危険物をトラックで運んだり、タンクローリーで移送したりする場面にも、消防法の基準が細かく定められています。
「まだ注意を受けていないから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。
実は運搬や移送の基準は、命令を経なくても違反した時点で罰則の対象になります。
この記事では、消防法第16条・第16条の2が定める運搬・移送の基準と、第43条・第44条が分ける罰則の重さの違いを、実際の条文にもとづいて解説します。
うちはトラックで灯油を運ぶことがありますが、特に届出はしていません。
これって大丈夫ですよね。
運搬そのものに許可や届出は要りませんが、
容器や積み方の基準には従う必要があります。
基準を守っていないと、どうなるんですか。
消防法第43条により、命令を経ずに直接罰せられることがあります。
- 消防法第16条は危険物の運搬、第16条の2第1項は移動タンク貯蔵所による移送の技術上の基準を定めています
- この基準に違反すると、是正命令を経なくても第43条により直接処罰されます
- 運搬・移送どちらの違反も、3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金という同じ重さの罰則です
- 一方で免状の携帯忘れ(第16条の2第3項)は第44条にあたり、罰金又は拘留という別の区分になります
- 情状により拘禁刑と罰金の併科もあり得ます
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目次
危険物を運ぶ基準に違反すると、命令なしで罰せられるのか

「注意を受けてから直せばよい」と考えていると、実務では前提が違います。
危険物の貯蔵・取扱いの基準と同じく、運搬(第16条)と移送(第16条の2第1項)の基準も、是正命令を経ずに罰則へ直結する直罰規定です。
命令が来ていないことは、基準を満たしている証明にはなりません。
対象になる行為は異なりますが、この2つの違反は同じ重さの罰則で扱われています。
運搬と移送、両方とも同じ条文で罰せられるんですか。
はい、条文の号は別ですが第43条という同じ条文で、罰則の重さも同じです。
運搬の基準に違反するとどんな罪になるのか

これが第16条の定める運搬の基準です。
危険物の規制に関する政令第29条は、総務省令で定める運搬容器に収納すること、類の異なる危険物と混載しないことなどを定めています。
この基準(第16条)に違反すると、第43条第1項第2号により3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処せられます。
容器の劣化や積み方の崩れは、出発前の確認で防げる違反です。
容器を覆う布が古くなっていました。
これも基準違反になりますか。
被覆や積み方が基準を満たしていなければ、運搬の基準違反にあたります。
出発前に確認してください。
移送で資格ある危険物取扱者を乗せないとどんな罪になるのか

同乗する人にも条件があります。
この義務(第16条の2第1項)に違反すると、運搬の基準違反と同じ重さの第43条第1項第3号が適用され、3月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処せられます。
甲種・乙種・丙種のうち、実際に移送する危険物の種類を取り扱える免状を持つ人でなければなりません。
運転者本人がその資格を持っていれば、別に同乗者を確保する必要はありません。
運転手が資格を持っていれば、それだけで足りるんですね。
はい、ただし移送する危険物を扱える種類の免状であることが前提です。
移送中の注意義務や免状の携帯忘れも同じ重さで罰せられるのか

移送にはもう2つの義務があります。
乗車義務(第1項)違反は拘禁刑を含む第43条ですが、携帯忘れ(第3項)は罰金又は拘留の第44条にあたり、区分が分かれています。
第2項の細心の注意義務や、政令第30条の2が定める運転要員の確保・経路の事前通知等の基準については、第43条・第44条の号の中に直接の罰則が見当たりません。
ただし事故が起きれば応急措置義務(第16条の3)や、公共の危険を生じさせた場合のより重い罰則が別途及ぶため、義務が軽いという意味ではありません。
免状を車に忘れただけなら、そこまで重くないんですね。
条文上は拘留という別の区分ですが、忘れないに越したことはありません。
明日から運搬・移送でなにを確認すればよいのか

次の点を確認しておきましょう。 基準を満たしているかどうかは、出発前の点検で先に把握できます。
以下のポイントを、出発前点検の項目にあわせて確認しておきましょう。
- 運搬容器は総務省令で定める容器に収納し、転落・転倒・破損しない積み方になっているか
- 類の異なる危険物を混載していないか
- 移送する危険物を取り扱える危険物取扱者を乗車させているか
- その危険物取扱者は免状を携帯しているか
- 移送前に底弁・マンホール・注入口のふた・消火器等の点検を済ませているか
次の運搬から、このチェックを出発前に済ませておきます。
それがいいですね、出発前の確認が、いざというときの安心につながります。
よくある質問
まとめ
運搬と移送で罰則が別区分になる仕組みが、これでよく分かりました。
出発前点検の見直しは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第16条(運搬の基準)
- 消防法第16条の2(移送の基準)
- 危険物の規制に関する政令第29条・第30条の2
- 消防法第43条・第44条(罰則)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





