイオン電池も、内蔵する電解液が第4類危険物に該当すれば危険物として扱われる
▼
仮設給油取扱所に求められる安全対策
工事現場等で車両・重機・発電機に給油するための仮設給油取扱所を設ける場合、次のような安全対策が求められます。
| 対策項目 | 内容 |
|---|---|
| 保有空地 | 給油場所の周囲に6mの幅の保有空地を確保する |
| 空地の明示 | 柵・ロープ等を立てて空地であることを明確にする |
| 標識の設置 | 見やすい箇所に、危険物の品名・数量・倍数、「火気厳禁」「給油中エンジン停止」の注意事項を掲示 |
| 流出防止対策 | コンクリート等で舗装し、漏えい防止シートを設置、吸着マット等を用意 |
| 火気使用の制限 | 給油場所・保有空地における火気使用を禁止 |
| 電気火災対策 | 給油設備・移動タンク貯蔵所のアース接続、静電気安全服・安全靴の着用 |
| 消火設備 | 第五種消火設備(10型粉末消火器)を3本以上設置 |
| 取扱い場所の管理 | 関係者以外・不特定の者の立入りを厳禁 |
| 危険物取扱者による取扱い | 危険物の取扱いは危険物取扱者免状の保有者が行う |
| 二次災害の発生防止 | 流出・車両事故等を想定したマニュアル整備、作業者への教育訓練 |
| 資機材の準備 | 漏えい防止シート・消火器・吸着マット等を予め確保 |
移動タンク貯蔵所1台につき、貯蔵する危険物はガソリン・灯油・軽油のいずれか1油種のみとされています。給油業務を行う時間帯は、危険物の取扱いの有無を問わず作業員が常駐して監視することが求められます。夜間等、給油業務が終了した後は移動タンク貯蔵所を常置場所等へ移動させます。
給油設備・架台の技術基準
給油設備自体にも技術上の基準があります。
- 給油設備は、危険物の規制に関する規則第25条の2(固定給油設備等の構造)の規定に準ずる構造とする
- 給油設備及びその架台は、地震動・風圧等に対して十分な安全性を有すること。架台には車両の衝突を防止するためのポール等を設ける
- 移動タンク貯蔵所の注入ホース及び給油設備内の危険物を携行缶等に排出する際の吸気に供するため、移動貯蔵タンクのタンク室の1つは空室にしておく
- 危険物の取扱い作業の前後に点検を行い、結果を記録・保存する(取扱い作業前の点検の際は、移動貯蔵タンクにおける危険物の積載状況も確認)
よくある質問
Q. リチウムイオン電池は危険物として扱われますか?
電解液として第4類の危険物を内蔵するリチウムイオン電池は、危険物を収納するものとして扱われます。保管・運搬の際は該当する危険物の規制に準じた対応が必要です。
Q. 製造プラントの反応工程で一時的に発生する危険物も届出が必要ですか?
反応槽等の内部のみで一時的に発生し、貯蔵・取扱いのため外部に取り出されないものは届出の対象になりません。ただし、工程中で一時的にタンクに貯蔵される場合や、配管等により別の施設に送っている場合は届出が必要です。
Q. 仮設給油取扱所はイベント会場でも設置できますか?
保有空地の確保や標識の設置など、本記事で紹介した安全対策の基準を満たせば設置は可能です。ただし設置にあたっては事前に所轄消防署への相談・届出が必要です。
まとめ
- 仮設給油取扱所は保有空地・標識・流出防止・消火設備など11項目の安全対策が必要
- 移動タンク貯蔵所は1台につき1油種のみ貯蔵できる
- 給油業務中は作業員が常駐して監視する
- 危険物の取扱いは危険物取扱者免状の保有者が行う
参考・出典
- 消防法第9条の2・第11条/危険物の規制に関する政令・規則第25条の2 e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)危険物に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年7月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設置計画については所轄消防署にご確認ください。




