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航空機給油取扱所はなぜ原動機を止めずに給油できるのか|専門員が担う4つの役割と対象危険物の限定を解説

航空機給油取扱所はなぜ原動機を止めずに給油できるのかを解説する記事のアイキャッチ画像航空機とタンクローリーの給油風景の写真

危険物の規制に関する規則は、給油取扱所の種類ごとに取扱いの基準を細かく定めています。
航空機給油取扱所もそのひとつで、通常は自動車と同じように原動機を止めて直接給油しなければなりません。
ところが専門的な知識と技能を持つ専門員が給油する場合に限り、原動機を止めずに給油できる特別な取扱所が認められています。
本記事では、航空機給油取扱所の基本の取扱いの基準と、原動機を止めない場合に求められる専門員の役割分担を条文から整理します。

空港内の給油業務を委託されているんですが、航空機は原動機を止めなくても給油できると聞きました。

それは規則第四十条の三の七が定める特別な取扱所の話ですね。
まず通常の基準から確認しましょう。

通常はどんな基準になっているんですか。

原則は原動機を止めて直接給油することです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 航空機給油取扱所の取扱いの基準は、対象を航空機に限り、給油設備を使用した直接給油を原則とします。
  • 給油は専用タンク等の配管以外からの注入が禁止され、ホースの先端は航空機の燃料タンクの給油口に緊結します
  • 専門的な知識及び技能を有する専門員が給油する場合に限り、原動機を停止させずに給油できる特別な取扱所が認められています。
  • 特別な取扱所では給油管理者・給油要員・防火要員・給油監督者の4つの役割に業務が分かれます
  • 原動機を止めずに給油できる危険物は引火点38度以上の第四類の危険物に限られます

航空機給油取扱所の直接給油の原則と専門員による原動機停止不要の特例4つの役割分担対象危険物の限定を示した図解

航空機給油取扱所ではなぜ直接給油が原則なのか

航空機に固定給油設備のホースを直接接続して給油しているイメージ
航空機給油取扱所は、自動車向けの給油取扱所とは別に、施行規則が独自の取扱いの基準を定めています。
まずは対象と給油方法の原則を確認します。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の七第一項第一号・第一号の二 航空機以外には給油しないこと。給油するときは、当該給油取扱所の給油設備を使用して直接給油すること(給油タンク車に添加装置を接続して給油することを含む。)。
給油できる相手は航空機だけで、方法は直接給油が原則です。
自動車等への給油とは異なり、対象は航空機に限定されています。
給油するときは、当該給油取扱所の給油設備を使用して直接給油しなければなりません。
給油タンク車に添加装置(氷結防止剤等を燃料に添加するための装置)を接続して給油する場合も、直接給油に含まれます。
つまりホースを介さずに危険物を移し替えるような方法は認められません。

給油タンク車を使うときも、直接給油という扱いになるんですか。

はい、添加装置を接続する場合も直接給油に含まれます。
次は給油の場所を見ましょう。

給油の位置や配管にはどんな制限があるのか

給油空地の境界線内に航空機と給油タンク車が収まり専用タンクへの配管が延びているイメージ
給油できる場所や配管にも、条文が細かい制限を定めています。
順番に確認します。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の七第一項第二号・第三号・第四号・第五号 航空機(給油タンク車を用いて給油する場合には、航空機及び給油タンク車)の一部又は全部が、空地からはみ出たままで給油しないこと。固定給油設備には、当該給油設備に接続する専用タンク又は危険物を貯蔵し、若しくは取り扱うタンクの配管以外のものによつて、危険物を注入しないこと。給油ホース車又は給油タンク車で給油するときは、給油ホースの先端を航空機の燃料タンクの給油口に緊結すること(略)。給油ホース車又は給油タンク車で給油するときは、給油設備を航空機と電気的に接続することにより接地すること。
給油は空地の中で、専用の配管を通して行います。
航空機や給油タンク車は、給油取扱所が保有する空地からはみ出したまま給油できません。
固定給油設備は、接続する専用タンク等の配管以外から危険物を注入することが禁止されています。
給油ホースの先端は航空機の燃料タンクの給油口に緊結し、給油設備は航空機と電気的に接続して接地します。
配管の限定と緊結・接地の措置は、いずれも静電気や誤った経路からの危険物混入を防ぐための基準です。

うちの空地、給油設備の配管が複数のタンクにつながっているかもしれません。

それでは基準を満たしません。
専用タンク等の配管以外から注入していないか確認してください。

原動機を止めずに給油できる特別な取扱所とは何か

エンジンが稼働したままの航空機に給油タンク車が接続され専門的な作業員が立ち会うイメージ
ここまでは、原動機を止めて給油する通常の航空機給油取扱所の基準でした。
規則にはこれとは別に、原動機を止めずに給油できる特別な取扱所の規定があります。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の七第二項 令第二十七条第六項第一号の二の総務省令で定める給油取扱所は、航空機の原動機を停止させないで行う給油に係る業務について専門的知識及び技能を有する者(以下この条において「専門員」という。)が給油する場合に限り、航空機の原動機を停止させないで給油することができる航空機給油取扱所とする。
原動機を止めない給油は専門員に限られます。
原動機を停止させないで行う給油の業務について専門的知識及び技能を有する者を、規則は「専門員」と呼びます。
この専門員が給油する場合に限り、航空機の原動機を止めずに給油できる特別な航空機給油取扱所として扱われます。
専門員が給油しない通常の場面では、原動機を止めて直接給油するという先の原則がそのまま適用されます。
特別な取扱所として扱われるかどうかは、あくまで専門員が給油するかどうかで決まります。

誰でも原動機を止めずに給油してよいわけではないんですね。

はい、専門員が給油する場合に限られます。
次は専門員の役割を見ましょう。

専門員はどのように役割を分担するのか

4人の作業員がホース操作給油防火監督の異なる役割を担っているイメージ
特別な航空機給油取扱所には、専門員自身にも追加の基準が課されます。
役割の分担と対象になる危険物を確認します。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の七第三項 (略)専門員以外の者は、給油に係る業務を行わないこと。引火点が三十八度以上の第四類の危険物以外の危険物を給油しないこと。専門員が行う業務は、次のイからニまでに掲げる専門員の区分に応じ、当該イからニまでに定めるものとすること。イ給油管理者 給油設備のホース機器への危険物の供給を開始し、及び停止する操作を行い、かつ、ロに定める業務を管理する業務 ロ給油要員 航空機に給油する業務 ハ防火要員 消防ポンプ自動車及び消火設備の付近で待機し、火災その他の事故が発生したときは、消火その他災害の発生の防止のための応急の措置を講ずる業務 ニ給油監督者 給油に係る業務が適正に実施されるように監視し、及び監督する業務
専門員は4つの役割に分かれ、対象の危険物も限られます。
専門員以外の者は、給油に係る業務を行うことができません。
給油できる危険物は引火点38度以上の第四類の危険物だけに限られます。
専門員は給油管理者・給油要員・防火要員・給油監督者の4区分に分かれ、それぞれ操作・給油・消火の待機・監視という異なる業務を担います。
条文はさらに、可燃性の蒸気が原動機の空気取入口に流入しないようにする措置や、専門員どうしが視認・意思疎通できる位置で業務を行うことも求めています。

4つの役割を、同じ人が兼任してもいいんですか。

条文は区分ごとの業務を定めているので、実態に応じて人員を確保してください。
次は確認の手順です。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストを持つ管理者が給油設備と航空機を確認しているイメージ
最後に、現場で確認すべき手順を整理します。
条文の要件を、そのままチェック項目に置き換えます。
  • 給油する相手が航空機に限られているか、給油設備を使った直接給油になっているかを確認する
  • 航空機や給油タンク車が空地からはみ出していないか、配管が専用タンク等以外から注入されていないかを確認する
  • 原動機を止めずに給油する場合は、給油する者が専門員に該当するかを確認する
  • 専門員が給油管理者・給油要員・防火要員・給油監督者の役割ごとに配置されているかを確認する
  • 判断に迷う場合は所轄消防署に相談する
確認すべきことは給油の方法と体制の両方です。
直接給油の原則だけでなく、専門員の役割分担も同時に確認する必要があります。
どちらか一方だけを満たしても、要件全体を満たしたことにはなりません。

チェック項目、さっそく確認してみます。

方法と体制の両方を忘れずに。
迷ったら早めに相談してくださいね。

よくある質問

Q航空機給油取扱所ではどんな給油方法が原則ですか?
A原則は給油設備を使用した直接給油です。給油タンク車に添加装置を接続して給油する場合も、直接給油に含まれます。
Q給油タンク車を使うときも配管の制限はありますか?
Aはい。固定給油設備は専用タンク等の配管以外から危険物を注入することはできません。給油ホースの先端は航空機の燃料タンクの給油口に緊結する必要があります。
Q原動機を止めずに給油できるのはどんなときですか?
A専門的知識及び技能を有する専門員が給油する場合に限られます。専門員以外の者が給油する通常の場面では、原動機を止めて給油する原則がそのまま適用されます。
Q専門員が給油できる危険物に制限はありますか?
Aあります。引火点38度以上の第四類の危険物以外は給油できません。専門員は給油管理者・給油要員・防火要員・給油監督者の役割に分かれて業務を行います。

まとめ

航空機給油取扱所の取扱いの基準は、対象を航空機に限り、給油設備を使用した直接給油を原則とします
給油タンク車に添加装置を接続して給油する場合も、直接給油に含まれます
給油は空地からはみ出したまま行えず、配管は専用タンク等以外からの注入が禁止されます
専門的知識及び技能を有する専門員が給油する場合に限り、原動機を停止させずに給油できる特別な取扱所が認められています
専門員は給油管理者・給油要員・防火要員・給油監督者の4つの役割に分かれます
原動機を止めずに給油できる危険物は引火点38度以上の第四類の危険物に限られます
判断に迷う場合は、早めに所轄消防署に相談しましょう

直接給油の原則から専門員の役割分担まで、まとめて確認できました!

方法と専門員の体制の両方を、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十条第三項
  • 危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第一号の二
  • 危険物の規制に関する規則第四十条の三の七

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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