危険物施設に消火設備を置くとき、どれくらいの規模の設備が必要かは「所要単位」という数字で決まります。
危険物の規制に関する規則第二十九条から第三十一条が、この数字の測り方を定めています。
建築物の構造や危険物の量によって、基準になる面積や倍数は施設ごとに変わります。
この記事では、所要単位と能力単位の計算方法を条文から整理します。
消火設備の点検表に「所要単位」と書いてあるんですが、これはなんの数字なんでしょうか。
それは施設の規模を測るための基準単位です。
建物の構造や危険物の量から計算します。
能力単位という言葉も出てきますが、所要単位とは別物ですか。
はい、対になる別の数字です。
順番に条文で確認していきましょう。
- 危険物施設の消火設備の規模は「所要単位」という数字で測ります
- 所要単位の基準は、建築物の外壁が耐火構造かどうかで変わります
- 危険物は指定数量の十倍を一所要単位として数えます
- 貯蔵所の建築物は、製造所や取扱所より基準となる面積が緩やかです
- 屋外の工作物は、水平最大面積を建坪とみなして計算します
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目次
危険物施設の消火設備はなぜ所要単位という数字で決まるのか

その基準を定める二つの言葉から確認します。
所要単位は、消火設備を置く対象になる建築物や工作物の規模、または危険物の量を測る基準の単位です。
これに対して能力単位は、その所要単位に見合うだけの消火能力を消火設備側が持っているかを示す数字です。
つまり、まず施設の規模を所要単位で数え、それに足りる能力単位の消火設備をそろえるという二段構えの仕組みになっています。
自分の施設がどれだけの所要単位を持つのかが分からなければ、必要な消火設備の量も判断できません。
規模を測る数字と、消火能力を測る数字の二つがあるんですね。
はい、まずは所要単位の計算方法から見ていきましょう。
所要単位はどうやって計算するのか

基本となる二つの号を確認します。
製造所や取扱所の建築物は、外壁が耐火構造なら延べ面積百平方メートル、耐火構造でなければ延べ面積五十平方メートルを一所要単位とします。
一方、危険物そのものは建物の面積とは無関係に、指定数量の十倍を一所要単位として数えます。
耐火構造かどうかで基準の面積が二倍違うため、自分の建物の外壁がどちらに当たるかを確認しないと、所要単位を取り違えることになります。
まずは建築物の構造区分と、危険物の指定数量の倍数を、それぞれ別々に確認してください。
うちの建物は耐火構造ですが、面積はどこまでを数えればいいんですか。
製造所等の用に供する部分の床面積の合計です。
次は能力単位の中身を見ましょう。
能力単位はどんな消火設備で満たされるのか

数値の決め方を確認します。
別表第二は、水バケツ・水槽・乾燥砂・膨張ひる石又は膨張真珠岩といった第五種の消火設備ごとに、能力単位の数値を定めています。
この表は、対象物が第一類から第六類までの危険物なのか、それとも電気設備及び第四類の危険物を除く対象物なのかによって、能力単位の欄が二つに分かれている点も特徴です。
危険物施設の第五種消火設備は、消防法施行令別表第二を根拠にする一般の建築物向けの消火器具とは、根拠となる条文が異なるため別に確認が必要です。
自施設で使っている消火設備の種類を確認したうえで、別表第二のどの欄に当たるかを一つずつ照らし合わせてください。
一般の建物にある消火器具の基準とは、別の表なんですね。
はい、危険物施設専用の規定です。
次は数えづらい例外を見ましょう。
屋外の工作物や貯蔵所はどう数えるのか

見落としやすい二つの号を確認します。
貯蔵所の建築物は、耐火構造なら延べ面積百五十平方メートル、耐火構造でなければ延べ面積七十五平方メートルを一所要単位とし、製造所や取扱所の数字(百平方メートル・五十平方メートル)とは違う基準を使います。
建物の種類を確認せずに製造所等の数字をそのまま貯蔵所に当てはめると、所要単位を過大に数えてしまいます。
また、屋外に置かれたタンクやポンプ設備のような工作物は、そもそも建築物ではないため、外壁を耐火構造とみなし、水平最大面積を建坪とみなして初めて所要単位を算出できます。
自施設の対象が製造所等の建築物なのか貯蔵所の建築物なのか、それとも屋外の工作物なのかを、まず種類から切り分けてください。
屋外貯蔵タンクは建物じゃないのに、みなし規定があるんですね。
そうです、水平最大面積を建坪とみなします。
最後に明日からの確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見直してください。
- 自施設が製造所等の建築物・貯蔵所の建築物・屋外の工作物のどれに当たるかを確認する
- 建築物の外壁が耐火構造かどうかを確認し、当てはまる基準面積で所要単位を計算する
- 貯蔵している危険物の指定数量の倍数から、危険物側の所要単位も計算する
- 屋外の工作物があれば、水平最大面積を建坪とみなすみなし規定で算出する
- 算出した所要単位に対して、設置している消火設備の能力単位が足りているかを点検で確認する
まずは建物が耐火構造かどうかを確認してみます。
それが第一歩です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
所要単位という数字の意味がようやく分かりました。
助かります。
まずは建築物の構造区分から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十九条
- 危険物の規制に関する規則第三十条
- 危険物の規制に関する規則第三十一条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





