給油取扱所の固定給油設備は、ただ敷地の中に置けばよいわけではありません。
道路や隣の敷地、建物の壁からどれだけ離すかまで、政令が細かく数字で定めています。
ホースの長さによって必要な距離が変わり、ポンプ機器を分離すれば規制が外れる特例もあります。
この記事では、固定給油設備・固定注油設備が保つべき保安距離とポンプ室の特例、表示義務を順番に整理します。
うちの給油設備、境界線からどれくらい離せばいいのか正直分かっていません。
道路境界線・敷地境界線・建築物の壁で、それぞれ保つべき間隔が決まっています。
ポンプだけ切り離せば距離を気にしなくていいって聞いたんですが。
はい、条件を満たすポンプ室に設置すれば適用除外になります。
- 固定給油設備・固定注油設備は、規則第二十五条の三の二などにより道路境界線等からの距離と設置場所の構造が細かく定められています。
- 固定給油設備は道路境界線から4メートル以上、敷地境界線から2メートル以上、建築物の壁から2メートル(開口部がなければ1メートル)以上離さなければなりません。
- 給油ホースが長くなるほど、道路境界線からの距離も広く取らなければなりません。
- ポンプ機器をホース機器と分離して設置する場合は、耐火構造のポンプ室に収めるなどの条件を満たせば距離の規制を受けません。
- 判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください。
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目次
固定給油設備はなぜ道路境界線・敷地境界線・建築物の壁から離すのか

道路や隣の敷地、建物との位置関係に関わる基準です。
令第十七条第一項第十二号ロにより、敷地境界線からは2メートル以上の間隔が必要です。
同号ハにより、建築物の壁からは2メートル以上、ただし壁に開口部が無ければ1メートル以上まで縮められます。
道路境界線からの距離はホースの長さによって変わるため、次の項目で詳しく確認します。
これらの距離は、給油中の火災や漏えいが敷地外や隣接する建物に及ぶことを防ぐための保安距離です。
境界線ってそんなに種類があるんですね。
はい、道路・敷地・建物の壁でそれぞれ基準が違います。
固定注油設備にも同じ考え方があるのか

灯油やドラム缶への注油に使う設備が対象です。
令第十七条第一項第十三号イにより、固定注油設備は固定給油設備からも距離を確保する必要があります。
同号ハにより、敷地境界線からは固定給油設備より短い1メートル以上の間隔で足ります。
建築物の壁からの距離は固定給油設備と同じ基準です。
灯油の詰め替えなど小型の設備であっても、境界線からの距離は独立して確認する必要があります。
灯油の注油機は給油機より距離が短くていいんですか。
はい、敷地境界線は1メートル以上で足ります。
ポンプ機器をホースと切り離すとなぜ距離の規制を受けなくてよいのか

どんな場合に例外が使えるのかを確認します。
令第十七条第一項第十二号ただし書により、ホース機器と分離して設置されるポンプ機器は距離の対象から外れます。
ただし誰でも自由に外せるわけではなく、規則第二十五条の三の二が定めるポンプ室または油中ポンプ機器の要件を満たす必要があります。
次の項目で、そのポンプ室に求められる具体的な構造を確認します。
固定注油設備についても同様に、令第十七条第一項第十三号ただし書で同じ考え方が適用されます。
ポンプを切り離せば距離を気にしなくていいんですね。
条件を満たすポンプ室に設置すればです。
特例を受けるポンプ室にはどんな構造が必要になるのか

耐火性能と開口部の扱いがポイントです。
第一号により、ポンプ室の壁・柱・床・はり・屋根は耐火構造としなければなりません。
第二号により、出入口は給油空地に面し、自動閉鎖の特定防火設備を設ける必要があります。
第三号により、窓は一切設けられません。
油中ポンプ機器の場合はポンプ室自体を設けないため、この3つの要件はポンプ室方式を選んだときにのみ関わります。
窓が無いのは息苦しそうですね。
漏えいの拡大を防ぐための条件です。
固定給油設備にはなぜ表示義務もあるのか

給油ホースのそばに何を示す必要があるかという基準です。
規則第二十五条の三第一号により、表示は給油ホース等の直近の位置にしなければなりません。
同条第二号により、表示する内容は取り扱う危険物の品目です。
距離の基準と表示義務はどちらも令第十七条第一項が根拠で、総務省令に具体化を委ねている点が共通しています。
明日からは、自分の給油取扱所で境界線までの距離とポンプ室の構造、品目表示の3点を順に確認してください。
表示も距離と同じ条文が元になっているんですね。
はい、令第十七条第一項が根拠です。
よくある質問
まとめ
境界線までの距離とポンプ室の条件、表示までよく分かりました。
早速確認します。
まずは境界線までの距離の確認から始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十七条(給油取扱所の基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十五条の三・第二十五条の三の二(固定給油設備等の表示・道路境界線等からの間隔を保つことを要しない場合)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





