危険物の規制に関する規則は、予防規程に定めるべき事項を号を分けて具体的に定めています。
このうち、地震防災対策強化地域に指定された地域に所在する製造所等には、通常の記載事項に加えて特別な項目が課されます。
強化地域には警戒宣言という独自の仕組みがあり、これに備えるための項目が中心になります。
本記事では、強化地域に指定された危険物施設が予防規程に追加すべき六つの事項と、その期限を条文から整理します。
うちの製造所、地震防災対策強化地域に入っていると市から連絡がありました。
それは大規模地震対策特別措置法に基づく強化地域の指定ですね。
まず対象になるかどうかを確認しましょう。
対象になったら、予防規程をどう変えればいいんですか。
規則が六つの事項を追加で定めるよう求めています。
順番に見ていきましょう。
- 地震防災対策強化地域は、大規模地震対策特別措置法に基づき内閣総理大臣が指定する地域です。
- 強化地域に所在する製造所等は、指定行政機関・指定公共機関が管理するものを除き、予防規程に追加の事項を定める義務があります
- 追加する事項は、警戒宣言の伝達・避難・自衛消防組織・施設設備の点検応急対策・防災訓練・教育広報の六つです。
- 指定の際に現に所在する施設は、指定があった日から六か月以内に対応しなければなりません
- 自分の施設が対象地域に含まれるかどうかは、市町村や都道府県の公表情報で確認できます
▼

目次
強化地域とはどんな地域を指すのか

これは特定の法律に基づく、地域単位の指定です。
大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内で大規模な地震が発生した場合に、著しい地震災害が生ずるおそれがある地域が対象になります。
指定にあたっては、あらかじめ中央防災会議に諮問し、関係都道府県知事の意見を聴くものとされています。
南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震を想定した「推進地域」という別の指定もありますが、本記事では強化地域に絞って解説します。
南海トラフ地震の推進地域とは別の制度なんですね。
はい、別の法律に基づく別の指定です。
次は対象になる施設を見ましょう。
強化地域内のどの危険物施設が対象になるのか

条文が対象を絞り込んでいます。
防火対象物の消防計画では政令が用途を一号・二号・十三号などに絞り込みますが、危険物施設の予防規程にはそうした用途による絞り込みがありません。
除かれるのは、大規模地震対策特別措置法第六条第一項に規定する指定行政機関・指定公共機関が管理する施設で、これらは別の法律に基づく防災業務計画で対応します。
つまり、予防規程を定める義務がある製造所等であれば、強化地域に所在するというだけで対象になります。
用途による絞り込みが無いのは、防火対象物の消防計画と違うんですね。
はい、国や公共機関が管理する施設以外は対象になります。
次は追加する事項の中身です。
予防規程に追加で定める六つの事項とはなにか

条文は六つの号に分けて具体的に定めています。
第一号の地震予知情報及び警戒宣言の伝達、第二号の避難、第三号の自衛の消防組織、第四号の施設及び設備の点検応急対策は、いずれも警戒宣言が出たときにどう動くかを定める項目です。
残る第五号の防災訓練と第六号の教育及び広報は、警戒宣言の有無にかかわらず日常的に取り組む項目です。
警戒宣言は気象庁の地震予知情報を前提にした仕組みで、南海トラフ地震の推進地域の追加事項には無い要素です。
警戒宣言というのは、そもそもどういう仕組みなんですか。
内閣総理大臣が閣議にかけて発するものです。
次は見落としやすい期限の話です。
実務で見落としやすいのはどこか

指定のタイミングと対応の期限です。
強化地域の指定があった時点で既にその地域に所在していた施設は、指定があった日から六か月以内に、六つの事項を予防規程に定める必要があります。
昔から操業している施設ほど、指定の事実そのものに気づかず期限を過ぎてしまう可能性があります。
自分の施設の所在地に、後から強化地域の指定が加わっていないかを確認しておくことが実務上重要です。
うちの予防規程、指定の前から変えていません。
指定の日付と六か月の期限を、早めに確認してください。
次は確認の手順です。
明日から何を確認すればよいのか

条文の要件を、そのままチェック項目に置き換えます。
- 自分の施設の所在地が地震防災対策強化地域に指定されているかを、市町村や都道府県の公表情報で確認する
- 指定行政機関・指定公共機関が管理する施設に該当しないかを確認する
- 現在の予防規程に警戒宣言の伝達・避難・自衛消防組織・施設設備の点検応急対策・防災訓練・教育広報の六つが定められているかを確認する
- 強化地域の指定があった日から六か月以内という期限を過ぎていないかを確認する
- 判断に迷う場合は所轄消防署に相談する
用途による絞り込みが無いぶん、強化地域に所在するというだけで対象になり得ることを忘れてはいけません。
指定の事実に気づかないまま六か月を過ぎてしまう事態を避けましょう。
さっそく所在地の指定状況を確認してみます。
対象かどうかと期限を、忘れずに。
迷ったら早めに相談してくださいね。
よくある質問
まとめ
強化地域の指定から六か月の期限まで、まとめて確認できました!
予防規程の見直しと期限の管理を、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十四条の二第一項
- 大規模地震対策特別措置法第二条・第三条・第九条
- 危険物の規制に関する規則第六十条の二
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





