加圧送水装置には、ポンプ方式のほかに高架水槽方式と圧力水槽方式があります。
これまでの記事ではポンプ方式とその付属装置を中心に解説してきましたが、高架水槽方式には動力を使わない独自の構造基準があります。
屋上などに設置された水槽の落差だけで、消防用ホースに必要な圧力を生み出す仕組みです。
本記事では高架水槽方式の構成機器・落差の計算式・点検や耐震にかかわる構造基準を、条文から解説します。
高架水槽方式は動力を使わないと聞きましたが、本当ですか。
はい、水槽の落差だけで圧力を得る方式です。
仕組みを見ていきましょう。
うちのビルの屋上にも大きな水槽がありますが、あれのことですか。
はい、それが高架水槽です。
構成機器や耐震の基準もあわせて確認しましょう。
- 高架水槽方式の加圧送水装置は、消防法施行規則第12条第1項第7号イにより設置基準が定められている
- 高架水槽方式は水槽・制御盤・水位計・排水管・溢水用排水管・補給水管・マンホールその他必要な機器で構成される
- 必要な落差は、消防用ホースと配管の摩擦損失水頭に17メートルを加えた計算式で求められる
- 高架水槽方式にも確実な作動・容易な点検・部品の取替えができる構造が求められる
- 水槽の取付ボルト及び基礎ボルトには、地震による震動等に対する十分な強度が必要である
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目次
高架水槽方式の加圧送水装置とは何を指すのか

まずはその定義と、どのような機器で構成されるのかを確認します。
ポンプ方式のように電動機や内燃機関を使わず、屋上などの高い場所に置いた水槽の落差を利用します。
構成機器は水槽本体のほか制御盤・水位計・排水管・溢水用排水管・補給水管・マンホールで、これらは告示だけでなく消防法施行規則第12条第1項第7号イ(ロ)でも設置が義務付けられています。
点検の際は、まずこの一式がそろっているかを確認するとよいでしょう。
水槽以外にもいろいろな機器がセットになっているんですね。
はい、水位計やマンホールまで含めて一式です。
高架水槽方式はなぜ落差だけで必要な圧力を確保できるのか

配管の摩擦で失われる圧力まで見込んだうえで、余裕を持たせた式になっています。
これに消防用ホースと配管、それぞれの摩擦損失水頭を加えた値以上の落差を、水槽の下端からホース接続口までの間に確保しなければなりません。
電動機やポンプで圧力を作り出すのではなく、あらかじめ十分な高さに水槽を設置しておくという発想です。
点検では、水槽の設置位置が竣工時の計算どおりの高さを保っているかどうかも意識しておくとよいでしょう。
高いところに水槽を置くだけで、そんなに圧力が出るんですね。
はい、水槽の高さそのものが圧力の源になります。
高架水槽方式になぜ確実な作動と容易な点検が求められるのか

屋上という足を運びにくい場所にあるからこそ、扱いやすさが重視されます。
屋上に設置される高架水槽は、地上のポンプ室に比べて日常的に足を運びにくい場所にあります。
だからこそ取扱い操作・点検・部品の取替えが容易にできる構造であることが、条文で明記されています。
点検の際は、水位計の目盛りが読み取りやすいか、マンホールの開閉がスムーズかどうかも確認するとよいでしょう。
屋上の水槽って、あまり近くで見たことがないです。
だからこそ点検のしやすさが基準で決められています。
水槽の腐食するおそれのある部分になぜ防食処理が必要なのか

金属部分の腐食を防ぐための基準も定められています。
高架水槽は屋外や屋上に置かれることが多く、風雨や潮風にさらされ続ける環境にあります。
告示は具体的な処理方法までは指定していませんが、材質や設置環境に応じた有効な防食処理が前提とされています。
点検では、塗装の剥がれやさびの発生がないかを外観から確認することが、実務上のわかりやすい手がかりになります。
屋上のタンクは、たしかに錆びやすそうです。
はい、だから防食処理が基準で義務付けられています。
水槽の取付ボルトと基礎ボルトになぜ地震動への強度が必要なのか

地震のときに落下しないよう、取付部分にも基準があります。
高架水槽は水を満たすと大きな重量になり、これを屋上などの高い位置で支え続けます。
取付ボルトは水槽本体と架台をつなぐ部分、基礎ボルトは架台と建物側の基礎をつなぐ部分で、どちらも地震による震動等に対して十分な強度が必要です。
点検では、ボルトの緩みや腐食による断面の減少がないかも、防食処理とあわせて確認する項目になります。
水を満タンにすると、それだけ重くなるということですね。
はい、取付ボルトと基礎ボルトの両方に強度基準があります。
よくある質問
まとめ
高架水槽にこんなに細かい基準があるとは知りませんでした!
水槽点検もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第7号イ(昭和36年自治省令第6号)
- 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第二 二・第三
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。





