給油取扱所には、飛行場や鉄道だけでなく船舶に給油する特殊な形もあります。
危険物の規制に関する政令第十七条第三項第二号が定める「船舶給油取扱所」で、通常の給油取扱所基準の一部が適用されない代わりに、専用の基準に置き換わります。
給油設備は固定給油設備だけでなく、条件を満たせば「給油タンク車」を使うこともでき、規則第二十六条の二と第四十条の三の八が細かく定めています。
この記事では、係留された船舶に限った直接給油の原則と、給油タンク車を使うときに必要な移動防止・接地の措置を条文から整理します。
港にある給油設備を見ましたが、普通のガソリンスタンドと同じ基準ですか。
いいえ、船舶給油取扱所という別の基準が適用されます。
具体的にはどこが違うんですか。
給油できる相手と給油設備の種類が特殊です。
順番に見ていきましょう。
- 船舶給油取扱所は、危険物の規制に関する政令第十七条第三項第二号を根拠に、通常の給油取扱所基準の特例が規則第二十六条の二で定められています。
- 給油設備は固定給油設備や給油配管等のほか、条件を満たせば給油タンク車を使うこともできます
- 船舶給油取扱所には、係留された船舶が空地からはみ出さない広さの専用の空地が必要です
- 給油できるのは係留された船舶に限られ、当該給油取扱所の給油設備を使用して直接給油しなければなりません。
- 給油タンク車を使うときは、移動しないための措置と接地が原則として義務付けられています
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目次
船舶給油取扱所とはどんな給油取扱所を指すのか

鉄道給油取扱所と並ぶ、特殊な形の一つです。
飛行場で航空機に給油する給油取扱所や鉄道の車両に給油する給油取扱所と並んで、政令第十七条第三項が定める特例のうちの一つに位置づけられています。
通常の給油取扱所の基準(同条第一項・第二項)がそのまま適用されるのではなく、規則第二十六条の二という専用の条文が特例を定める形です。
自動車を前提にした基準の一部が外れる代わりに、船舶向けの基準に置き換わります。
港にある給油設備も、ふつうのガソリンスタンドの基準で作られているんですか。
いいえ、政令第十七条第三項第二号が定める別枠の特例です。
次はどこが違うのか見ていきましょう。
どんな空地を用意すれば船舶に給油できるのか

船舶がはみ出さないことが条件です。
鉄道給油取扱所と同じく、船舶給油取扱所の空地にも間口や奥行きの数値基準はなく、対象の船舶に応じた広さという定め方です。
空地は固定給油設備または給油配管の先端部の周囲に設ける必要がありますが、給油設備が給油タンク車だけの場合はこの位置の縛りがなく、代わりに給油タンク車自体が空地からはみ出さない広さが求められます。
いずれの場合も、危険物が漏れるおそれのある部分は舗装しなければなりません。
空地の広さは、船の大きさによって変わるということですね。
はい、はみ出さずに安全に給油できる広さという基準です。
次は給油設備の種類を見ましょう。
給油設備に給油タンク車を使ってよいのはどんなときか

給油タンク車そのものが給油設備になる特例です。
固定給油設備の設置が難しい岸壁でも、条件を満たした給油タンク車があれば船舶給油取扱所として運用できるということです。
そのぶん、給油タンク車には接地電極と転落防止の措置が別途求められ、固定給油設備とは異なる備えが必要になります。
引火点が四十度未満の危険物を扱う場合は、この特例は使えません。
どんな危険物でも給油タンク車で給油できるわけではないんですね。
はい、引火点四十度以上の第四類に限られます。
次は実際の給油方法を見ましょう。
給油タンク車で給油するとき実務で見落としやすいのはどこか

相手が船である以上、船の状態そのものが問われます。
給油するときは、当該給油取扱所の給油設備を使って直接給油することも義務付けられており、他の設備を経由した給油はできません。
給油タンク車を使うときは、移動しないための措置とホース先端の緊結、そして接地までが一連の手順で、接地は原則として必要ですが、静電気による災害のおそれがない危険物なら省略できます。
この省略規定を理由なく使い、毎回接地を省いてしまうと本末転倒です。
接地はしなくてよい場合があるなら、毎回省略してしまいそうです。
いいえ、接地は原則必須で、省略は例外です。
最後に確認の手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

順番にチェックしてください。
- 給油しようとしている相手が係留された船舶であるかを確認する
- 給油設備が固定給油設備・給油配管等・給油タンク車のいずれかを満たしているかを確認する
- 給油タンク車を使う場合は引火点四十度以上の第四類の危険物であるかを確認する
- 給油タンク車が移動しないための措置とホース先端の緊結ができているかを確認する
- 静電気による災害のおそれがある危険物では接地ができているかを確認する
船の係留と給油設備の種類、両方を見ればよいのですね。
はい、係留・給油設備・接地を徹底してください。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
点検のときは、係留の状態と接地の実施もあわせて見るようにします。
助かります。
まずは係留状態と給油設備の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十七条第三項第二号
- 危険物の規制に関する規則第二十六条の二
- 危険物の規制に関する規則第四十条の三の八
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





